女性の伝え方は感情的?〜コンセプチュアルスキルを高めるために
組織で仕事を進める上で、コンセプチュアルスキルはとても重要であると私自身の経験からも感じています。
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●コンセプチュアル・スキルとは
知識や情報などを体系的に組み合わせ、
複雑な事象を概念化することにより、
物事の本質を把握する能力のこと
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現在、次世代リーダー育成や女性管理職育成といった
プロジェクトで関わらせていただいている各企業様の様子を
うかがうと、全体的に男性より女性のほうが論理的思考が苦手、
という方が多い印象を受けています。
それは、課題として毎回提出いただいている現場実践の
報告レポートを添削するときによくあるのですが、
「アイディアは素晴らしいのに、
この書き方では上司に伝わらないだろうな・・」
と、大変もったいないと思わずにいられない内容に
出会うことが非常に多いのです。
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■女性の伝え方は感情的に聞こえがち?
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かくいう私も女性です。
過去には自分の意見がなかなか上司に伝わらず、
一方で同期の男性が私と同じ意見を伝えたところ
あっさり受け入れられてしまい、なぜだ・・と
モヤモヤした経験は数え切れないほどあります。
組織の中で仕事をすると、
資料だけで伝えなければならなかったり
メールや短い時間で要点を絞って伝える
といった場面が多々あるかと思います。
そこで誰が見ても、どんな立場の人であっても
「なるほど」
と理解してもらえるような、論理が通ったものでなければ、
どうしても“感情的”“思いつき”といったように
捉えられてしまいがちなのかもしれません。
私が「もったいない!」と思う理由はそこにあります。
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■コンセプチュアルスキルが身につきやすい業務とは
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現場で直接業務に当たっていると、
近視眼的になりがちで、意識しないと長期視点を
持ちづらいと感じている方も多いかもしれません。
特に技術系企業では新3K(きつい・厳しい・帰れない)
といった職場環境もあって、現場の対応で手一杯で
会社視点、経営視点が醸成しづらい状況も考えられます。
しかし、私が技術系企業に特化した次世代リーダー育成や
女性管理職育成のプロジェクトに取り組む中で気づいたのは、
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共通系(人事・企画・管理など)の業務に携わる人は
長期的視点を持ち、比較的コンセプチュアルスキルが高い
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ということでした。
私自身、技術系大企業で働いていた頃、
とりわけ技術系部門の人材育成担当になってからは
常に現場の管理職や社員の皆さんの納得性を
高める伝え方を意識していました。
さもなければ、育成施策の企画・実施が
全て形骸化するといったことにもなりかねず、
ひいては社員の成長、さらにその先にある
会社成長にもつながっていきません。
このように、共通系の業務に携わることで、
自然とコンセプチュアルスキルを訓練することに
つながっているのではないかと私は考えています。
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■伝え方1つで変わる!
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男性管理職比率8割超といった技術系企業では
経営者も管理職も男性ということが殆どかと思います。
その中で、女性がダイレクトに意見を伝えてしまうと
なかなか理解してもらえないということが起こりがちです。
では、技術系企業の中で私が周囲に対して
意見を伝える際にどのようなことを意識していたか
というと、
・相手の視座・視点を把握する
・相手の納得ポイントを想定して話す
・伝える内容の順番を考慮する
・端的に伝える
このようなこと普段から意識して伝え方を変えたことで、
男性上司に自分の意見を理解してもらいやすくなり、
会議での発言に対する賛同もえられるようになっていきました。
「これまで私の伝え方に配慮がなかった」
ということを痛感したと同時に、
“伝え方1つで変わるんだ”
ということを実感した経験でした。
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■経験を重ねてコンセプチュアルスキルを高める
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人がマインドチェンジをしたり、自身の成長をもたらすような
キーファクターは以下の3つだと言われています。
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●人の成長に影響を与えるキーファクター
「経験70%:人の影響20%:座学10%」
(米ロミンガー社調べ)
経験⇒いかに適切な機会・場を与えられるか
人の影響⇒どれだけ熱い思いや哲学に触れられるか
座学⇒どれだけ知識を教えてもらったり書籍で学ぶか
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つまり、人が成長したり気づきをもたらすために重要なことは、
自分で実際に経験したり、気づきを促す関わりによる体験が
必要不可欠であると言えるかと思います。
もし、自社の社員にコンセプチュアルスキルを
身につけてもらいたい、と考えている際には、
やはり【経験】が必要不可欠だと私は考えています。
例えば、人事ローテンションで共通系の業務経験を
積んでもらうことが、コンセプチュアルスキルを
醸成するには最もよい方法だと思います。
しかし、共通系に人事ローテーションできるのは
どうしても一部の人に限られてしまうものです。
だからこそ、人材育成施策で取り組み、
その内容は座学だけではなく、長期間の現場実践型で
経験も重ねていく方法を考えていただきたいと思っています。
その中で、他者との相互支援の仕掛け等も取り入れることで、
多様な価値観をもつメンバーとの関わり合いから刺激を受けつつ、
擬似体験しながらコンセプチュアルスキルを高めていくのが
私の経験則から最も望ましいと考えます。
もし、技術系企業の人事担当者・管理職の方で、
共通系の部署ではない女性社員のコンセプチュアルスキルを
高めたいと考えている際には、
・論理的な伝え方のコツをアドバイスする
・現在の仕事の中で、長期的視点が醸成されるようなプロジェクトや仕事内容を任せる
・実践型コンセプチュアルスキル醸成研修などに参加させる
このような対策を積極的に考えて欲しいと思っています。
- 経営戦略・経営管理
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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