101人以上の技術系企業向け女性活躍推進・行動計画策定のコツ
女性活躍推進法の対象企業が2022年から101名以上の企業に拡大されることから、
「どうやって計画すればいいのか?」
「計画達成に向けた具体的な取り組みは?」
といったご相談が当社でも一気に増えています。
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■目標数値も大事。でも数合わせはNG!
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女性活躍推進法では、一般事業主行動計画を策定する
義務があるのはご周知のとおりですが、
“行動計画”ということで目標数値を掲げる必要があるかと思います。
この目標数値を出した際におすすめしたいのが、
「現場の実態を把握した上での目標か?」
「今後の会社の方向性、また人事戦略と整合性を取った目標になっているか?」
といった問いかけをするということです。
このステップを踏まずに行動計画を策定してしまうと、
現場社員の不安・不満を増長させたり、
モチベーション低下を招くことも十分あり得ます。
例えば、当社が発行している調査データ(↓)
「女性活躍推進2.0実態調査結果〜技術系企業におけるダイバーシティ経営の実態と展望〜」https://jinjibu.jp/materials/index.php?act=detl&id=10856
こちらの結果のうち、管理職と女性社員の意識乖離が
顕著だった結果を以下に挙げてみると・・
--<管理職層>--------------------------------------------
Q. 女性リーダー育成の課題は?
1位:リーダー的立場になりたがらない(29%)
2位:このままでいいと感じている(22%)
3位:感情的になりがちな傾向がある(15%)
(※技術系企業の男女管理職312人の回答)
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--<女性社員>--------------------------------------------
Q. 今後、昇格したいですか?
昇格したい〜どちらかと言うと昇格したい⇒65%
(※技術系企業の女性社員296人の回答)
---------------------------------------------------------------
このように、上司側からみた女性社員と、
実際の女性社員の業務に対する姿勢は
すれ違ってしまっているのが分かるかと思います。
もし、同様のことが自社で起きていて、
その実態を把握しないまま女性活躍推進に取り組んで
しまうと、今まさに、私が多くの企業から相談を受けて
いるような以下の課題に直面してしまいかねないと懸念しています。
- 女性管理職のマネジメントスキル不足
- 昇格への意義が見出せず女性社員がリーダーになりたがらない
- 部下なし女性管理職の増加
- 女性部下を持つ男性の女性リーダー育成に対する知識不足
- 女性活躍推進に対する全社的な認識不足
- 新たに創設した人事制度の形骸化、ほか。
だからこそ、現場の実態をよくよく把握した上で、
会社の経営方針、特に人事戦略と合わせた目標設定を
行うことが、中身の伴った女性活躍推進になると思います。
それは、女性活躍推進の本来の目的である、
●女性活躍推進を通して、全社員が
これまで以上に成長することで会社全体が成長する
これを実現するための、最も重要な取り組みの1つだと
私は考えています。
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■事業戦略と人事戦略を踏まえた施策立案を
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弊社がダイバーシティ経営改善プロジェクトとして
関わらせていただいている殆どの企業様が
来年度から新たに女性活躍推進法の対象企業となる
101人以上300人以下の技術系企業となっています。
では今現在どのような取り組みを行なっているかというと、
あるIT系企業様では、主に全社の事業戦略、それに紐づく
人事戦略を検討し、その戦略の中で女性活躍推進を
同時進行させるためにどうやって整合性を取っていくかということを
プロジェクトメンバーに話し合っていただいています。
一方、人事機能が十分でない状況のまま
事業が急拡大し、早急な対策が必要な企業様もあります。
この企業ではダイバーシティの考え方に則った形の
人事ノウハウ、事業戦略のための知識・スキル付与、
そして実態調査からどのような施策が必要かを
アドバイスしながらプロジェクトを進めている段階です。
先日の全体MTGでは、メンバーが多忙な業務の合間に
話し合ってきた、現場の実態に即した事業戦略アイディアを
まとめて発表したのですが、その内容に経営者も納得し、
大いに褒めていただきました。
プロジェクトメンバーの士気がより一層UPしたことは
言うまでもありません。
このように、会社の方向性をしっかりと見据え、
人事戦略との整合性を保った上で取り組む
女性活躍推進・ダイバーシティ推進より他に、
効果的かつ効率的なものはないのではないかと
私も今から大いにその成果に期待しているところです。
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■真の女性活躍推進をもたらすために
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もし、自社が来年度から女性活躍推進法の対象企業と
なっており、これから本格的に準備に入るという際には、
ぜひ、その取り組みが形骸化しないようにしていただきたいと思っています。
今回ご紹介したように、これまで女性活躍推進に
取り組んできた多くの大企業でよく言われているのが
「行動計画のための数字づくりにフォーカスしてしまった結果、実態が伴っていない」
といった課題です。
特に、男性管理職比率8割超といった技術系職場で
女性活躍推進に取り組む際には理解しておきたい
よくある事象、現場で起こりがちな実態、陥りがちな
落とし穴など、それ以外の企業とは違ったコツやポイントが
あると、私自身の実体験、そしてこれまで1,200人超の
人材育成に取り組んだ経験から確信しています。
引き続き、このコラムでは私が技術系企業特化の
女性活躍推進を中心としたダイバーシティ経営コンサルティングの
具体的な取り組み内容をご紹介してまいりますので、
自社の施策立案等のご参考になればと思います。
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■現場の実態に合わせたアプローチ方法を
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自分の新たな特性や強みを、人から言われて初めて気づいた、
という方は意外と多いのではないでしょうか。
同様に、ダイバーシティ経営改善プロジェクトを進める際に
実施する「実態調査」の分析をしていると、
その企業の課題とともに、これまで気づかれなかった
強みや長所にたどり着いた、ということが多々あります。
私は技術系企業に特化したコンサルティングを行なっているため、
同業界で、同規模の企業で、課題感が似通っている事例を
多く取り扱いますが、実際にプロジェクトが立ち上がり、
細部に入り込めば入り込むほど実態や強みはそれぞれ異なり、
それに伴ってアプローチ方法も微妙に異なっていくのが
毎回本当に興味深いなあと感じています。
これからも、企業様ごとの特性や強みを引き出しながら、
「これまで以上の会社成長」という最終目的を達成する
女性活躍推進となるよう、二人三脚でサポートしていきたいと思います。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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