30年超の現場実践で確信した「男女の意識差」という課題
現在、女性管理職育成プロジェクトで関わっている、とある技術系企業の女性Aさんから、
現場実践の課題で相談に乗って欲しいと連絡がありました。
この相談を通して、やはり「男女の思考差」があるな・・と改めて感じた次第です。
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■ロジカルシンキングに苦手意識がある!
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ある技術系企業様において、女性管理職育成プロジェクトを
スタートして8か月目、今はオンラインワークショップに向けた
事前動画セミナー視聴+課題実践の期間中で、
取り組みテーマの1つが「論理的思考」となっています。
ロジカルシンキングなどに苦手意識を持つ女性が多い傾向があって、
今回の課題にも苦戦している様子が伝わってきています。
事前動画セミナーを公開して間もなく、受講者のAさんから
早速個別相談が舞い込んできた内容がこちらです(↓)
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「PREP法で論理的に伝えるという課題で、
ロジックツリーを使った論理展開を考えていたら
混乱してしまいました・・。
先生、アドバイスいただけませんか?」
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Aさんの作成したロジックツリーを見ると、
結論を導く複数の理由をMECEに分類しなければ
ならないところで躓いているのが分かりました。
さらに、その複数の理由は、自分が出した結論から
紐づく情報を元にしているため、独りよがりで偏った意見
という印象となってしまい、結果として、聞き手の納得を
十分に得られない内容となっていたのです。
今回の個別相談を通して、Aさんの思考の癖や
主張したい結論を詳しく把握することができたので、
私はAさんへのアドバイスとして、
・表現方法(相手に伝わる書き方)
を中心にフィードバックさせていただき、
Aさんも「こうすれば伝わるんですね!」と納得して
ご自身の思考の癖に気づかれた様子でした。
組織で働く上では、論理的思考で意見を伝える、
根拠を主張するという場面は多いかと思います。
さらに、どんな言葉が相手に響きやすいのか、
どういう伝え方が最も適切なのかは
今自分が置かれた現場で実践してみないことには
分からないのではないでしょうか。
Aさんの現場実践課題に一緒に取り組みながら、
改めて、実践する大切さを感じたのでした。
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■実践に取り組むモチベーションにも男女差あり?!
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当社のプロジェクトは「現場実践」を必ず取り入れているのですが、
この「現場実践」に対するモチベーションの持ち方が
男女で違うことを今まさに肌で感じているところです。
あるIT企業様において、男女混合でチーム編成した
ダイバーシティ経営改善プロジェクトをサポートしており、
ここでも「知識習得」+「現場実践」という形で、
スキル向上と実践力を身につけながら組織改革に取り組んで
いただいています。
現場実践してもらうにあたって、男女とも共通しているのが
●“何を言うか”よりも、“誰が言うか”に重きを置く
ということだと感じています。つまり、
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経験者の言葉を受けて「あなたが言うならやってみよう」
という気持ちが働き、実践意欲につながる
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というイメージです。
一方、現場実践におけるモチベーションの男女差については、
私はこのように感じています。
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男性:外的要因。話し手の権威・ポジション・立場(過去の立場も含む)
などハード的な面から、その人の話をきいてみようという
モチベーションにつながる。
女性:内的要因。話し手の人間性、内面的なところに共感できるかどうか
を重視しており、信頼できると判断すればモチベーションは急上昇する。
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このことから、比較的男性は成果につながるスピードが
女性と比べると早いという印象を抱いています。
女性は多少時間を必要とする分、実践すると気持ちが定まれば
直感的に、一気に成長していくという特徴がある、というのが
私の経験則から得られた体感です。
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■成果も、成長も「実践」でしか得られない
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Aさんが現場実践を通して気づきを得て、自分の思考の癖に
気づいたように、「実践」して「経験」しなければ得られない
情報や成果・成長があると私は考えています。
それは、技術系職場のダイバーシティ推進や女性活躍推進プロジェクトを
サポートする側にいる私においても同様です。
「弊社は男女平等の業務内容なので
女性活躍推進ではなくダイバーシティ推進でお願いします」
という企業の人事担当者がおっしゃる一方で、
現場で働く女性たちの生の声に一人一人耳を傾け、
次世代リーダーとして選抜された社員の皆さんが
今何を考えているのか、どういう思考で行動しているのかを
現場実践課題を通してその状況を間近で見ることで、
その企業が抱える根本課題が見えくることがほとんどです。
プロジェクト進めながら、個別相談や課題添削に取り組むことは、
私にとって大変な時間と労力が必要となりますが、
これが私にとっての「実践」であり、そこから得られる情報から
企業の中にいては気づきづらい課題の本質に辿り着いたりするので、
関わる企業にとっても、私とっても、本当に大きく、得難い
経験・成果となり、私の中に蓄積されています。
これまで蓄積された26年間の技術系大企業での実体験、
女性管理職10年という経歴、のべ1200人の人材育成で「実践」して
培った経験を持つ私が言えることがあるとすれば・・
やはり、男性管理職比率8割超といった技術系企業においては
「男女の違い」について、互いに学び、その特性を
打ち消しあうことなく、活かしあって、それぞれの良い面を
融合した形で、今までにない新しい考えや価値を
生み出していくという認識を広げる必要があると思っています。
*
「実践」し続けることで、得られる成果・成長は
今想像しているものを、優に超えるものと言っても
過言ではないと私は思います。
特に、企業は人で成り立っている以上、
社員一人一人の成長に関わる取り組みの手を
緩めることは、企業成長を止めることに等しいと思っています。
企業の人事担当者の方や、社員育成に直接関わる立場に
ある方には、ぜひ「現場実践」を含めた育成施策について
考える機会を持っていただきたいと願っています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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