組織力を上げる〜女性視点を組織運営に融合するために
ダイバーシティ経営コンサルティングや女性活躍推進プロジェクトで関わらせていただいている企業様は、
昨今のような状況だからこそ社員ひとりひとりの力を引き出しあって、みんなで乗り越えていこうとしていています。
その姿を間近でサポートさせていただいていると先が読みにくく、先行き不透明なこの時代には
ますます「組織力を上げる」ということが重要であることを実感している今日この頃です。
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■会社のピンチを乗り越えるのは「人」┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
「人の成長が会社成長につながる」
と認識されている企業様においては
会社が困難な状況に陥っている時ほど
人材育成の手を緩めず、組織の変革を起こそう、
社員一丸となってピンチをチャンスに変えていこう、
という熱意に溢れていると感じています。
その一方で、会社存続を第一に考えた結果、
「コロナが収まるまで、なんとか持ち堪えよう」
という考え方に至り、一時的に人材を解雇する
という苦しい判断を下す企業も少なくないかもしれません。
「みんなで乗り越えよう」
VS
「今はやり過ごそう」
この考え方から差がついてしまうものこそが
「組織力」ではないかと考えています。
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■組織力を高めるキーパーソンは中間管理職
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組織力を高めるために私が考える最も重要なことの一つが【多様性】です。
多様な価値観を持った人たちが
互いの多様な考え方を引き出しあって、
受け入れあい、融合していくことで
それまでになかった新たな価値や知恵が生まれ、
発展を遂げていくものであると思っています。
多様な人材の考えや特性を引き出すという
大切な役割を持っているのが、殊組織においては
●中間管理職
が主であり、その人たちのマネジメント力次第で
組織力の高まり方も大きく関わってくる、と
各コンサル先の企業様をサポートしていて
より強く感じています。
というのも、組織のトップが多様性を引き出す
重要性を認識し、理想のビジョンを示していても、
現場の社員にそのビジョンが伝わりきっておらず、
その手前にいる中間管理職層でストップしていた、
といったことを実際に目の当たりにしたことが
大きいかもしれません。
だからこそ、私が技術系会社のダイバーシティ経営コンサルティングに
取り組む際には、多様性を生み出す第一歩としての
女性活躍推進プロジェクトと同時並行で
「組織風土醸成」
「中間管理職層のダイバーシティマネジメント力向上」
を同時に実行する施策を展開しています。
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■技術系会社にダイバーシティ推進をもたらす「女性視点」
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特に男性管理職比率8割超といった技術系会社において
多様性をもたらす取り組みの第一歩は
「女性活躍推進」だと考えています。
とはいえ、多くの技術系企業においては
女性社員比率が高まってきており、
女性たちが男性社員と変わらない仕事内容で
しっかりと力を発揮しているかと思います。
そこであえて「女性活躍推進」に今一度目を向けて
取り組みを進めようとする理由は、
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今の事業に女性視点を融合することで
これまでにない組織力の発展をもたらす
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という成功体験が、最も効率的かつ効果的に
ダイバーシティ&インクルージョンを実現することに
直結すると考えているからです。
「女性が活躍するというステージから、
女性視点が組織運営に融合されて
それまでにない気づきやイノベーションがもたらされた!」
そういった実体験を通して、より一人一人の個性や
考えを引き出すということに、心から価値を感じて、
真の多様性を組織にもたらして欲しいと願って止みません。
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■ダイバーシティマネジメントの重要性
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私が大手技術系会社に勤めて管理職として
働いていた時も、ダイバーシティマネジメントを
意識して行っていたというわけではありませんでした。
とはいえ、結果的には会社の方針を踏まえて、
部下一人一人に目指す姿を示し、
それぞれの仕事がどのように会社の目指すそれに
つながっているのかを丁寧に説明する、
という関わりを続けていたのです。
この関わりによって、部下の業務がどのような形で
会社貢献へとつながっているのかを明確にでき、
その目標達成のため部下自ら考え・行動するという
自律性が促されるという効果が現れました。
最終的には、メンバー一人一人が持つ力を
最大限発揮しながら、生産性向上を実現した先に、
チームとしての成果も最大化され、会社利益を
もたらすという結果を手にすることができたと思っています。
これは、瞬間的・偶発的な結果ではなく、
これからも継続的に成果を出せる、
発展性のあるチームづくりができるんだという
手応えとして私の記憶に刻まれています。
このように、継続的に成果を出し続けるチーム作りが
継続的な企業成長に欠かせないものである以上、
そのチームと会社をつなぐ中間管理職層の
ダイバーシティマネジメント力向上は不可欠だと
私は確信しています。
だからこそ、今もダイバーシティ経営コンサルティングで
関わっている各企業様の中間管理職層のみなさまに対して、
ダイバーシティマネジメントのスキル向上を支えつつ、
「5年後、10年後の会社を支える重要な役割を
みなさんが担っているんですよ」
というメッセージを随所に散りばめるという
意識醸成の取り組みには余念がありません。
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■チームメンバーの士気を左右する上司力
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少し前の話になりますが、
今年の初めにある技術系会社の女性社員約60名と
一人一人、面談を実施しました。
女性社員の皆様は、全国の各拠点で業務に携わっており、
各自スキルも高く、会社貢献の姿勢も素晴らしかったのですが、
仕事に対するモチベーションに関しては落差が大きく、
全員との面談を終えた結果、拠点ごとにその落差があることに
気づきました。
それらの結果を人事担当者へ報告すると、
「やはり直属の上司による影響が明白ですね・・」
とおっしゃっていたので、詳しく伺ってみると、
モチベーションの低い拠点の上司は就任したばかりで
上手くいっていないことは様々な方面から聞こえていた、
というのです。
どうやら、それまでの上司は女性部下ひとりひとりの
特性や強みを引き出しながら、本人の成長を促すという
関わりをしてきたものの、新たに就任した上司は
「業務内容が良く分からないから」
「自分でいいと思ったらやってみて」
といったような関わりが主となっており、
結果として女性部下が
「何度提案しても受け入れられていない気がする」
「成果を出しても認めてもらえない」
といった印象が拭えず、仕事へのモチベーション維持に
苦心しているという状況だったのです。
私が技術系職場の人事に携わっていた時も、
上司が変わったら部下のパフォーマンスが劇的に
アップした(もしくはダウンした)、という話は
よくあることでした。
もちろん、上司と部下の相性というものも
あるかもしれませんが、それを超えたところにある、
上司の関わり方、そして人間性、在り方、といったものが
チームパフォーマンス全体にインパクトを与えているんだ
ということを改めて実感した出来事でした。
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■女性視点を組織運営に融合するために
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人の育成は一度行ったら終わり、ではないことは
誰もが知るところだろうと思います。
私自身も、中間管理職層に対する
ダイバーシティマネジメント向上の取り組み自体が
知識付与・意識醸成と併せて、自分で実践できるところまで
サポートすることが使命であると考えて日々取り組んでいます。
もし、男性管理職比率8割超といった技術系会社の
人事担当者の方で、これからダイバーシティ推進や
女性活躍推進の施策立案に取り組まれようとされている際には、
●中間管理職の育成=ダイバーシティマネジメント力向上
この取り組みを施策の一部として同時進行させることを
ご検討いただければと思っています。
もし、中間管理職層が、職場のマイノリティである
働く女性社員の強みを引き出し、女性ならではの視点を
仕事に取り入れ成果を出すことができれば、
まさに「女性視点を組織運営に融合」する第一歩と
なるのではないでしょうか。
それが、多様な価値観を喜んで受け入れる職場風土の醸成や、
組織力が高まる礎となるのではないかと私は考えています。
ここまでコラムを綴っていて、山本五十六の言葉を
思い出していました。
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やってみせ、言って聞かせて、させてみて、
ほめてやらねば、人は動かず。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
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組織力を高めるには、何をおいても
まずはそこにいる「人」を育成することだと
先人の言葉からも改めて感じています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
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- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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