「自社の女性活躍推進は終わった」という誤認識
私がダイバーシティ経営コンサルティングで関わらせていただいている
企業様の殆どが技術系会社であり、その全ての経営者様が
「我が社は人が財産です」と明言されています。
中でもIT企業様のその姿勢はゆるぎないものであり、
特に、社員がお客様先へ常駐するサービス提供をしているような場合には、
「人が財産」
という認識が当たり前なのかもしれません。
それもあってか、経営者様は、
「利益が出たらまず社員に還元する。そして常に社員の育成に取り組むことが、
結果として新たな価値を生み出して、会社成長へとつながっていく」
と皆様断言しておられるのです。
私は、この姿勢から
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人材=新しい価値を生み出すリソース
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というメッセージを受け取り、そして深く共感している次第です。
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■「自社の女性活躍推進は終わった」という誤認識
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先日、ダイバーシティ推進の施策立案について
個別にご相談を受けている、あるIT企業で実施された
SDGs推進プロジェクトのミーティングに
オブザーブ参加させていただいた時の話です。
ファシリテーターを務めたSDGs専門家から
ジェンダー平等についての話題提供があり、その中で
「日本は男女共に“男性は仕事、女性は家庭”という意識が
どうしてもあるので、ジェンダーギャップがまだまだ
残っているのが現状です」
とおっしゃった際、その場にいたプロジェクトメンバーの一人
(本部長クラス・男性)が、こんな発言をされました。
「弊社は女性社員数は少ないですが、普通に男性と
同じ仕事をしているので、女性活躍については
すでに達成していると思います。制度も整っていますし。」
続けて、人事部長(男性)からはこんな意見が出されました。
「育児休暇制度は整っていますが、女性における
制度利用者は少ないという実態があります。
そういった意味では、女性活躍推進については
課題もあるのではないでしょうか」
すると、他の男性メンバーからはこんな発言が・・。
「(育児中の女性社員は)時短は取ってますよね」
「子どもが小さいうちは残業厳しいから」
私はこの一連やりとりを聞きながら
【女性=育児】という認識が、とても自然な形で、
当たり前のようにその場で語られていることに
違和感を感じてしまいました。
このミーティングに参加しているメンバーが
全員男性だった(=男性視点で運用されている企業)
ということも関係しているかもしれませんが、その場では、
“育児は男女ともに行う”
“男性の時間短縮勤務”
そんなイメージを抱く隙間さえ感じづらかった、
というのが正直な私の印象でした。
もし、このIT企業様を今後サポートしていくなら、
どこから始めようか、様々な課題がありそうだな・・と
考えさせられた時間となりました。
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■男性視点で運営された組織から一歩抜け出すために
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ソニーを創業した井深大氏は、
「常識と非常識がぶつかったときに、イノベーションがうまれる」
と言っています。
殊技術系企業においては、常に新しい技術・サービスを
世に送り出し続けることが求められている以上、
多様な意見を取り入れる必要があると考えられます。
つまり、ダイバーシティ&インクルージョンを
最も必要とし、それが会社成長を左右するような、
“経営課題”として直面しているのが
まさに技術系企業ではないでしょうか。
私はこれまで1,200名超の技術系企業における
人材育成に関わり、また男性が多い職場環境で長年
働きながら管理職も経験してきた実体験を通して、
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考え方、価値観、視点、発言の仕方・・・
などその違いが大きい傾向にあるのが「男女間」である
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という確信を抱いています。
だからこそ、主に男性視点で運営されている、
男性管理職比率の高い組織には「女性視点」を
少しずつでも意識して取り入れて融合することが
この行き不透明な時代に、継続的な会社成長を
もたらす第一歩となると考えています。
「女性視点」を意識的に取り入れるための施策が
技術系企業ならではの女性活躍推進であり、
ダイバーシティ推進であるとして、私はこの分野を
専門にサポートすることが、社会貢献へと
つながっていくと信じています。
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■イノベーションの第一歩は「業務改善」から
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少子高齢化、労働力人口の減少に直面する日本では
多様性ある職場環境作りは急務です。
今、新型コロナウィルス感染症拡大による影響で
テレワークが一気に進んだように感じる一方で、
「取引先がいわゆる男性社会で、
それに合わせる必要があるからテレワークが難しい」
という現場の実態も明らかになっています。
世界に目を向ければ、時差を物ともせず
活発なビジネス活動をする海外企業が多くあるのは
ご存知の通りかと思います。
日本でも、海外ユーザーとの取引時に生じる時差にも
柔軟に対応できるような働き方を社会全体で
受け入れていかねば、世界との差はますます
広がるばかりではないでしょうか。
このような状況を鑑みると、もはや
ダイバーシティ&インクルージョンは
全ての日本企業における経営課題と言えるのかもしれません。
しかし、いざダイバーシティ&インクルージョンに向けて
取り組もうとしても、一体何をどこから始めればいいのか
分からない、と思う方も少なくないと思います。
その迷いや悩みを打破する具体的な取り組みとして
私がお勧めしているのが、
●業務改善
です。これは、当社が提供する全てのサービス
(コンサルティング、プロジェクト、研修、講演など)
においても、“実践要素”として必ず取り入れています。
劇的なイノベーションを求められると
人によっては大きなプレッシャーを感じてしまうこともあるでしょう。
一方、「少しの工夫で、楽になるかもしれない」という
一人一人の小さな業務改善は、取り組みやすさという側面は
もちろん、実際に取り組んで成果につながれば、
生産性向上に対する意識が高まり、継続的な業務改善の実践
にもつながっていきやすいと言われています。
互いの業務改善アイディアを持ち寄れば、
新たな視点が生まれ、結果として、大きなイノベーションとなって
成果につながる可能性もあるでしょう。
もし、技術系企業において、これからダイバーシティ推進や
女性活躍推進に取り組間れる際には、
知識やスキル付与といった施策にプラスアルファで
「実践」を組み込んだ形でご検討いただければと思います。
それが、個人の成長を促し、会社が求める成果創出を
もたらす有効な施策につながっていくはずです。
*
今回のコラムを書きながら、女性活躍推進プロジェクトで
2年間サポートしている技術系企業の女性社員の皆さんを思い出していました。
女性視点を取り入れたい経営層と、
自分の力を発揮したい、貢献したい女性社員。
でも、話が通じ合わず、同じ志なのに気持ちはすれ違ったままなので
どうすればいいかと相談を受けたのでした。
この原因を探るべく、女性社員約60名全員と1on1ミーティングを
実施した結果、全員がいわゆる「経営視点」を通した言語化が
不十分で、経営層(男性)には、女性たちが懸命に意見するも
何を言っているか理解できていなかったことが判明(!)
私は、会社側が何を求めていて、それを受けて
こちらからどう伝えればいいのかを丁寧に説明した結果、
「ああ、そういうことだったんですね!」
と全員から目から鱗みたいな表情をされていました。
その後、人事担当者(男性)から、
「現場の管理職から『部下の話が分かりやすくなった!』
とフィードバックが続々入っているんですよ」
と嬉しそうにおっしゃっていただけてホッとした次第です。
男女視点の融合には、双方の歩み寄りが大事であると同時に、
その風穴を最初に開けるのは、女性たちの行動・成果・発信にあると
手応えを実感した出来事でした。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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