技術系会社の女性活躍推進を成功に導く3つの意識改革
技術系企業における女性活躍推進が
思うように進まないという人事担当者の方から
ご相談をいただくたびに、「技術系企業ならでは」の
課題感を目の当たりにします。
今回は、その課題感の要因について、
「3つの立場」の視点から紐解いていきたいと思います。
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■三者三様の認識
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技術系会社の特徴として、男性管理職比率が8割超と高く、
男性の目線で運用されている組織ということが
挙げられるかと思います。
その特徴を持ち合わせた上で、現在まで会社成長を
遂げてきており、今後も成長の見込みがあることが
容易に想定できる状況下にあれば、
「女性活躍推進は、本当に必要なのか?」
という気持ちがどこかにあっても
それは致し方ないのかもしれません。
とある技術系企業の経営層との情報交換の場で、
「女性が活躍しなくても弊社は大丈夫だと思う」
とストレートにおっしゃっていた方に実際に
出会ったこともあります。
現場の男性管理職においては、
「女性社員の力を引き出すため、自由にやらせています」
という認識を持ちつつも、女性部下を育成することに対して
具体的にどうすればいいか分からず、放任気味という現状を
抱えている場合も少なくありません。
女性社員においては、なんとなく働きづらさを感じながら、
新3K(きつい・厳しい・帰れない)の職場で出世なんて
考えられない、常に刷新される技術に追いつくので
精一杯だからリーダーなんて無理、と考えている方が
多く見受けられます。
「経営層」「男性管理職」「女性社員」
この三者それぞれが、女性活躍推進の意義や
自分にとってのメリットについて、納得感を持って
自分事として受け入れるという前提があって、
初めて、「女性活躍推進」と向き合う第一歩に
なるのではないかと私は常々思っています。
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■技術業界の動向から未来を読み解く
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技術系企業における女性活躍推進の取り組みは、
「経営層」「男性管理職」「女性社員」
これら3つの立場からみると、まだまだその意義を
認識しきれていない現状が伺えるのが私の体感です。
一方で、技術業界の動向を見ると、
技術系企業における女性活躍推進は
今後日本社会で生き残っていくために
重要な経営課題であることは否めません。
例えば、技術系企業のうちエンジニアリング業界の
動向を見てみましょう。
事業タイプとしては
・価値創造型:新規ビジネスや新たな価値を生み出すことを目的として技術を利用
・課題解決型:業務効率化やコスト削減を目的とした技術を利用
この2つに分けられますが、
IT人材白書(発行:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)社会基盤センター)
によると、現在成長しているIT企業およびユーザー企業において
拡大傾向にある事業は、いずれも、
【価値創造型事業】
という結果が数値でも明確に示されています。
将来的にさらに「価値創造型事業」が拡大することから、
求められる人材像も
・問題を発見する力(探索能力)
・デザイン力
・新しい技術への好奇心や適用力
・独創性や創造性
といったことに優れた人材確保が重要になります。
つまり、多様な価値観を持った人材がそれぞれ持つ
特性を引き出し合いながら、その力を融合して
新たな価値創造をもたらす取り組みが必要不可欠に
なってくるということではないでしょうか。
これはまさに、ダイバーシティ&インクルージョンであり、
今後の会社成長を左右する重要な経営課題といっても
過言ではないと思います。
だからこそ、技術系企業に代表される、男性視点で
運用されている組織において、もし「女性」という
最大多数のマイノリティの視点を取り入れた事業運営が
行われていない実態があるのであれば、
ダイバーシティの実現はかなり難しいものであると
言わざるを得ないと考えられます。
これが、技術系企業における女性活躍推進が
経営課題であると言われる所以です。
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■3つの立場から、3つの意識を変える
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私は技術系企業に特化した
ダイバーシティ経営コンサルティングに
携わっているため、技術系企業における
女性活躍推進がいかに進めづらいかについては、
現場人事担当者のリアルな苦悩を受け止めながら
日々肌で感じています。
人事担当者がいざ女性活躍推進に向き合おうとすると
ぶつかる代表格、
「経営層」「男性管理職」「女性社員」
この3つの立場の、それぞれの意識の乖離が激しく、
更にダイバーシティへの認識が不十分であったりすると、
「一体どこから手をつければいいのだ!」
と八方塞がりとなってしまうことも
少なくありません。
そこで、私がよく考え方の切り口としてお伝えしている
「3つの立場から、3つの意識を変える取り組み」
について、少しここでご紹介できればと思います。
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1)経営層
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<課題>
「今まで男性視点で成長してきたら、このままでいい」
と考える傾向が見られる
<取り組み>
技術系企業における価値創造型事業のニーズの高まりを
認識してもらう。さらに、男性視点という画一的な運営では
新しい価値は生まれづらいため、女性視点を取り入れることで
これまで以上の成果に結びつける意義を醸成する。
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2)管理職
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<課題>
・男女に限らず、アンコンシャスバイアスを
持っていることへの弊害に気づきづらい環境にいる
・多様な人材の強みを引き出す関わり、メンバーの力を
最大限発揮してもらうための環境づくりなど、会社が
求める管理職像やあるべき姿を認識しきれていない
<取り組み>
・自身の無意識の偏見について振り返り気づきを促す。
・ダイバーシティマネジメントの必要性を認識してもらう。
⇒特に、女性部下の育成のコツをインプット
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3)女性社員
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<課題>
なぜ、今自社で女性活躍推進が必要なのか
取り組む意義についての認識や理解が追いついていない
<取り組み>
「なぜ女性だけ」「自分は活躍しなくていい」
「技術職だから、管理職に興味がない」といった
現場女性社員からの率直な意見を受け止めながら、
自分だけの視点から、会社や社会という一段上の視点から
現在の自分を見る機会を得ることで、意識醸成を図る。
***
ここではざっくりとしたご説明に留めておりますが、
技術系企業ならではのよくある課題を、3つの立場から
それぞれ意識を変えるような取り組みを行うことで、
今後の事業運営や人材育成を展開する上で重要な
共通認識という土台となってくれると考えています。
人事担当者や、女性活躍推進担当者といった立場にある方で
組織の意識改革を考えるような場面で、考え方の一つとして
ご参考になれば幸いです。
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■人事担当者の思いが起点となる
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ダイバーシティ推進や女性活躍推進といった
全社的な取り組みの起点は、やはり「人事担当者」
「女性活躍推進担当者」「ダイバーシティ推進担当者」
という立場にある方ではないでしょうか。
意識改革は、思うように進まないのが当たり前で、
多くの時間を必要としますし、なかなか結果が見えないので、
辛くなってしまうこともあるかもしれません。
それでも、人事担当者といった立場の方が、
社員の可能性を信じて、会社成長につなげたいという
思いさえあれば、それが原動力となって、必ず
よい結果が得られると思っています。
どうか、焦らずに、諦めずに、
取り組み続けて欲しいと願っております・・!
- 経営戦略・経営管理
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- キャリア開発
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
---|---|
所在地 | 千代田区 |
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