女性は感情的だから、リーダーに向かない?
昨年度実施した女性活躍推進2.0実態調査2019と、今年の結果を比較すると、
特に、男性管理職からの意見として
「女性の感情的な性質が課題だ」
「女性はリーダーには向いていない気がする」
といった声が今年は目立つように感じています。
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■女性は感情的だから、リーダーに向かない?
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私は、組織で働く女性の言動が感情的な発言として
男性側に受け取られてしまっていることが
非常にもったいないと常々感じています。
前回のコラムでも「目標設定を苦手とする女性」について触れましたが
●MBO(目標管理制度)を上手に運用するために
https://jinjibu.jp/spcl/hosoki/cl/detl/3480/
どんなに能力が高くても、伝え方一つ、書き方一つで
「感情的だな」「理解できていないのかな」と周囲から
見られてしまっているのであれば、やはり女性側も
自分の意見を発信する際に、どんな注意が必要なのか、
相手の受け取りやすい言語化力の向上など、
「自分に必要かもしれない」という当事者意識を持って、
理解を深める取り組みが必要ではないかと思います。
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■「思うように伝わらない!」という気持ち
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女性が感情的に見えてしまうのは、
本人が思うような形で伝わっていない、
相手に受け取ってもらえない、という気持ちが
どこかにあるからかもしれません。
そこには、視点の違い、男女の価値観の違い
と言ったものが関係していることが往々にしてあります。
また、女性の特性の一つとして、責任感の強さがあると
言われていますが、自分事として真摯に業務に向き合うほど、
思いが高まって感情のまま話をしてしまって、結果として
「言いたいことがわからない」
と言われてしまったり、発言がストレートになってしまい、
「正論かもしれないけど、言い方がキツくてちょっと・・」
という印象を与えてしまって、思うように自分の提案が
通らなかったり、仕事が進めづらいという状況に
追い込まれてしまうこともあります。
私自身も女性であり、リーダーになりたての頃には
感情的なマネジメントで失敗をし、周囲に対して悪影響を
及ぼしてしまったという痛い経験があるので、
ついつい熱くなってしまう気持ちもよく分かります。
しかし、特に男性上司が多い職場であれば、
男女の意識差を理解した上での、女性ならではの
リーダーシップを身につけたり、
男性上司においても、性別等に限らず、
部下一人一人の強みを引き出すマネジメントについて、
今一度理解を促していくといった取り組みが
今後ますます大切になってくるのではないかと思います。
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■視点が上がることで、新しい景色が見えてくる
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私が女性リーダー育成に携わる際に重要視している1つが、
1段、もしくは2段上からの「視点」を見せるということです。
一般・担当者クラスの視点と、管理職クラスの視点は
やはり違うものです。
私も管理職となって、担当者の時には知り得なかった
上位の情報が把握できるようになり、
「担当者時代とは、まるで景色が違う!」
と衝撃を受けたことを今でもよく覚えています。
また、それまで分かったつもりになっていた
「会社が今目指していること」
「事業部として果たすべきこと」
「部署として達成すべき目標」
といったことが、明確に理解できるようになって、同時に
“今、自分が会社に求められていること”もクリアになり、
そのために部下をどう巻き込んでいくか、そして部下にも
この視点になるべく近づいてもらうための試行錯誤を
重ねることができました。
もし、リーダーになる一歩手前の立場にいる社員の皆さんが、
今より1~2段上の管理職の視点を持つようになったら、
自分が求められていること、そしてやるべきことがより
明確になって、チームとしての成果も上がり、
大きな成果を出すことにもつながるのではないでしょうか。
私が取り組む女性リーダー育成では、そんな管理職からみた景色を
具体的に見せて、現場実践に取り組みながら理解を促しつつ、
男性上司がわかりやすい伝え方、言葉選び、更には
業務コミットメントのノウハウ等をお伝えしている理由も
このような私の実体験がベースにあります。
特に、男性管理職比率が8割超といった技術系企業においては、
相手の視点に立ち、経営視点を持って分かりやすく伝えるコツを
女性社員に身につけていただくことができれば、
女性自身も楽になり、企業としても女性視点を取り入れた経営から
更なる企業成長を望めるのではないかと思います。
もし、
「女性管理職が少ない」
「女性リーダーを増やしたいけれど、どう育てればいいかわからない」
という企業の人事担当者や女性活躍推進・ダイバーシティ推進担当者の方がいらっしゃれば、女性が理解しやすい形で「視点」を上げる育成施策を検討することが、会社成長をもたらす女性リーダーを増やすための1つのヒントになるかもしれません。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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