組織力を高めるマネジメント力
当社の独自調査「女性活躍推進2.0実態調査2020」が1,000回答を超え、現在1社ずつ分析している真っ最中です。
今回はES調査も兼ねて実施していることもあって、役職別、部署別、地域別といったくくりでも分析していますが、やはり「男女別」の意識の乖離がどの企業においても著しい、というのが今現在の私の印象です。
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■人事交流で組織力を高めるには
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私が以前勤めていた大企業においても定期的な
人事交流が行われていました。
人事交流のメリットはたくさんあると考えられており、
例えば交流先で業務経験を積むことで、それまで気づかなかった
アイディアを得て業務効率化を図ることができたり、
これまでとは違う環境に身を置くことで、様々な価値観と出会い、
視野が広がって仕事に対するモチベーションが高まったり、
コミュニケーションが活発になることによる新たなネットワークの
構築につながる等が挙げられるかと思います。
人事交流により、期待される成果の1つとして、
「組織力が高まる」
ということが挙げられると思います。
そして、その効果を最大化するためには、
ダイバーシティ&インクルージョンの観点を取り入れた
マネジメントを行う必要があると考えています。
なぜなら、社員ひとりひとりが、新しい視点やアイディアを得たとしても
それらの意見を取り入れて融合して発展させていくためには、
マネジメントの力が不可欠だからです。
もし、マネージャーにダイバーシティの考え方が欠けていたら、
せっかくの新しい視点やアイディアを得た社員の力を十分に
引き出すことや、チームメンバーの個々の特性を融合することで
【これまで以上の成果】を出す組織を作ることにはつながりづらく、
結果として、
「個人の能力は高いが、チームとしてはバラバラ感が否めない」
といったことになりかねないのではないでしょうか。
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■情報共有におけるマネージャーの重要性
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「仕事自体うまくいっているから、このままでいい」
という考え方も、もちろんあるかと思います。
一方で、私のこれまでの経験や、一経営者として
身を以て感じているのが
「現状維持では成長は訪れない」
ということです。
これは、みなさんもよく聞いたことがある名言かもしれません。
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ディズニーランドは、いつまでも未完成である。
現状維持では、後退するばかりである。
(ウォルト・ディズニー)
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“現状維持はゼロではなくマイナス”
という考えに心から共感を覚える今日この頃です。
万が一、今のチームのマネージャーが
現状維持の道を選んでいることに気づかないままでいたらどうなるでしょうか。
チームとしてのパフォーマンスは
一見順調そうに見えていたとしても、
徐々に成果が出づらくなってしまうことは
避けられないのではないでしょうか。
そういったことに陥らないためにも、社内外問わず、
人事交流のような取り組み、いわゆる
周囲との情報共有
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は、必要不可欠であると私は考えています。
あらゆる情報を細かく共有するのは不可能ですし
むしろ非効率になりかねませんので、そこでもやはり
マネージャー同士が要点を絞って情報共有することが、
チームとしてのパフォーマンスを上げていくことにつながる
重要なポイントだと思います。
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■ダイバーシティマネジメントがもたらす会社成長
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今、企業の多くが目指すダイバーシティ&インクルージョンは、
様々な価値観や意見を持つ社員ひとりひとりと、頻繁に
コミュニケーションを取る人たちが、その声を取り入れて融合し、
発展させることでもたらされると考えています。
それを実現する立場にあるのがマネージャー層であり、
そのマネージャー層にダイバーシティマネジメントに対する
意識やスキルが十分でないと、一部の社員だけパフォーマンスを出していて、
それ以外の人はなかなか成果を出せない、トラブルを招きやすい、
バラバラ感が否めない、といったことに陥ってしまう可能性があります。
ちなみに、実際に個々人の能力は高いものの、組織として
うまく噛み合っていないことを課題の1つとしていた
狭山ケーブルテレビ株式会社様(本社:埼玉県狭山市)において
しなやかリーダー塾を導入した結果、特に営業課におけるリーダー同士の
情報交換が活発化し、部署を超えたプロジェクトが発足して、
成果としてクレーム率を前年度より4%以上削減したという成果が出ています。
営業やSEなど、一見、個々の力が重要視される分野と
思われてしまい、お互いが持っている情報を開示しづらい、
という印象を持っている方も少なくないかもしれません。
しかし、互いの独自のスキルや技術を必要な部分だけでも
情報共有することによって得られる横のつながりや連携、
そして融合から生まれる組織としての成長の可能性は
無限に広がると私は考えています。
そして、そんなきっかけをもたらすことができるのが
マネジメントの力ではないかと思うのです。
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■ダイバーシティの観点を浸透させるために
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ここまでお伝えしてきたように、これからの時代は、
よりダイバーシティの視点でマネジメントを行う必要があると考えられます。
それは、すでに多くの方が理解し、実践されていることかも
しれませんが、冒頭でご紹介した通り、実態としては
男女の認識の違いによって、同じように関わり、同じ言葉で
伝えたとしても、受け取り方に差がでてしまったり、
一方だけモチベーションが落ちてしまうといったことが
まだまだ現場で起きているのが事実です。
「当社の女性活躍推進の取り組みはすでに終わった」
「女性だけじゃなくて、ひとりひとりを見ていくべき」
という声も届いており、実際にこれまで女性活躍推進の施策を
実行して成果を出している企業もありますし、まだこれから、
という企業であっても、一足飛びにダイバーシティ推進を図ることも
決して不可能ではありません。
とはいえ、男女における価値観の違いや、認識の差異がある以上は、
マネージャー層がその男女差について認識を持っておくことに
損はないと思います。
むしろ、女性がピンとこない言葉をあえて使わないように意識したり、
男性のモチベーションをアップさせる声かけをするなど、
ほんの少し男女差に意識を向けながらダイバーシティマネジメントに
取り組むことが、組織成長をもたらすダイバーシティ推進への
第一歩になるのではないかと私は考えています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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