女性管理職、どうやって育てる?
女性管理職の育成方法について、私はこれまでの10年間に渡る管理職の経験から生み出した効果的な進め方として、6つのステップで整理をしています。
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1.目的の明確化
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■女性管理職育成の自社ならではの目的を明確にする
なぜ、女性管理職の育成が必要なのか、これを現場の状況を把握した上で具体的に設定する必要があります。そうしないと、人事担当が「女性管理職の育成をする」と打ち出しても、現場や当の女性社員も
「何のために?今更何を言ってるの?」
(※これが生の声です)
となってしまい、真の目的達成には至らなくなってしまいます。
この“自社ならではの目的”を設定するためには、考えるべき2つのポイントがあります。
現場の意見を全て網羅しているか
具体的な数値が入っているか
自社で今出している目的が、この2つのポイントをクリアしているか、今一度見直してみることをお勧めいたします。
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2.育成手段
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サイエンス・ライターのアニー・マーフィー・ポール氏は、学ぶためには、人は失敗を必要とし、これを「生産的な失敗」と呼んでいます。
具体的には、
知識習得
↓
現場実践
↓
フィードバック
↓
課題の抽出
このサイクルを繰り返して得た知識の落とし込みと定着化を図っていきます。しかし、実際にはこれが100%出来ているケースはほとんど無いと思われます。
その共通の原因は、
・上司の巻き込みが無い
・個別サポートが無い
この2つです。
研修等の受講の際には、事前に上司と目的の意識合わせを行う等、現場で実践できる環境を作っておく、そして、個別の事情に対応できる仕組み作りをすることが必要だということなのです。
教育効果を最大化させるためにも是非この「上司の巻き込み」「個別サポート」を取り入れた施策展開をお勧めいたします。
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3.対象者の選定
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女性管理職の育成のために、研修等を行う際に、良く聞かれることが、男女混合で研修をした方が良いのか女性のみで研修をした方が良いのか、です。
女性のみで研修をした場合、
「なぜ、女性だけ?」
ということを女性社員からも周りの社員からも言われ、答えが無く困っているというお話を良く聞きます。
これまでいろいろな会社を見てきた私の経験からすると、
「女性のみで研修をする」
こちらの方がうまくいきます。
なぜかというと、女性と男性とでは、そもそも仕事の価値観が違うからです。
男性→地位や出世を重視、縦のつながりを大切に考える
女性→仕事の内容を重視、横のつながりを大切に考える
全ての方がこれに当てはまるわけではないのですが、このような傾向があるとのことです。
また、米ラドガーズ大学のラドマン教授の研究結果によると、男性と女性とでは、周りから見られた時に望ましい特性が真逆であると言われています。
男性が望ましい特性:好戦的・積極的など
女性が望ましい特性:友好的・優しいなど
このように、男性と女性とでは、自身の価値観も周りからの見られ方も異なるので、言動に気をつけるべきポイントが違うということなのです。
特に人間力を重視するマネジメントスキルの習得にあたっては、女性の特性を理解・意識した内容を女性のみで行った方が、効果的かつ効率的なのです。
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4.教育の内容
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女性管理職に何を教育すれば良いかを考える時に、
女性の強みを活かす”ことに対する誤解
について、私の考えをお伝えする必要があると思っています。
「女性が自分目線の考えを何の配慮もなく主張して進めて行く」ことは女性の強みを活かす、ということではない、ということです。
このことを男性も女性も誤解している方が多いように思います。
ステップ3で男性と女性の価値観についてお伝えいたしました。会社は男性社会、つまり縦社会で運用しています。
これは、ビジネスを行うにあたって、それぞれの階層で迅速かつ正確な意思決定を可能とするためには、最も効率的な組織構造と私は考えます。
しかしながら、「横のつながり」を重視している女性は、この「縦社会」構造の理解に苦しむのです。このため、上司が意見を聞き入れてくれなかったら、その上の上司に飛び越えて提案し、承認をとってしまう・・・といった、組織の暗黙のルールを無視した行動をとってしまうのです。この行動によって、大変なことになった例を私はこれまでいくつも見てきました。
その特性から、男性社会の価値観の理解がしづらい女性には、
”経営視点”+”女性ならでは”
この2つの観点で知識とノウハウを伝えて行く必要があるのです。
これにより、女性は男性社会をしなやかに立ち回りながら、自分らしさを発揮して活き活きと仕事ができるようになり、周りに良い影響力を広げることになるのです。
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5.教育開始の時期
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マネジメント教育はどのタイミングから行うのが良いのか という悩みは人事担当者あるあるではないでしょうか。
仕事人生の節目として、以下の時期が挙げられます。
- 新人
- 3年目
- リーダー候補
- 管理職
私は、どの節目で教育を実施しても早すぎることはない、とお答えしています。それは、私は以下の2つの切り口でその効果を考えているからです。
●変わりやすさ
●適用業務範囲
まず、「変わりやすさ」ですが、入社間もない新人の頃が一番変わりやすく、年次を重ねて行くうちに変わりにくくなって行くという傾向があります。一方、「適用業務範囲」は、役職がついてくる程、その裁量範囲が大きくなりますから、新人よりも管理職の方が大きくなる傾向にあります。
このことから、新人〜管理職、どのタイミングで教育しても、一定の効果はあるということです。
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6.教育する場所
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管理職に限らず、社員教育をする際には、
・社内でのみ育成行う
・社外講師の力も活用して育成を行う
この2種類の方法があり、効率的かつ効果的に育成を行うためには、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。
社内教育:社内独自の技術や仕事の進め方・考え方の付与に有効
社外教育:意識改革、視野拡大、マインド醸成に有効
これらの特徴を踏まえ、現状の女性管理職の課題に合わせて、どちらが良いかを見極めます。
日本生産性本部の調査より、女性活躍推進の課題は「女性社員の意識の低さ」と答えた企業が全体の8割だったという結果が出ています。 女性管理職の意識改革が課題である企業は多く、これを解決するためには、
”社外の力も活用する”
ことが効果的なのです。
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■□著者プロフィール□■
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細木聡子(ほそきあきこ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役。
中小企業診断士・女性管理職プロデューサー・女性管理職育成アカデミー™️主催。
大学卒業後、NTTに入社。管理職に昇格し、大規模システム構築プロジェクトのマネージャーに就任するが、部下 がついてきてくれず、うまく成果を出すことが出来ない。周りにロールモデルもいなく、男性の真似をしたことにより違和感を与えていたということに気づく。自らしさを大切にしたマネジメントスタイルに徹底的に見直したところ、部下から圧倒的な支持を受け、残業0で成果2倍にすることに成功。
その後、社員483名の部門の人事・育成課長に就任。仕組み化による育成施策を展開したが、画一的なやり方が社員のモチベーションダウンを招いてしまう。柔軟性のある考え方、対応が不可欠だと痛感し、個人の状況に合わせた育成方法に切り替えたところ、メンタルダウンした社員をリーダーに成長させることに成功。この経験から500名までの集団にはそれに適したマネジメントのやり方があると確信を持つ。自らの経験を体系化した「しなやかなマネジメント法」を一人でも多くの女性管理職に伝えることが企業の成長と豊かな社会を創ると確信し、自らの使命としている。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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