【後編】選択的週休3日制の企業・従業員双方のメリットと注意点
選択的週休3日制とは、従業員が希望すれば週に3日間休める働き方です。労働人口が減少する中、育児や介護との両立を実現するための働き方を政府も推進しています。本記事は選択的週休3日制を導入するメリットや定める際のポイント、注意点を前後編で解説する後編です。
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目次
【前編】
・選択的週休3日制とは
・選択的週休3日制を推進する政府のねらい
・選択的週休3日制のメリット
・企業側のメリット
・従業員側のメリット
【後編】
・選択的週休3日制を定める際の2つのポイント
・選択的週休3日制の注意点3つ
・働き方の柔軟性を確保することの重要さ
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選択的週休3日制を定める際の2つのポイント
選択的週休3日制を導入する際のポイントは「給料と労働時間の関係性を決めること」と「休日は曜日固定か個人選択にするか」です。これらのポイントは、後に従業員が実際に週休3日制を選択するかに大きく影響するため、より広く従業員の意見を集めることが必要となります。
■給料と労働時間のバランス
完全週休2日制から週休3日制にするうえで、特に話題となるのが報酬面です。
基本給以外にも通勤手当をはじめとする様々な手当や社会保険料等が関係しますが、主に基本給をベースとした大まかな月給で考えると以下の3つに分類されます。
1:週労働時間も給料も据え置きにする
休日に労働する予定の時間は残りの労働日に分配し、給料も据え置きとします。1日の労働時間が8時間を超えると法定の割増賃金が発生するため、同時にフレックスタイム制または変形労働制を導入し、人件費の増加を抑制します。
2:週労働時間を5分の4とし、比例して給料も減額する
ノーワークノーペイの原則に従って、労働時間が減少した分の給料を削減します。週5日40時間労働の従業員が、1日休暇が増えて週4日32時間労働になると、約2割の減収になります。
3:週労働時間を5分の4とし、給料は据え置きにする
週労働時間を減らすものの、給料は据え置きにします。
利益率の維持や生産性向上のために、以下のような取り組みが大切です。
・業務フローの見直し
・不要な作業の削減や自動化
・会議の開催頻度や時間、参加人数の削減
■休日は曜日固定か個人選択にするか
週休3日制を選択できるようにしたうえで、休む曜日を固定にするか、選択した従業員の状況に配慮して曜日も選択可能にするかという点もポイントとなります。
曜日を固定にする場合、たとえば現在土日休みである業種や職種の場合は「水・土・日」「金・土・日」のいずれかにすることが多いようです。
「水・土・日」は休日にリフレッシュした翌日に働き、翌々日は明日の休日を楽しみにしながら働けるため気力が上がるという声があり、「金・土・日」は集中して休みを取った方が私生活を充実させやすいといった声があります。
選択的週休3日制の注意点3つ
選択的週休3日制を導入する際の注意点は、「コミュニケーションコストの抑制」や「不公平感よりも安心感」といった良好な企業文化の構築と、従業員に関する「人事労務の運用コスト」です。
■コミュニケーションコストの抑制
同じ組織内で、選択的週休3日制を選んでいる従業員と週休2日制を選んでいる従業員がいる場合、情報を組織内で共有して情報格差を埋めるための方法が必要になります。スケジュールのほかにもプロジェクト管理やタスク管理、ファイル共有できるテクノロジーも近年増えています。
■不公平感よりも安心感
選択的週休3日制を選択した従業員のフォローの大変さから不公平感が生まれることを避け、組織として働き方に柔軟性があることの良さを共有しましょう。
そのためには、育児や介護等の事情があるから選択可能ではなく、どんな目的であっても、個人の意思で選択できるという認識を従業員に持ってもらうことが重要です。
選択的週休3日制を行う人が、やむを得ず業務を他の人に依頼する必要がある時は、周囲がサポートする雰囲気づくりも意識するとよいでしょう。
サポートの負荷を軽減するため、情報共有を容易にするシステムを導入したり、フォローへの感謝を伝えるための、サンクスポイントを同僚に送るシステムを導入することも雰囲気づくりに有効です。
■人事労務の運用コスト
週休2日制と選択的週休3日制の従業員が混在することで、労務管理が複雑になり、確認の時間や処理のミスが起きるリスクが増加します。従業員の週休日数を個別管理できるといった柔軟な対応ができるシステムの導入が望ましいです。
また、頻繁に週休2日制と選択的週休3日制を変更されると、勤怠管理を行う上長や人事等の管理者に労務コストがかかってしまいます。3ヶ月や半年といった期間を定めて、状況に応じて都度更新するような制度がよいでしょう。
働き方の柔軟性を確保することの重要さ
最も人口ボリュームの大きい団塊の世代はすでに70歳を超え、これからは労働人口が急速に減っていく時代です。
このような状況下で大切なのは、従業員の内部的なスキルアップだけではありません。外部で体験を積むことによる自己能力の再認識・強化である「副業」「越境学習」や、外部人材の能力、発想を取り入れることが必要になってくるでしょう。
家庭で育児や介護を中心に支えているため、週5フルタイムでは働けないといった事情を抱える方はまだまだ女性が中心であり、多様な働き方を認めることは「L字カーブの解消」に繋がります。
注意点に挙げたようなコミュニケーションコストや人間関係は、最近のテクノロジーの進化で解消できる部分も増えてきています。同じ職場の仲間として支え合いながら、調和された働き方ができる社会になることを願います。
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WHI総研
入社後、通勤手当や寮社宅等福利厚生を専門に大手法人の制度コンサルやシステム導入を担当。子会社の人事給与BPOベンダーにて、複数顧客に対し人事関連業務のBPRを実施。顧客教育部門であるWorks Business Collegeを経て現職。
眞柴 亮(マシバ リョウ) 株式会社Works Human Intelligence / WHI総研
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