【後編】注目のアルムナイ制度とは?メリット・デメリットを解説
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前編目次
アルムナイ制度とは
アルムナイ制度が注目される背景
アルムナイ制度のメリット3つ
アルムナイ制度のデメリット2つ
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後編目次
アルムナイ制度導入の5つのステップ
アルムナイ制度成功のためのポイント
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アルムナイ制度導入の5つのステップ
アルムナイ制度を成功させるための5つのステップについて考えてみましょう。
■アルムナイ制度を導入するための前提条件
アルムナイ制度を成功させるためには、下記のような前提条件が必要です。
●ポジティブな退職
一度退職した従業員が再び会社に戻る際、過去の経験や当時の印象が大きく影響します。円満退職をすることで、再びその企業での職務に前向きに取り組むことが期待できます。
一方で、不満や対立を抱えたまま退職した場合、再びその環境に戻ることは難しいと考えられます。また、前回の退職の状況や理由が、今回の職場環境にどれほど影響するか考慮が必要です。
アルムナイ制度を成功させるためには、退職時の関係や状況を良好に保つことが不可欠だと考えられます。
上記を踏まえ、アルムナイ制度を導入するステップ5つを解説します。
■ステップ1:復職条件を明確に設定する
アルムナイ制度を活用する際、まずはどのような条件で再雇用するのか、明確に設定しなければなりません。
「リーダー職以上を経験した人」や「3年以上勤務した人」という具体的な基準は、再雇用の方針を明確にし、期待と実際のギャップを防ぐ役割を果たします。
そのうえで、退職者のための専用ポジションを設けることで、経験やスキルに合わせた役職や業務範囲を提示することが可能です。
■ステップ2:アルムナイ制度の周知
アルムナイ制度について、退職者はもちろん、在籍中の従業員に対してもアルムナイ制度の存在とその意義を周知する必要があります。
従業員がアルムナイ制度を理解することで、再雇用時に円滑なコミュニケーションを促進し、組織全体として退職者を受け入れる体制の強化に繋がります。
■ステップ3:継続的な交流の場を持つ
定期的な情報発信や、退職者を対象としたイベントの開催は、会社の最新情報を共有し、退職者との絆を深める手段として効果的です。
退職後も退職者との交流を持つことで、会社の最新の情報や変化を伝えられます。また、退職者同士のネットワーク形成や情報交換の場を提供することは、アルムナイ制度の土壌を育むうえで不可欠です。
■ステップ4:退職者がスムーズに業務に取り組める環境の構築
退職者と従業員が円滑に情報交換できる場を設けることで、退職者がスムーズに業務に取り組むための環境を整備することが重要です。
また、現場の納得感を高め、退職者が活躍できる環境を作ることで、組織全体の生産性向上に繋がるでしょう。
■ステップ5: 採用フローの構築
復職を希望する退職者との採用プロセスは、中途採用とは異なるフローが求められます。
すでにその人物の性格や能力は理解しているため、標準的な採用フローではなく、新たなフローの構築が求められます。
無駄なステップは排除し、実際の業務内容や期待値についての確認をメインに進めるとよいでしょう。具体的には、カジュアルな雰囲気で今後の可能性や期待を話し合う場を設け、双方の理解を深めることが大切です。
アルムナイ制度成功のためのポイント
本章では、アルムナイ制度を成功させるためのポイントを2つ紹介します。
■中途採用比率が増えている
アルムナイ採用が成功する企業は、中途採用者が主役として活躍している特徴があります。
入社から数年経過すると、新卒採用者と中途採用者の区別が付かなくなるほど、すべての従業員が平等に活躍する環境が整っていることが望ましいです。
そのような環境が整うことで、キャリアの背景を問わず、全員が同じフィールドでの実力を競い合う文化の形成に繋がり、新卒採用者と中途採用者のレベルの差はなくなるでしょう。
中途採用の比率が高い企業は、異なるバックグラウンドを持つ人々との親和性が高いと言えます。
■退職者が退職した会社での経験を誇りに思っている
アルムナイ制度の成功には、一度退職した従業員がその会社での経験を誇りに思っていることが重要なポイントとなります。企業は従業員に「この企業でよい経験・成長ができた」や「働けてよかった」と思えるような風土づくりが必要です。
一度退職した従業員が過去にその会社で働いたことを誇りに感じていれば、再びその企業での雇用を検討する可能性が高まります。
また、退職者から見ると、再度会社に戻ることは大きなハードルと感じることもあります。
そのため、企業側は退職者に対して継続的なコミュニケーションを持ち、退職後に誇りに気づいてもらうために、自社の売上成長やブランドのポジティブな情報を退職者に発信し続けることが必要です。
退職者が企業の「仲間」として活動するような環境を整えることで、アルムナイとしての関係性を強化し、採用の成功率を高めることができます。
採用方法の一つとして、アルムナイ制度の検討を
本記事では、アルムナイ制度の成功企業の考え方について前後編でご紹介しました。
一昔前は新卒一括採用で入社し、一つの会社で働き続ける人が多く、中途採用といえば、転職サイトが主流の方法でした。
しかし、今では中途採用の手法は多数あります。人材の流動性が高くなる中、採用コストの増加、入社後のミスマッチのリスク、採用の工数負荷といった課題が年々多く聞かれます。
企業によっては、既存の採用活動方法や手法が時間と共に本来の目的や意義を失い、単なる形式として行われており、刷新が必要だと考えているケースもあるでしょう。
新たな採用方法の一つとして、アルムナイ制度を検討してみてはいかがでしょうか。
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株式会社Works Human Intelligence / WHI総研
大手不動産会社にて企業の寮や社宅の運用支援を通じた業務改革に従事後、Works Human Intelligence入社。保守コンサルタントを経て、多くの企業を見てきた経験を活かし、人事全体の事例・トピックスの研究・発信活動を行っている。
袋瀬 淳(フクロセ ジュン) 株式会社Works Human Intelligence / WHI総研
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