少ない費用負担でデジタルスキル標準のDX人材を育成する方法
多くの企業がDXの必要性を実感している一方で、自社の場合は具体的に何をすればいいのか、どんなDX人材が必要なのかイメージがわいていない企業が多いのが実状です。経済産業省はこのような課題を解消するために、DX人材の役割と必要なスキルセットを定義した「デジタルスキル標準」を策定しています。
このデジタルスキル標準に則したDX人材を育成するうえで課題となる費用について、今回は触れていきます。
DX人材育成のハードル
デジタルスキル標準をベースにすることで、自社に必要なDX人材の定義がしやすくなりますが、いざDX人材を確保するという段階でもさまざまな課題があります。
まず、経済産業省の調査で「2030年には約79万人のIT人材が不足する」と言われていることからもわかるように、IT技術やDXに精通した人材が枯渇しているため、採用が非常に難しいという現状があります。
そうなると、リスキリングで自社の社員をDX人材に育成するのが現実的な選択肢となりますが、そこで課題となってくるのが「費用」の問題です。
実際に、インターネット・アカデミーが人事対象者やIT部門で人材育成を検討されている方に行ったアンケートをみると、DX人材育成を検討している担当者の4割近くが「研修のための予算確保が難しい」という悩みを抱えています。
そこで、今回はDX人材育成の費用を軽減できる助成金制度を紹介します。
DX人材育成が目的ならこの助成金
人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース
厚生労働省の「人材開発支援助成金」には、さまざまなコースが用意されています。その中でもDX人材育成にオススメなのが「事業展開等リスキリング支援コース」です。
このコースの魅力は、その助成金の支給額の多さでしょう。2024年1月現在、人材開発支援助成金の中ではもっとも高い金額が支給されます。
人材開発支援助成金は基本的には「対象の訓練が既定の時間以上(このコースの場合は10時間以上)」「OFF-JTにより実施される訓練であること」「一定期間内で解雇や退職推奨をしていない」などの要件を満たしていれば、大半の企業で使うことができます。
ただし、このコースの利用要件のひとつに「DX人材を育成する目的である」ことが挙げられており、申請の際には「事業展開等実施計画」の提出が求められるため、他のコースに比べると申請のハードルは高くなります。
東京都DXリスキリング助成金
事業所が東京都にある中小企業の場合は、東京都が提供している「東京都DXリスキリング助成金」も活用できます。
こちらは対象が都内の中小企業に限定されるものの、eラーニングでも活用できたり、対象となるテーマが幅広いなど使いやすい制度となっているのが特徴です。
支給額は「経費の3分の2(最大64万円)」となっています。
DX事業計画が定まっていない場合はこの助成金
ここまでに紹介した助成金は、申請の際にDX事業計画が必要だったり、都内の中小企業が対象だったりします。そのため、「DX人材育成をしたいが事業計画までは定まっていない」といった場合は申請のハードルが高くなってしまいます。
「とりあえずDX推進のための素地をつくるための研修をしたい」といった場合にお勧めなのが「人材開発支援助成金 人材育成支援コース」です。
こちらは幅広い研修のテーマや目的に対応しているコースで、新入社員研修からエンジニア育成、DX人材育成までさまざまな目的で使うことができるのが魅力で、使いやすい制度になっています。
助成率は「事業展開等リスキリング支援コース」に比べると控えめとなりますが、申請のハードルの低さから、インターネット・アカデミーのお客様でも、こちらのコースを利用されるケースも多くあります。
インターネット・アカデミーでは、助成金を活用したDX人材育成のカリキュラムや事例が数多くあります。「デジタルスキル標準に沿ったDX人材を育成したい」「その際の費用負担を減らしたい」などの個別ご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
また、DX人材育成や助成金制度の情報をまとめたお役立ち資料もありますので、こちらもご活用ください。
- 資格取得
- 情報システム・IT関連
幅広い分野のIT知識をもつ講師
大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学での講演など産学連携活動にも従事。さまざまな企業や業界団体と共同でIT人材を育成するIT分野のゼネラリスト。ECHONET2.0技術セミナーWGの委員。
有村 克己(アリムラカツミ) インターネット・アカデミー株式会社 講師
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