外国人雇用の新たな流れと現状
本年12月8日、新たな入国管理法が衆院、参院ともに可決しました。この法案可決により、これまで、肉体労働やサービス業に向けて禁止されていた外国人の就労が事実上、認められることになりました。
特定技能という新たな在留資格(ビザ)を創設され、介護や建設など14業種での受け入れが認められます。
メデイアでは、「十分な議論」がされないまま、強行に可決したという批判が多いですが、僕は、一刻も早く、この法案を可決したほうが事態をよくすると考えていました。
むしろ、「十分な議論」をすることで時間が経過している間に、人手不足や入管法の現時点での矛盾により、事態が悪化していく可能性が高いので、政府は非常に現実的な判断をしたと思います。
ただ、もちろん、問題はあります。ただ、その問題の捉え方がメディアなど一般的に焦点がずれていることが多いので、まず、その部分から、指摘したいと思います。
移民問題:移民の定義は色々ありますが、日本で移民という言葉で論議される場合、外国人が永住するリスクとほぼイコールと捉えられています。
これに関しては、今回の特定技能から入国した外国人が、永住に至るまでには、とても長い道のりとなるので、ほとんど問題にならないでしょう。
むしろ、この長い道のりを超えて、永住権をとった外国人は日本人以上に日本人的な価値が高いとも言えます。
技能実習生の問題:実習生の過剰労働、低賃金、失踪などいろいろな問題がありますが、これは本当に一部の問題です。昨年より技能実習生法を施行して以降、全体としては、適正化に向かっていますし、実習生で解決できないこと(転職できない、低賃金)は特定技能で解決できるようになっています。
特定技能は転職が可能なので、企業同士の獲得競争もうまれるでしょう。知的労働者は、やりがいや、将来性を感じて就労しますが、肉体労働者は短期的な利益を優先するので、(外国人だけではなく日本人も)、企業が低賃金にこだわってばかりいると、特定技能の労働者を安定的に確保できません。
一般的に、外国人を増やすというと、日本側のリスクを考えることが多いですが、本当に外国人が来てくれるのか、という問題も大きいです。日本の経済力が低下していく中、外国人が日本語という難しい言語を習得してまで、日本で働く価値があるのか、ということも日本人が考える必要があります。
僕は日本で働くことを選択肢として考えながらも、最終的に他の国(自国を含む)を選んだ外国人と何人も出会ってきました。日本には現段階では高い経済力、技術、文化、治安など、魅力はたくさんありますが、生活コストの割に賃金レベルは、それほど高くなく、先進国の中では決して競争力があるとはいえません。
平成元年から、定住者の在留資格が創設されたことを契機に、ブラジル中心に南米から日本への出稼ぎが急増した時期がありました。この時、多くの日系ブラジル人が独自のコミュニティを地域や企業で形成し、分断した社会を生みました。そしてリーマンショックでは、これらの日系ブラジル人を日本が切り捨ててきた現実があります。
特定技能だけで、わずか5年で35万人の受け入れ計画です。いま、様々なところで、たくさん見かけるコンビニや居酒屋の留学生(アルバイト)の総数よりも多くなる計画です。
特定技能以外でも、技術人文国際や定住者、永住者も増えていくことでしょう。そうなると、外国人との共生社会を地域や企業で、どう形成するかということは重要な課題だと思います。
外国人の受け入れで多様性が広がる一方、日本の社会や文化のようなコアな部分も逆に強化していかないと、民族的な力の弱体化につながることにもなりかねません。人口は減るものの、日本人の持つ民族的な力は世界が認めていることです。このコアを生かして、外国人にも参画をしていただき、日本の社会や文化に適合してもらうことも重要です。
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外国人の雇用拡大へ向けた課題解決に挑み、日本が外国人と共生社会を形成するために日々、取り組んでいます。
外国人雇用支援の会社や、介護会社を創業して経営しています。その実体験からの一次情報と研究を重ねた情報を提供したいと思います。
前田 智之(マエダ トモユキ) 株式会社フローラ・アミ 代表取締役
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