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職務明確化の方法:貢献責任という考え方

「ジョブに基づく人事制度」に関する過去の記事を再掲載してきましたが、ここで改めてその根幹となるジョブ(職務・役割)の明確化の方法を具体的に説明していきたいと考えています。内容は2021年2月に弊社ホームページに掲載したものを基本に再編集し、6回にわたってここに再掲載します。今回はその第4回です。

職務明確化の方法(4)

貢献責任という考え方

「膨大な作業」となるような職務・役割の明確化を想像してしまうのは、職務・役割の定義とそれに伴う構造を理解していないからである。タスクの羅列程度の認識しかないのであれば、重要な職務・役割を書き表すことは至難の業となろう。しかし職務・役割を「貢献の集合」というとらえ方が出来れば、次はその構造を理解することが必要となる。どのような職務・役割にも組織内における目的が存在する。同時にその目的達成のための様々な日常業務が存在する。一般的にはこの日常業務が仕事と考えられているが、「社員に期待する貢献」という視点に立てば、実は職務・役割にはもう一つの重要な要素が存在する。

 

それは「目的」と「業務活動」をつなぐ、みのりが「貢献責任」と呼ぶ要素である。この「貢献責任」こそが「職務・役割」の定義に基づく実体である。既に本稿の第二回で触れたように、職務・役割は3層構造になっている。日常の業務活動が会社の期待する「貢献」の中身ではありえない。もう一歩踏み込んで、それぞれの業務活動が何のために行われていて、その業務活動の結果として何を生み出すことを期待しているのかを明確にして、初めて「貢献する」という視点での職務・役割を明確化したと言える。

 

「職務・役割」の3層構造は下図のようになる。第1層が目的、第3層が業務活動、その間に第2層として、みのりが「貢献責任」と呼ぶ「職務・役割」の肝とも言える最も重要な層がある。

 

 

 

「貢献責任」を定義するという視点から職務・役割の明確化のプロセスを見ると、決して作業内容を細かく掘り出して羅列するような「膨大な作業」ではない。全社戦略を理解し、それに基づき組織を支えるそれぞれの社員にどのような「貢献」を期待するのかを考えるという、極めて知的なプロセスである。これは組織を機能的に動かしていこうとすれば、必須事項だと言えるが、過去多くの日本企業では軽視されてきたプロセスである。この知的なプロセスを目に見える化・簡潔化して整理したのがみのりの「職務・役割定義の手法」である。次回はこれに基づき「貢献責任」を業務活動からどう抽出するかの手法の説明に入りたいと考えている。

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秋山 健一郎(アキヤマ ケンイチロウ) 株式会社みのり経営研究所 代表取締役

秋山 健一郎
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