賃上げと消費活性化を狙ったカフェテリアプランの導入
給与増=貯蓄増?
アベノミックスの財政政策、金融政策は好感を持って迎えられている。現在は、成長戦略の具体化が待たれている。
すでに、2013年1月の「税制改正大綱」において、経済活性化を目的に所得拡大促進税制として給与等支給増加額の10%を税額控除する案があり、3月1日に現通常国会に法案が提出されている。同時に、政府は企業に対して消費増を狙って給与の引き上げを呼び掛けている。安部内閣以降の円安にと株高により増益となった企業も多く、それに応える企業も多いと思われる。
しかし、給与引き上げが、ただちに消費増・経済活性化に結びつくには、昇給分が貯蓄等に回らないことが重要である。社会保険制度の将来に懸念が見られる中、昇給が貯蓄等に回り、消費にあまり結び付かない可能性もある。
カフェテリアプランのポイント=消費増
確実に消費に回すためには、昇給原資を給与・賞与ではなく、福利厚生のカフェテリアプランのポイントで支給する方が、より効果的であるとも考えられる。
カフェテリアプランとは、年度始に一律に福利厚生原資をポイントして与え、社員が福利厚生制度を利用する際に、そのポイントを取り崩して利用費用に充当すれば、福利厚生を安く(自己負担が少なく)利用できる制度である。たとえば、家族旅行で宿泊し、2万円かかった場合、旅行費用の補助としてポイントを仮に1万ポイント(1ポイント=1円とする)充当すれば、実質負担1万円となるのである。
ポイントは、旅行や宿泊費用の他、育児サービス・施設利用時の費用、自己啓発利用時の費用、疾病予防や健康増進にかかる費用、介護サービス利用時の費用等、福利厚生の範疇で多様に利用できる。ポイントで補助があることにより、このようなサービスへの消費が増える。それはこうしたサービス産業の売り上げ増につながり経済も活性化する。
ポイントは増減可能
カフェテリアプランのポイントは、企業の年度内の1年間のうちに使い切る必要があり、使い残しは繰り越すことができない。よって貯蓄に回ることなく、すべてが消費に回る。
よって、現金で付与するより消費増経済活性化に結びつきやすい。
さらにカフェテリアプランの付与ポイント額が労使交渉によって増減させることも可能で下方硬直性はなく、企業業績に応じて柔軟に付与できるのも、給与と異なるメリットである。
2013年4月に導入事例第1号
このメリットを生かし、株式会社ベネフィット・ワンは2013年3月から、カフェテリアプランを拡大する。同社はすでに年間30万ポイントを付与するカフェテリアプランを導入済みだが、これに加えて年間最高50万ポイントを加算することとした。加算ポイント額は、職制や評価によって異なる。同社のカフェテリアプランは市場にある育児・介護サービス、自己啓発、旅行・レジャー・宿泊、健康サービス等に幅広くポイントを利用でき、社員の消費増が期待できる。
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可児 俊信(カニ トシノブ) 株式会社ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所 所長 千葉商科大学会計大学院 教授
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