忙しい人はやっている【身につく読書 5つのポイント】
「どんな本を読んだらいいでしょうか」
次世代リーダー育成のゼミや研修、講演などで積極性があり、まじめな受講者からよく聞かれる質問です。私は年間100~150冊程度は読んでいるので、このような質問をいただくと仲間が増えたような嬉しい気持ちになります。こちらもその方の背景・問題意識をできるだけ理解した上で参考にしていただけるような書籍を紹介するようにしています。
ただし、せっかくの前向きな探求心をより意味のあるものにしていくためにはいくつかの注意ポイントがあります。特に超多忙な方々は以下の方法で読書をしているようですが、そもそもの読み方を知らないとやる気が空回りし、残念なことになってしまいます。NGと望ましい例があるのでまずはでご紹介します。
【NG・残念な例→望ましい例へ】AI要約でなく、目次をじっくり読む
「紹介いただいた本、AI要約したらこんな内容だとわかりました。ありがとうございました!」
いやいや、、、これを言われることが極まれにあるのですが絶句してしまいます。
その方の前提知識・背景・問題意識など文脈を踏まえないと、その書籍のどの点がその方にとってに意味があるかは分からないはずですし、パーソナライズされていない状態のAI要約で分かることは概論にとどまります(この点はAI活用度合いによって濃淡があるとは思います)。もちろんどんな内容なのかを知りたいという程度であればそれでもいいかもしれませんが、そうであれば書籍の概要紹介とレビューでもいいのではないでしょうか。
私のおすすめは「目次をじっくりと読む」ことです。
それぞれの章にどんな内容が書いてありそうか、自分にどう関係しそうかという仮説をもって読み進めるとより効果的に頭にはいってきます。シンプルなことなのですが読み始める前にひと手間加えるだけなのでおすすめです。これを【ポイント 1】としたうえで、効果的な本の読み方 5つのポイントをご紹介します。
(効果的な本の読み方 5つのポイント)
【ポイント 1】読む目的の明確化&目次で想像
「この本を通じて、どんな問いに答えたいのか?」
読み始める前に目次をまずはパラパラと、それからじっくり読み、全体としてそれぞれの章・項目にどのようなことが書いてありそうか、想像する=読書の仮説を構築。
【ポイント 2】3つの視点で読む
実際に読み進めるときは以下3つの視点をもつと本を「見る」のではなく「読み解く」ことにつながります(今回は本についてですが、これはエンジニアなどが図面と向き合う際も同様。図面を「見る」のは処理しているだけですが「読み解く」ことは考えることにつながりこの差は大きいです)。
・知識「どんな内容が紹介されているか?」
・解釈「なぜ筆者はこの構成・表現をとったのか?」
・活用「この内容を、自分(キャリア、職場やプライベート)にどう活かせるか?」
特に解釈においては書かれた時代や信仰・宗教規範的な背景、著者の年齢・ライフステージ(それは10代の発言か70代の発言か、人生が順風満帆の時なのか悲劇の直後で絶望している時なのかでは同じ内容でも読み解きが異なる可能性)なども補助線になります。
【ポイント 3】対話的に、批判的に読む(脱・正解主義的読書)
書籍に書かれていることをそのまま鵜呑みにするのではなく、本と対話しながら(「本当にそうか?」「~の場合はどうなるのか?」など突っ込みをいれながら)読む。絶対的な正解が書かれているはず、というアプローチは【ポイント 2】でも触れた見る・処理するになってしまいます。
【ポイント 4】付箋&メモ
気になった箇所には付箋を貼っておく。もしくはワードファイルなどに書き抜き保存しておくと、あとで参照・引用もしやすいです(kindleの場合は、マークした箇所を自分にメールすることができる)。
【ポイント 5】その分野の土地勘をつくる
同じ著者が複数出版しているときはその著者の他の著書を(書籍ではなく、レポートなどもあるかもしれません)、もしくは同じようなテーマで複数の著者が出版しているときは他の著者の書籍を数冊読み比べるとその分野の「土地勘」を得ることができるようになります。
前者の場合は必ずしも書籍・レポートでなくても、その著者のyoutubeなどでの関連動画でもいいですし、さらに気になったら実際に公開セミナー等で著者本人の肉声を聞くと書籍や動画では得られない、五感(AIにはない、人間の武器ですね)も動員したインパクトを得ることができます。
他にも「雑誌やWeb記事で面白そうなもの・参考にしたいものがあれば、必ず元ネタ(原出所)にあたる」というような方法もあります。記事などでさらりと紹介されている情報(要約になっているかもしれません)の原出所にあたることにより、自分の知識に転換することができるのでこちらもおすすめです。
【実践にむけて】
上記以外にも一人ひとりにあった方法があると思いますが、今回は効果的な書籍の読み方として5つのポイントを紹介させていただきました。私自身は「本は問いを深めるための対話相手」だと思ってお付き合いさせていただいていますが皆さんにとってはいかがでしょうか。
お忙しい中、最後までお読みいただいてありがとうございました。
もしよければここまでご紹介してきた1~5までのポイントを踏まえ、本コラムをもう一度読み返してみてください。各ポイントをすべて押さえる必要はないので、まずは印象的だったポイントを振り返っていただくと、ここまで皆さんに費やしていただいた貴重な時間が消費(=読んで終わり)ではなく、投資(=これからいかせる)になのではないかと思います。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- グローバル
- リーダーシップ
- マネジメント
次世代リーダー育成をはじめ世界で通用する人づくり、組織づくりをテーマに活動。グローバル経営、外国籍社員の活用/ダイバーシティマネジメント等。
「外国人社員の証言 日本の会社40の弱点」(文藝春秋)ほか執筆多数。政府有識者・大学講師、経団連グローバル人材育成スカラーシップ設立から一貫して携わるなど政策・教育からも成長を支援。趣味は寄席通い、富士スピードウェイ走行ライセンス所持。
小平達也(コダイラタツヤ) 株式会社グローバル人材戦略研究所

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