日本企業の「グローバル人材育成」の一考察③
前回の日本企業の海外進出の歴史とグローバル展開の類型に引き続き、人事部門や事業部門として
トップの要請・経営の要請である「グローバル人材の確保・育成」にこたえられているのか?どうこたえるべきなのかを 5回のシリーズで考えていきます。
3.日本企業の「グローバル人材育成」の現状と課題
経済産業省が実施したアンケート調査によると、海外拠点の設置・運営に当たって
直面している課題について、「グローバル化を推進する国内人材の確保・育成」を挙げる割合は、
回答企業の約 7 割となっている。
グローバルリーダーの育成についても 日本人だけを対象としている企業が主流を占めている。
日本在外企業協会の「グローバル推進の経営課題」2011年の調査によれば、
今後3年間の事業展開について、海外事業展開の地域別で「拡大する」比率が高い上位3位は
1. アジア
2. 中国
3. 中南米 である。 前述の通り新興国へのシフトが進んでいると考えられる。
企業の海外事業進展に伴い、海外派遣者の育成は今後一層重要な取組みになると考えられる。
各企業が取り組んでいる、導入制度の上位3位は、
1. 「海外赴任前研修」
2. 「語学研修(国内)」
3. 「語学研修(海外)」 と赴任前研修と語学研修が高い制度導入率であった。
特に新興国のインフラが整ってきたためか、フィリピンなど海外での語学のインテンシブコースを導入する企業が急激に増えている。
また、最近では単に語学習得に留まらず、現地で短期間ではあるが、見知らぬ土地で期限までにビジネス上のミッション(指令)を完了させアジアの新興国でのグローバルビジネス経験をできるような研修を実施している企業も多くなってきている。
自由記述から、グローバル経営に関して最大の課題について見てみると、「人材・育成」が最多となっている。
内容としては、「グローバル人材の不足」 「現地雇用社員の育成」 「現地幹部候補の育成」などで、
その背景には国内市場の成長鈍化に伴う海外事業シフトを図ろうとしているが、その先兵となる日本人派遣者や現地雇用社員の育成が追い付いていない現状があると考えられる。
次回 4.海外派遣者に対する現地従業員からの厳しい評価 へと続く
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※本稿は、株式会社 東レ経営研究所発行の雑誌「東レセンサー」2015年1-2月号に掲載した
文書を一部修正したものです。
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グローバル人材・人事全般のエキスパート!入社以来一貫して人事部門を歩み、海外拠点の人事や人材開発も経験
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長年にわたる日本国内外での人事・教育部門責任者の経験を活かして、企業向けグローバル人関連の支援活動をいたします。
中村 好伸(ナカムラ ヨシノブ) リロ・パナソニック エクセルインターナショナル(株)顧問
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