第11回: 自然体験活動の減少が社会生活に及ぼす影響
私が子供の頃は、学校が終わると近所の空き地で近所の友達と秘密基地を作ったり、池にザリガニ釣りに出かけたりするのが当たり前でした。
■ 便利な生活の落とし穴
遊ぶ友達の中には年長者や年少者が混在し、楽しく(安全に)遊ぶため暗黙の上下関係と独自のルールがありました。年長者は年少者に指示命令するだけでなく、一緒に遊べるように配慮とサポートをしていたと記憶しています。だからこそ、少しくらい理不尽な命令にも年少者は必要を感じて従い、秩序(コンセンサス)が保たれていたのです。
月日が過ぎると年長者は次の年代のステージで活動するためにチームを卒業し、年少者だったメンバーが続いてチームを率いてシステムが循環します。
自然の中で次々発生する新しい出来事(子供たちにとっての発見)をチームで体験し学び、気づく事で、リーダーシップやコミュニケーション能力が知らない間に育まれていたのです。
現代ではどうでしょうか。比較すればこの数十年で子供たちの自然体験活動は激減しています。フィールドが開発により減り、塾や習い事が増えた事により遊ぶ友達自体が減ってしまった事も要因の一つです。映画やDVD、アミューズメント施設やゲーム、携帯電話、インターネットなど個人でも楽しめるバーチャル体験が増えています。
■ 教育機関が警鐘
文部科学省が「体験活動の教育的意義」として自然体験が道徳観や正義感を育て「生きる力」を育む効果がある事を示しています。
「間接体験」や「疑似体験」が増える中、「直接体験」が重要視されています。体験活動については、戦後の学習指導要綱が改訂される度に、その重要性が唱えられ、充実・拡大されてきました。
国立青少年教育振興機構が行った調査研究では「子どもの頃の体験が豊富な人ほど、大人になってからのやる気や生きがい、モラルや人間関係能力などの資質・能力が高い傾向にある。」と発表され、「他者への思いやり積極性などの自立的行動習慣が身についており、自己肯定感が高い傾向にある事」も明らかになっています。
自然体験活動の中で育つ「人間力」は、社会生活で必要な基礎能力です。この部分を育てないまま仕事に直結するスキルのみを身に付け実践する事は非常に困難な事でもあり、強要は大きなストレスとなります。
すでに子供たちだけの問題ではなく、社会人の問題として対処する必要があるのです。人間力が幼い社会人が先輩、上司になる割合が増えるとこの問題は加速します。
- モチベーション・組織活性化
- リーダーシップ
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
- コミュニケーション
乗船中のボースン(甲板長)から生の声をお届けします。
季節を肌で感じながら、船のメンテナンスを担当するボースン(甲板長)です。
乗船中の研修生の皆さんとの船内共同生活は日々新たな発見の連続です。
迫田 央(サコダ ヒロシ) 帆船みらいへ事業部営業統括
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