【日テレHR】戦略と戦術の違いわかりますか?
本対談は、日本テレビアナウンサー青木と日テレHRアカデミア眞邊の対談を、
実際に日テレHRアカデミアで行われた対談をテキストにて転載しております。
企業における世代間の認識のズレを、PDCAとOODA、戦略と戦術の違いから解説しています。
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眞邊 :OODAもPDCAも1つだけ大事なことがある。
それは「目的が握れているか」です。つまり、なんの目的でそれをするのかということで、それを別の言い方で言うと「戦略」という言葉に変わります。
PDCAの時わかりやすかったのは、「こちらに市場がありますよ、ここに大量に良質な商品を出せば買う人がいます」となると、目的としては「良い商品を大量に作る」という考え方がベースにあります。その場合は目的を握れているので「全員が一丸となって改善をすればいい」つまり「100%のものを増やせばいい」という形で、非常に回りやすい志向があります。
ところが、もう一方の状況が、「変化をしています。例えば、作っても売れないし、新しいもの作らなければいけないし、製品をバージョンアップさせなければいけないかもしれないし」という状況が起こっているときは、実は目的を明確にしないとなかなか勝てません。
つまり単純に良いものをたくさん作るのではなくて、小ロットのものを大量に作らなければいけないかもしれないし、もっと製品を絞ってやらなければならないかもしれないし。
そこに対して全員が目的意識を一致しないとこれが回らないわけです。
これはOODAも同じで、現場で戦っている人間が全然違う作戦を考えていたら、もうそれはやられても仕方ないということです。飛びだった飛行機たちが、全然違うところへ飛んで行ったら、もうそれはもともとの計画が違うというわけで、この目的は、つまり「戦略を理解する」であり、PDCAとOODAは実は戦術を速やかに行うというものがあります。 戦略と戦術って結構使いますよね、スポーツとかでもよく使うと思うのですが、戦略と戦術の違いについて、結構あまりみなさん知りません。
青木 : 確かに、どちらもよく使う言葉ですが、私の感覚で言うと、戦略のほうが大まかな概念、で戦術となると具体的な策というイメージです。
眞邊:そうですね、大きさと小ささっていうこと、これを軍事用語で言うと割とわかりやすいです。
戦略は方向と範囲を決めます。つまり、攻めていく方向とどれくらいの範囲を責めますかっていうことですね。これわかりやすいですよね。
戦術は、方向と範囲が決まったら、そこにヒトとモノとおカネ=戦うために必要なものを速やかに移動と配備すること。「早く移動と配備」ですね。
決まりました、方向と範囲が決まった、ここに早く攻撃するものの物資や人や、兵隊や攻撃の武器を運び込めれば当然強くなりますよね。
速やかに移動・配備の部分が実は「OODA」という部分、そうです、移動させる。
で、PDCAは実はPのところに方向と範囲も含まれているので、PDCA自体は戦略と戦術が混ぜこぜになっている。
これが少し機動性を弱める。
だからなかなかその方向と範囲が、昔のその工場だと、国内も国外も含めて大量にものを出しましょう、良いものを出したら勝てるんですという話だったので、ヒトとモノとおカネはそのために投資しましょう。
工場作って、人をたくさんやってそこにちゃんと原料を入れて、ロスなく出せばいいという考え方でした。 が、今は撤収したり、新しく立ち上げたり、ということをものすごくたくさんやらなければいけないので、計画の管理が難しくなっています。
青木: そのOODAのほうは、日本人の企業にはなじみますかね?
眞邊:これはただ今、例えばメガベンチャーやフィンテックとか若い人たちが集まっているところは、原則的に会社の風土として、スピードということを知っているので、今、働き方改革とかって大きく話に出てきていますけど、あれって実は悪いことではなくて、短く働く=意思決定を早くせざるを得ないのです。
青木: 確かにそうですね、もちろん。
眞邊:意思決定を早くするために無駄をなくす、そこにAIを入れる。という考え方でいくと、 昔よりも日本人の感覚もOODAに近くはなってきているんではないかと思っています。
青木:意識として。
眞邊:考え方としては近い。 我々(51)の世代が一番難しい。もうそういう体験としては、決まったことをちゃんとするという世代だから、決まってないとか自分の経験外のことをやらなければいけないときに、何ができないって「判断」ができない。判断が怖い。
青木: 今までしてなかったから。
眞邊:そう、だからそれは本社から降りてくるものだという認識だから、本社が判断できないとなると困るわけですよ。
青木: 対応ができないわけですもんね。
眞邊:だから今PDCAが回らないというのは、戦略を丸投げしているわけですよ、要は、現場に。そうすると、方向とか範囲がわからないまま、「さあ、やれ」「計画を立てろ」と言われてるんで、そもそも計画が立てられないわけです。
しかも計画をチェックされますよね、計画したことと結論の差異を見てそれを評価されるわけですから当然怖いではないですか。
もう一回出たところで日本人の場合はチェックの時点で評価になっているわけですよ。 OODAの場合は、状況を変えるということがベースなので、仮に悪くなったとしても状況が変化しているので、すぐにリカバリーできる、タームを作る、もっと言うと全滅しない、逃げてもいい。
青木: なるほど、まさに戦術から来ているという感じですね。
眞邊:勝てないなら引き返せ。
青木: それも選択肢としてあるということですね。もうPDCAの場合はやりきるしかない。
眞邊:しかも自分で計画立てたら、「これお前が立てた計画だな」と「責任取れよ」って言われる。そうすると、Pの段階からチャレンジ精神は失われる。 だからPDCAは、成功過程で、しかも状況的にはある程度長い時間続いて、同じ状況で改善ができる場合は、威力はすごい。1980年代の日本というのはまさにそれで。
青木:その威力があって、NO1と呼ばれるまでに昇りつめたわけですね、あの時代は。
眞邊:そこが日本の一番強い部分で、この時代というのはあるので、変な話、これがダメだということではなくて。今この状況が壊れたので、その壊れた状況に合うフレームワークを仕入れればそれでいい。ただその時に人もそういう風に転換しなければいけないので。
青木:そうですね、その組織も変えなければいけないし、それぞれ人達の意識や対応力も問われるというわけですね。
眞邊:だからまあ、こういう端末があったり、帳票類なんかもどんどんペーパレス化したり、あと今の若い人たちはコンタクトを取るにしても、我々の時代は電話やポケベルでやってましたけど、今の人たちは瞬間でチャットなりでつながりますからね。 ということは、少なくとも意思決定するスピードはすごく短くなっている、ということは周りの社会環境はスピード化されているので。
青木:デバイスも含めて。
眞邊:今の若い人たちにとっては、恐らくPDCAを回せと言われるよりOODAと言われたほうがたぶんわかりやすい。
青木:なるほど。特に若者にとってはそうですよね。OODAのほうがフィットしやすい。
眞邊:これが正しいということではなくて、こういうフレームワークを1個先に覚えておく。これは理論なんですけど、僕なんかは単純にフレームワークだと思っている。形にあった今の時代でもPDCAのほうが向いているという職種とか現場もあって。
青木:そうですよね。
眞邊:必ずある。だからそこに無理にOODAを入れる必要はなくて、合わないところにはOODAという考え方もあるし、また新しい理論が出てくるかもしれないし、それを合わせるという考え方が必要で、日本の場合はPDCA成功率が高すぎたんですね、必殺戦術術みたいになってしまっている。
青木:それで成功体験がたくさんあるだけになかなか変えられない。
眞邊:それで経営している人たちからすれば、その時代で育っていますから。
しかも理論的には理解しやすい。計画を立ててやってチェックして改善するんだ
わかりやすいではないですか、だから抜け出せない、まさにループですよ。
逆に言うと、こういう新しいやり方があるんだというのがあると面白いということ。 今回こんなお話をさせていただきましたけど、全然別論でやると、マネジメントの話とかビジネスの話とか、これは実は戦争とか、、、ほとんどのものは戦争から出ているんですよね。
青木:インターネットとかももともとそうですし、技術的なこととかもそうですし、考え方とかもそうなんでしょうね。
眞邊:なので歴史上のものを追うと、戦略と戦術との差とかそういうものもちょっとわかってくるんで、そういうことも勉強しながらやって、こういうことに興味持ってもらうといいかなと思います。 ありがとうございました。
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機動(OODA)と、行動心理学に基づいた思考分析を駆使し、「個人」の思考能力のアップし、組織イノベーションを起こしていきます。
眞邊 明人(マナベ アキヒト) 日テレHRアカデミア理事
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