発生型問題解決と設定型問題解決
ありたい姿が分からない状況の中で、自ら目標を設定し、新しい提案を作る。
これが「設定型の問題解決」です。
これまでの日本の教育現場では、ありたい姿が与えられ、現状とのGAPを埋めるための手法が教えられてきました。
問題(あるべき姿と現状の差)を認識することがすべての始まりでした。それを「発生型の問題解決」と言います。
しかし、現実のビジネスでは、そもそものありたい姿が分からない。
上司がお題を与えてくることは少ないです。
具体的に何を考えてほしいと依頼されるのは若手・新人までです。
会社・上司からお題を与えられない中で、自分なりに考えて提案することが求められています。
それができないと、上司から「もっと自分で考えてほしい」と言われてしまいます。
では、設定型の問題解決ができるようになるためには、どんな力が必要になるだろうか?
実は、発生型問題解決と重要となるポイントは大きく異なる。
その違いを5つのポイントで整理してみました。
1)プロセス ~お題を解くのではなく、お題を考える~
発生型問題解決では、まず最初にあるべき姿と現状のGAPを認識する。
そのGAPをどう埋めるかというお題が与えられ、どう解くかを考える。
設定型問題解決では、お題が所与ではないため、そもそも何を考えるべきかを考える必要がある。
つまり、自らお題を考える必要がある。
2)視野 ~過去を考えるのではなく、未来を考える~
発生型問題では、既に問題が発生している。
その問題は、はなぜ起きてしまったのか原因を考える。対象は過去である。
設定型問題では、今の状況でこのままいくとどうなるのかを考え、何をすべきかを決める。対象は未来となる。
3)分析 ~物事を分解するのではなく、一から全体を把握する~
発生型問題解決では、物事を分解して考える。例えば、売上が下がっている場合には、どこで売上が下がっているか分解する。
商品別、地域別、セグメント別などに分解する。これを問題分解といったり、どこどこ分析という。
それに対して、設定型問題では、目の前で起きている一つの事実から、全体を把握しようする。
このままでいくと、どうなるのか?一部分で起きている事象から、マーケット全体のここにチャンスがあるのではないかと想像する。
一の事実から、全体を把握するのである。
4)課題 ~事実をまとめるのでなく、意思を持って課題を決める~
発生型問題では、問題がなぜ起きたのか原因分析を行う。集めた事実をまとめて、これが課題であると特定する。
設定型問題解決では把握できた事実から、こうすればもっとよくなるのではないかと意思を持って課題を形成する。
こういう取り組みをすれば、もっとよくなるのではないかという前向きな取り組みを考える。
課題を決めるためには、事実だけでなく、意思も重要となる。
5)スタンス ~問題を解消するのではなく、チャンスを獲得する~
発生型問題では、既に問題が発生しており、その問題を解消することが求められる。悪い部分を治すのだ。
設定型問題では、問題は顕在しているわけではない。
現状、特に問題はないが、新しいチャンスを獲得し、新しい価値を創造するスタンスを持つ必要がある。
以上が、発生型問題解決と設定型問題解決の違いです。
このように、求められるスキルもマインドも異なってきます。。
これまでの研修では、発生型の問題解決を学ぶケースが多かったが、今後は「設定型問題解決」が中心になってくるでしょう。
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高松 康平(タカマツ コウヘイ) 株式会社スキルベース 代表取締役
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