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【連載】エンゲージメントサーベイを選ぶ際の5つの要件 #2

人的資本経営の成果を示すメルクマールとして、従業員エンゲージメントが重視されています。また、上場企業においては、人的資本の情報開示項目として、従業員エンゲージメント指標を開示する企業数が増加しています。従業員エンゲージメントを経営指標として用いるためには、当然のことながらそれを測定する必要があります。そのために、エンゲージメントサーベイを活用する企業(官公庁、その他の組織を含む)が増加しています。


エンゲージメントサーベイを自社で開発する企業もあれば、外部の専門サービスを利用する企業もあります。いずれの場合であれ、エンゲージメントサーベイの結果が信用できるものでなければ、適切な経営判断に用いることはできません。


では、どのような視点でエンゲージメントサーベイを選べばよいのでしょうか?本稿では、正しいエンゲージメントサーベイ選びのための5つの要件について、3回に分けて解説します。第2回目は、5つの要件のうちの、3つ目と4つ目について解説します。

第1回目はこちらをご覧ください。https://jinjibu.jp/spcl/keiji-matsuoka/cl/detl/5628/

 

 

3. 設問数が絞り込まれているか?

エンゲージメントサーベイに限らず、あらゆる調査の開発において、信頼性(調査の安定性)と妥当性(調査目的との適合性)が統計的に検証されていることは不可欠です。信頼性・妥当性の検証は最低限の基本ですが、それだけではなく、設問数を可能な限り減らすための統計的な検証が実施されていることが重要です。

 

消費者向けのインターネット調査では、設問数が多くなるほど途中離脱が増えることが知られています。社内で行われるエンゲージメントサーベイにおいても、設問数が多くなるほど、回答率が低下するだけでなく、回答精度の低下を招いてしまいます。

 

エンゲージメントサーベイの回答者は、自分自身の気持ちに向き合う必要があるため、設問数が多いと負担感を高め、判断力を鈍らせてしまうのです。 統計的な検証を何度も行うことで、そもそも不要な設問を取り除くだけでなく、設問間の重複や内部相関を排除し、設問数を絞り込むことができます。設問数の多いサーベイは、その処理を十分に行っていないと思われます。

 

4. 因果関係が把握できるか?

エンゲージメントサーベイはやって終わりではなく、次のサーベイに向けてエンゲージメントを高めていくアクションを実施することが求められます。そのためには、エンゲージメントの数値に影響を及ぼしている要因を把握することが必要になるため、一度のサーベイでエンゲージメントの数値とその要因の両方を把握できることが望まれます。

 

エンゲージメントとその要因の因果関係がサーベイに組み込まれていたなら、要因となる因子をどれだけ高めれば、従業員エンゲージメントがどれだけ向上するかという予測シミュレーションも可能になります。それによって、次のサーベイにおけるエンゲージメントの目標値の設定と、その達成に向けたアクションプランの策定をセットで行うことができ、エンゲージメントを高めるために未来志向で取り組むことができるようになります。

 

因果関係を含まずに調査項目が一列に並んでいるようなサーベイでは、数値の悪い項目に目が行き、問題解決のための改善策が検討されるでしょう。しかし、それを改善するとどれくらいエンゲージメントが高まるかが定かではないため、取り組みに対する意欲は高まりにくいと言えます。

 

今回のコラムでは、5つの要件のうち、3つ目と4つ目の要件について解説を行いました。エンゲージメントサーベイは単に実施をして数値の上下を定点観測をしているだけでは、意味がありません。そもそも利用している、または検討しているエンゲージメントサーベイは、次のステップにつなげるためのヒントや方向性が検討できるような設計になっているでしょうか?

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • リーダーシップ
  • マネジメント

日本において、1on1とOKRを含む、パフォーマンスマネジメントの重要性をいち早く唱え、多くの企業の経営者と共にマネジメント改革に携わる。

東京大学法学部卒業後、アクセンチュアにて、人と組織の変革を担当するチェンジマネジメントグループの立ち上げに参画。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任後、アジャイルHRを設立。

松丘啓司(マツオカケイジ) 株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

松丘啓司
対応エリア 全国
所在地 港区

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