新入社員はなぜ3年で辞めるのか。 存在承認編
私は2012年~2013年にかけて新卒入社の会社を3年以内で退職した若者100人に対面インタビューを行い、その結果を「早期離職白書」にまとめました。
「若者はなぜ3年で辞めるのか」という議論は約20年前から始まっており、近年だけの問題ではありません。それでもいまだに「最近の若者は根性がないから3年で辞める」という説を信じている人もいます。「3年で3割辞める」という事実は20年間変わらないわけですから、最近の若者が3年で辞める理由が根性不足にあるのなら、日本人は20年以上前から根性不足だったということになります。
私がインタビューをした結果をまとめると、3年以内で辞める理由は大きく3つの要因に分けることができます。
1.存在承認不足
2.成長実感不足
3.成長予感不足
業種や職種、企業規模によってどの要因が主原因となって3年以内の退職が生まれているのかは傾向が異なります。中小企業や労働時間が長い仕事の場合、存在承認と成長実感の不足が主な原因です。また、大企業でも新規営業がメインの仕事の場合は存在承認不足が多い傾向があります。
存在承認とは具体的には「褒められる、認められる機会が少ない」「職場の仲間と仲が悪い」「上司や先輩のことを好きになれない、嫌い」というような状態です。存在承認不足が原因で退職した場合、退職企業に対してネガティブな印象を抱く人が多く、口コミサイトなどにも悪評を書き込むケースが多く見られます。企業としてはできる限り存在承認不足での退職は減らした方がいいでしょう。
実際に存在承認不足になった理由としては以下のようなものが挙げられます。
・営業のノルマが厳しく、達成しないと毎日怒鳴られた。机を蹴られたこともあった。
・遅刻したときに上司から直接注意されず、あとでメールで「注意して」と連絡がきた。腫れ物に触るような雰囲気があって、それから上司のことが苦手になった。
・社内のお局様に目を付けられて、毎日嫌味を言われ続けた。
時には叱ることも必要ですし、注意すべき点は注意すべきです。一方で「最近の若者は厳しく叱ってはいけない」という先入観があり、うまく叱れないという人も少なくありません。これはあくまで私の印象ですが「叱る根拠」さえ明確になっていれば、若い人でも叱られること自体はそれほど嫌がらないと思います。反対に上司が「気に入らないから」とか「(上司にとっての)常識と違うから」という理由で叱ると嫌がります。
いずれにしても、存在承認というのはこれくらいちょっとしたことで不足感を感じてしまうものなのです。
「そんなくだらないことで」と思ってしまうその考えが、もしかしたら社員の存在承認不足につながっているかもしれません。
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早期離職対策・社員定着率向上コンサルタント
「早期離職白書」の作者であり、若手社員と育成担当者への研修・セミナーを全国で実施している。
また、2015年10月よりストレスチェックサービス「りーふBiz」をリリースし、現在はメンタルヘルスケアサービスも展開中。
井上 洋市朗(イノウエ ヨウイチロウ) 株式会社カイラボ 代表取締役
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