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新しい人事の専門家CHOが会社を救う

人を大切にする経営(人本経営)に成功していくことが、令和時代には健全に企業活動を継続していくために不可欠になってきていると感じています。


人本経営を成功させていくためには、支配型のボスによる管理主体のマネジメントでは功を奏しません。その理由は、多様性という令和時代の社会的要請に応えられないからです。

多様性を取り込むためには、一人ひとりの社員のポテンシャルを最大限に引き出す支援型のリーダーの存在が欠かせません。

しかし、右肩上がりの経済環境で、効率を絶対価値にして最大最速の収益性確保を目指すことに慣れ親しんだ経営者であればあるほど、感覚的には真逆に近い発想や行動が求められるために、その実践と成果の達成は容易ではありません。

必要性を感じているものの、経営者として自らが支援型リーダーシップの実践がむずかしいと感じている場合には、次善策を講じていく必要があるといえるでしょう。

すなわち、全員主役になるような経営人事マネジメントを実現していくための推進役を右腕、左腕に起用して、企業風土を改善していくことです。

そのような役割を担う専門職として、今後、CHOという存在がクローズアップされてくる可能性が高まってきています。

ネットで検索すると、「チーフ・ヒューマン・オフィサー」として使われている事案が確認できます。いわゆるヒューマンリソースマネジメントの専門家という位置づけです。また、「チーフ・ヘルス・オフィサー」という使用例もあります。こちらは健康経営の実現のための専門職という役割です。

ここで提唱するCHOは、それらとは全く違う概念で、「チーフ・ハピネス・オフィサー」ということになります。

企業において社員の幸福をマネジメントする専門の役職であり、社員の幸福度に注目し、その向上・改善を図ることで自社の成長に資するのが「CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)」の使命です。

グーグルなどの先進企業がCHOを導入したことから、近年、新しい組織マネジメントのあり方として注目を集めています。

マネジメント系では、欧米で流行りだしていると触れ込むと、日本で関心が高まるという構図がこれまでもよくありました。しかし、ことCHOに関しては、人本経営という幸せ軸の経営で「いい会社」づくりをサポートしてきた実務の現場に10年以上身を置いてきた者としては、ようやく時代が追いついてきたかという感覚です。

「幸福学」ということが、ことさら新しい概念のように露出されていますが、師事させていただいている坂本光司元法政大学大学院教授(「人を大切にする経営学会」会長)はすでに30年以上も前から、企業経営は業績拡大ではなく関わる人々が幸福になることが目的であると、業績軸よりも幸せ軸を最優先させる組織づくりの重要性を説かれ、提唱されてきています。

ともあれ、ステークホルダーの幸福度が高い会社でなければ、未曽有の生産年齢人口の激減時代に、持続可能性が高まらなくなってきたことは確実視されているところですから、CHOが活躍する会社が増えるのは望ましいことである、ということには異論はありません。

 

人本経営を企業に根付かせ、社風のいい企業風土を醸成させていくことが、CHOの重大な役割になっていきます。これから多くの職場で頭を悩まされるパワーハラスメントが無縁となる組織づくりにも大いに貢献していくとになるでしょう。

ここでCHOの定義や求められる役割について考察してみることにしまょう。

 

CHOの定義

CHOとは、持続可能性を高めるために企業経営における幸せ基準を認識し、自社の現状を把握、そして、幸せ基準をクリアし継続していくことを目指し行動していくリーダーのこと。

幸せ基準

幸せ基準とは、企業風土の健全性を示す状態のことであり、以下の指標に関してスコア化したものである。

1. 仕事に対する意識度合(やりがい度、働きがい度、ひいては生きがい度)

2.職場での人間関係の質(関係の質の状態)

3.職場の雰囲気(組織に対する信頼感)

4.人材育成面(将来に向けた健全性)

5.職場の環境面(働きやすさの状態)

6.労働条件面(社員の健康状態)

7.報酬面(現時点での満足度)

8.将来展望(会社への帰属意識)

9.ワークライフバランス(仕事と家庭の両立度)

10.労務状況(労務指標定量面の健全度)

11.財務状況(財務面での幸せ基準に求められる健全度)

CHOの役割

自社における幸せ基準の現状把握を行い、課題を抽出形成し、改善計画を立案し、関係者との対話により、組織の幸福度を高めていくための働きかけとサポートを継続していくことが役割であり、それを実践できる能力を有していることである。

CHOに求められる知識、能力、スキル

よってCHOに求められる知識、能力、スキルとしては以下が考えられる。

1.社員意識(幸福度)調査の実施を適正に行うことができる知識

2.人を大切にする経営(人本経営)の正しい理解

3.ベンチマークすべき「いい会社」の事例についての知識

4.幸福度を認定する公的顕彰事業に関する知識

5.組織の自律性を高める支援型リーダーシップの理解とその発揮

6.合意形成を実現する対話力

7.周囲を巻き込み影響を与える人間力

8.幸福度ベースで考える福利厚生制度のあり方

9.幸せを増大させるメンタルヘルス対応のあり方

10. 幸福度を高める社内イベントの活用法

概観的ですが、ここまで見てきたような分野での専門家が、これからの時代に求められるCHO像であると考えます。中小企業では、現実的には経営者そのものがその役割を担うことも多くなるでしょうが、経営者の右腕、左腕として従来の人事部、総務部のリーダーがその任務を積極的に担い、幸福度の高い組織づくりに貢献していくことが理想的といえるでしょう。

ただし留意すべき点があります。これまでの人事や総務の仕事でコストカットという管理目的が刷り込まれていると社員の幸福度増進を図る支援施策は感覚的に相当に困難な課題になるかもしれないということです。

GoogleでCHOとして活躍するチャディー・メン・タンはエンジニア出身です。CHOには、人事や総務出身者でなくとも、より柔軟で人に興味関心があって、場合によっては前例にとらわれない自由な発想ができるタイプのほうが適任となる可能性もあるのです。現在の総務部や管理部門にそうした人材がいるでしょうか。いない場合、従前の人事マンパワーに拘ることなく、大胆な人事異動も大きなテーマになってくるかもしれません。

CHOの養成を経営人事面での優先課題とぜひ位置づけて実践をはかってください。

 

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • 人材採用
  • リーダーシップ
  • マネジメント

人を大切にする「いい会社」づくりのトータルプロフェッショナルとして全国で活動中。

人を大切にする経営「人本経営」のノウハウを研究蓄積し、普及活動に励んでいます。これまでに人本経営に成功した企業のベンチマーク視察数は750社。2010年から人本経営実践の指導を行い指導先は130社を超えました(2019年12月現在)。

小林 秀司(コバヤシ ヒデシ) 株式会社シェアードバリュー・コーポレーション 代表

小林 秀司
対応エリア 全国
所在地 千代田区

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