メンタル不調(うつ病)への対処法 シリーズ2
みなさん、こんにちは。株式会社ヒューマン・タッチの森川です。
前回は【メンタル不調(うつ病)への対処法 シリーズ1】として、「ストレスとは」「ストレスの要因」について、お話しさせていただきました。今回は、【シリーズ2】として「ストレス反応」「うつ病とは」について、話題にさせていただきます。
■ストレス反応
ストレスの要因は大きく以下の4つに分かれるとお話しさせていただきました。
「仕事(職場)の要因」「仕事以外の要因」「助けてくれる人がどれぐらいいるか」「個人の要素」それぞれが、プラスに働けばよいのですが、マイナスに働いてそれが重なってしまうと、「ストレス反応」として心身に影響が出てきます。
患者様に「誰に言われて病院に来ましたか」といったアンケートをとったところ、「家族」「知人友人」「職場の人、仕事関係の人」の中で、最も多かったのが「職場の人、仕事関係の人」だったそうです。よくよく考えれば、家族よりも日中の長い時間一緒に過ごしているのは職場の人かもしれません。職場での「気づき」「声掛け」「聴く」「つなぐ」は、とても大切ですね。
皆さん自身のまた、職場や家庭で周りにいる大切な方の不調のサインとしても捉えられますので、以下のような反応があった場合には、自身の心や体に目を向けていただきたいですね。
1.「感情面・精神面での変化」
・活気の低下、イライラ感、不安感、ゆううつ感、その他
2.「身体的な変化」
・頭痛、腹痛、肩こり、ドキドキ感、その他
3.「行動面での変化」
・アルコール、タバコ、ギャンブル、不登校、退職、その他
1.については、一般的にエネルギーが下がってきますので、いろいろとやるべきことが億劫になったり、意味もなく不安が出てきたりする方がいます。逆に、少しイライラする方もあるかもしれません。特に職場の上司など、イライラはストレスのサインとして捉えてみると、気が楽になるかもしれませんね。
2.については、もともと体の弱い部分に出てくると考えられています。胃腸が弱い方はそこから、肩こりや頭痛もちの方もそこから出てくるかもしれません。いつもとの違い、に気を付けて察知できるとよいですね。
3.については、メンタルヘルスに関しては、アルコールの害について注意したいところです。アルコールと精神科的な疾患については、どうしても結びつきやすいのですが、結果としては最悪な結果になってしまうこともあり得ます。自殺された方の過去1年間のデータからは、多量飲酒や依存の傾向が3割弱に上るようです。メンタル不調での療養に関しては、アルコールについては控えていただくことが大切ですね。
■うつ病とは
次に、代表的な精神科疾患である「うつ病」の特徴についてもお伝えしておきます。
うつ病は、「心の病気」ではなく、「脳の既往不全」と理解されています。最新の研究では、脳の特定の分野で炎症が起こっているのではないかとの知見もあります。ただ、病前性格として「真面目」「几帳面」「他の人に配慮ができる」そんな方はリスクが高いと言われています。年間で、100名の従業員がいれば3~5名程度は発症してもおかしくない病気です。復職支援で企業様を回っていますが、数百名規模の事業場で、人事労務担当者の方が自慢げに「うちの会社にはメンタル不調で休職している人は一人もいませんね」という方がおりますが、多くの場合は、「企業側が把握していない」「会社が気づく前、もしくは本人が伝える前に辞めている」のどちらかではないでしょうか。生涯の有病率ですと10%を超える数字も出ています。10人に1人は生涯でうつ状態を経験することになりますね。遺伝的な原因は考えられていますが、精神的な負担が複数重なって発症するケースが多いようです。ただ、お薬と休養をしっかりと入れることで、3から6か月程度で回復できる病気でもあります。
私たちが取り組んでいるような心理療法に関しては、療養を経て、エネルギーが上がってきたころに、根本的な治療の一つとして考え方を柔らかくしたり、各種ストレス対処法を学んだりする内容が一般的です。
■うつ病の特徴的な症状
うつ病には、特徴的な症状もあります。
まずは、憂鬱な気分です。理由もなく、押しつぶされるような感覚とお話しになる方もあります。エネルギーが枯渇してしまう病気ですので、雑誌や本を読んだり、ゲームをしたりビデオを見たり、普段であれば楽しみであることも、興味がさがり、そもそも億劫でやりたくなくなる人もいます。最も影響が出やすいのは、やはり「眠り」です。朝方目が覚めるような方もあれば、眠りに入りづらくなる方もあります。もともとの性格傾向でもありますが、病気によって「自責感」や「罪悪感」がさらに高まってくることもあります。「申し訳ない」「自分が迷惑かけている」といった言葉が職場でも見られるかもしれません。あと、病気のなせる業ですが「消えてなくなりたい」「死んでしまいたい」といった気持ちも出てきてしまいます。ただ、これら一つだけ、1日出現したから病気ですか、と言われればそうではないですよね。上記の症状が3つ4つと複数重なり、なおかつ2週間以上継続されるような場合、病気や症状の可能性を感じていただきたいです。
■対処で大切なこと
昔ながらのうつ病(頑張り屋さんが、これでもかこれでもかと頑張った挙句、ダウンしてしまう形)に関しては、やはり精神的な負担から外して、療養してもらうことがとても大切です。治療と服薬も継続しながら、眠りや気持ちを安定させ、しっかりと休んでいただくことが、まずは最優先です。
真面目な休務者の方にお話を聴くと、「最初の3週間ぐらいは、申し訳ない、私の代わりに仕事で迷惑かけている、皆からどう思われているか、などの考えが湧いてきて休んだ気にならない」とおっしゃる方が多くいます。ただ、同様に、さすがに3、4週間と会社から離れますと、「気持ちが楽になってきた、朝、鳥の声が聞こえるようになった」など、ほとんどの方が「お休み」を感じるようです。
病気の状態もしくはその一歩手前の状態であっても、どうしても仕事が抜けられない職責のある方の場合、「とにかく数日、土日合わせて1週間休みを作ったので何とか頑張ってくれ」というケース、実は多いかもしれません。ただ、真面目で責任感が強い方は、上述したように、1週間まったく休んだ気にならない、ということもあり得ます。その上で、周りの方たちも、1週間後には職場に戻ってくる前提ですから、確認したいこと、聞きたいこと、ため込んでいるかもしれません。心も体も回復できないまま休み明け出社すれば、いつもよりも仕事がドカンと降ってくる、最後の一撃となって心身へ大きな影響を及ぼすこともあり得ます。
あてにしていた人物だけに、他に変えが効かず、周りのメンバーがさらに疲弊する。当該社員の回復に時間がかかればそのリスクはさらに大きくなりますね。
「いち早く気づいて、いち早く対処する(仕事から離れて療養に入る)」ことは、本人だけでなく、長い視点で見れば職場にとっても意味があると確信しています。
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通算500社以上のコンサルティング、900件以上の復職面談、年間100件以上のセミナーをこなすメンタルヘルス対策専門コンサルタントです。
メンタルヘルス対策の仕組みづくり、個別休職復職支援、ラインケアセミナー、セルフケアセミナー、全員面談、ストレスチェック、職場環境改善、災害・自死等の危機対応など、「こころ」の視点から、「いきいき職場づくり」をトータルに支援いたします
森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
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