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賃金制度における一般職・管理職の留意点

賃金制度における一般職・管理職の留意点
給与の逆転現象に気を付ける


適切な権限移譲と、役割にふさわしい賃金を設計し、透明性の高い制度運用をしていく


賃金制度とは

賃金制度とは、企業や組織が社員に対して支払う賃金や報酬の仕組みや体系のことを指す。
社員の能力や経験、貢献度などに応じて賃金を決定する方法そのものや、賃金決定に伴う基準や規程などがこれらに該当する。

賃金制度は、企業の目的や戦略に合わせて設計されることが多く、例えば業績・個人の成果に応じて変動するものや、職務に応じて固定されるものなどがある。
実際の賃金の支払いにおいては、休日出勤や時間外労働などの割増賃金等を考慮する必要があることを、併せて推させてさせていただきたい。


管理監督者とは

賃金制度において、管理監督者の定義を理解しておく必要がある。
管理監督者とは、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日などの制限を受けず、経営者と一体的な立場にある者を指す。
管理監督者は、労働基準法における労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外に該当することから、残業代を支払わないものとして運用されている。
一般的には、企業における管理職が管理監督者に当たるケースが多いが、管理監督者に当てはまるかどうかは役職名ではなく、次の要件を満たしているかの実態に即して判断される。

(1)企業内で重要な職務を担い、それらを実行する責任と権限を有していること
(2)労働時間や勤務形態に制限がなく、自らに裁量があること
(3)賃金等について地位にふさわしい待遇がされていること


一般職、管理監督者の給与逆転現象

管理監督者の手前に位置する一般職社員において、残業代を含めた月給が、管理監督者の月給を超える現象が発生するケースがある。

一般職の社員からすると、昇格・昇進することにより、責任や求められる役割が増えることに加え、給料も下がるということになると、管理監督者になりたがらないのは、当然のことと言える。

また、管理監督者側の視点では、自分より等級や職位が下位の社員の方が給料が高いということになり、不公平感からモチベーションの低下に繋がるケースがある。

この状況を改善しないまま放置すると、最悪の場合、組織として長年手塩に掛けた幹部人材を失うことになりかねないため、早急に改善が必要である。


賃金制度の改善ポイント

給与の逆転現象を改善するポイントを紹介する。

(1)管理監督者の賃金を引き上げる
管理監督者の要件にある、「賃金等について地位にふさわしい待遇がされていること」を満たすために、管理監督者の賃金を見直し、適正な賃金を設計する。
この場合、人件費の増額になるため、自社の財務状況や支払い能力を踏まえた検討が必要となる。

(2)月給と賞与のバランスを見直す
月給での賃金の逆転が発生していたとしても、年収で比較した場合、一般職よりも管理監督者の方が高い賃金を得ていることが通常である。賞与の額により、差がつくからである。
そのため、月給での賃金の逆転を改善する方法として、月給と賞与のバランスを見直し、年収における月給の比率を引き上げることも検討する。
この場合、総額での人件費増額にはならないため、給与原資が少ない場合でも対応できるメリットがある。

(3)一般職の社員の残業を削減する
一般職の社員の中には、あえて時間内に業務が終わらないよう仕事をコントロールし、残業代を得る、生活残業を前提にした働き方となっている場合がある。
そのため組織全体として、生産性に対する意識を向上させ、残業時間を削減する。

(4)組織における管理監督者の定義を見直す
組織で定義している管理監督者について、実際の職務や役割を精査し、管理監督者の要件に照らし合わせ、該当しているかどうかを判断する。
※昨今、十分な権限や裁量が無いにも関わらず、社員を管理監督者として位置付けて、残業や休日出勤を無給にするといった「名ばかり管理職」が問題となっており、過去には実際に裁判でも争われたことがある。(日本マクドナルド事件:東京地裁平成20年)。


さいごに

企業の持続的な成長のためには、幹部人材である管理監督者が、その役割を十分に発揮することが大切である。そのために、適切な権限移譲と、役割にふさわしい賃金を設計し、透明性の高い制度運用をしていくべきである。


※本コラムは青柳が、タナベコンサルティングの経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。

【コンサルタント紹介】
株式会社タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部 コンサルタント
青柳 湧也

専門商社において、多種多様な業界への営業および人材育成業務に携わり、当社へ入社。組織・人事・教育の専門家として、「社員全員が働きがいと働きやすさをを実感できる組織作り」を信念にHRコンサルタントとして活躍中。中小企業診断士。

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • 人材採用
  • 人事考課・目標管理
  • キャリア開発

創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績
企業を救い、元気にする。皆様に提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

強い組織を実現する最適な人づくりを。
企業において最も大切な人的資源。どのように育て、どのように活性化させていくべきなのか。
企業の特色や風土、文化に合わせ、組織における人材育成、人材活躍に関わる課題をトータルで解決します。

タナベコンサルティング HRコンサルティング事業部(タナベコンサルティング コンサルティングジギョウブ) コンサルタント

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所在地 大阪市淀川区

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