企業内大学とは?
企業内大学とは?
自社が求める人物像の具現化と学習する組織風土の醸成を担う人材育成システム
企業内大学は、自社の特徴を紐づけ、運用・成果に至るまで、一貫した設計をしましょう
企業内大学とは?メリットとデメリット
近年、ニューノーマルな時代を迎え、働き方の変化により企業内大学の設立が注目されています。企業内大学とは、社員へ主体的な学びを促進し、自社が求める人物像を実現させることに加え、社内の人材が講師を務めることにより、互いに教え合い、学び合う社風(学ぶ習慣)の醸成を狙いとしています。企業内大学設立の主なメリット・デメリットをあげると以下の通りです。
【受講者視点・メリット】
・他では聞けない自社の固有の技術・ノウハウを体系的に学ぶことが出来る
・理念・ミッションなどの方向性を共有する場として提供できる
・社内講師からの指導により、コミュニケーションの活性化に繋がる
【受講者視点・デメリット】
・学べる知識・スキルが社内固有の技術・ノウハウであるため、専門知識への偏りが生じる懸念がある
・階層別に必要とされる役割・能力の知識・スキルを指導できる人材が不在であるため、薄くなりがちである
・原則、社内講師のため緊張感が生まれにくい
【運用側視点・メリット】
・対象・時間・場所などフレキシブルに研修カリキュラムを組むことができる
・原則、社内講師が担当するため、ラーニングコストを抑えることができる
・他社にはないオリジナルカリキュラムを生みだし、競争力を高めることができる
【運用側視点・デメリット】
・企業内大学設立のノウハウがなく、また人的資源を鑑みると構築に時間を要する
・社内講師の調整、現場との連携が煩雑である
・運用を継続するための定期的なブラッシュアップが必要である
なぜ、企業内大学が注目されているのか?
近年、ニューノーマルな時代を迎え、働き方の変化により企業内大学の設立が注目されています。
例えば、毎年外部研修へ派遣をしているが、コロナの影響により中止もしくはオンライン化したことにより、求めていることとミスマッチが生じている。
企業戦略上、専門性の向上に努めたいが、長時間労働の是正により、休出もしくは遅い時間での勉強会の開催や遠方からの参加が難しくなっている。また、オンライン化が進むにつれ、社内コミュニケーションの希薄化になっているなど様々な課題を抱えています。
このような背景を踏まえ、独自のカリキュラムや学習方法により、自社が求める人物像を実現させることに加え、社内の人材が講師を務めることにより、互いに教え合い、学び合う社風(学習する組織)の醸成を企業内大学が担っています。
自社で企業内大学を設立する上で実践していただきたい5つのポイント
皆さんの会社で企業内大学を設立してみたいとお考えであれば、次の5つのポイントを押さえてください。
1. ビジネスモデル、戦略、求める人物像との整合性を持たせる
教育しなければいけないというミッションだけでは、教育だけが先走ってしまい、動機付けが不十分、不参加が多いなど絵に描いた餅で運用されない企業を多く見受けられます。
2. ニューノーマル時代に対応するためのデジタルとリアルの双方の学習スタイルを活用する
前出での課題にもあるとおり、リアル研修一辺倒では今の時代に適応しません。デジタルとの組み合わせにより生産性を高めるハイブリッド型学習スタイルを設計しましょう。
3. 企業内大学を確実にPDCAを回す運用体制を確立する
人事担当者、教育担当者では育成計画の推進やコンテンツの品質維持・開発を行うのは難しい。よって、各事業・部門から協力を得られる体制や品質を高めるためにも責任を明確にすることが大切である。
4. 人材育成で成果を出す効果測定の仕組みをつくる
人材育成投資をしても回収できるのは、時間がかかるとよく言われます。しかし、先行きが不透明な現代だからこそ、より成果や成長を明確にしていかなければなりません。例えば、研修の満足度はアンケートから抽出する、理解度はテストやレポート提出など研修フローと照らし合わせた仕掛けをつくることが大事である。
5. 教え学び合う風土づくりは、社内講師をつくる
自分たちが教えるからこそ、自社の魅力や強み、ノウハウを伝えることができる。そして、学ぶ側の視点からみると、言っていることが腑に落ち、実践してみようと主体性が生まれる。また、社内講師も教えることにより学習をすることでレベルアップが図ることができる。
企業内大学の講師を社員にするメリット
社員が講師を務めることが大きなポイントです。自身の動画が社内で公開され、モチベーションが高まることは容易に想像できます。デジタルデータの"作品"として登場する機会を与えられた社員は、張り切って自分のスキルを棚卸しし、効果的な伝達の仕方などを工夫するでしょう。
そしてアカデミーを人事処遇や評価制度と連動させ、大学のように単位制にすれば、想像以上のスピードと投資コストで企業内大学を設立することができます。
講師が各分野の社内プロフェッショナル人材なので、従来のOJT(On the Job Training)の構造的な欠点であった「部下は上司を選べない」という状況を大きく改善でき、「OJT 改革」を起こすことができます。
企業内大学の活用事例
社内に大学を設立することは、「ビジョンマネジメント」においても効果を発揮します。トップビジョンや経営方針、コンプライアンス強化を図るコンテンツ、人事制度変更のアナウンスなどをクラウド上に映像で公開し、社内ビジョンを調整するインフラとして活用されます。
ビジョンマネジメントとして活用できる事例は、大きく5つあります。
まず1つ目は、「ビジョン」「経営方針」です。トップや部門長によるこれらの内容を、分かりやすく解説したメッセージを収録して社内アカデミーのクラウドへアップします。
2つ目は、「経営管理機能コンテンツ」です。例えば、人事制度など深い理解が必要な制度について、人事部長や総務部長が解説する映像コンテンツです。
3つ目は、「組織経営コンテンツ」。全社の各部門が、何をしている部署なのかを知らしめるものです。組織が成長すればするほど、社員が現場を知る機会も少なくなります。結果、コミュニケーション不足が発生します。
4つ目は「商品コンテンツ」です。重点ブランド商品のコンセプトや、新商品プロモーションなどをアップすることで、インナーブランディング価値が創出されます。
そして5つ目は「創業者やトップの思い」をテーマごとに残しておくことです。誰が、どのタイミングで入社しても、同じレベルで情報を共有化できます。
※本コラムは盛田が、タナベ経営の経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。
【コンサルタント紹介】
株式会社タナベ経営
HRコンサルティング東京本部 本部長代理
盛田 恵介
2001年タナベ経営入社。セールスプロモーション部門にて営業経験を積んだ後、セミナー部門へ異動しセミナー責任者を経てコンサルティングに携わる。現在は、人づくりのスペシャリストとして中堅・中小企業の人材育成全般に携わり、教育体系から研修への出講 に至るまで 一貫してサ ポートしている。
主な実績
・中堅自 動搬送機製造業:人事制度再構築コンサルティング
・大手食材卸売業:幹部研修
・中堅 受託ソフト ウェア業:ジュニアボード
・中堅建設業:アカデミー構築支援コンサルティング
- 経営戦略・経営管理
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- 人材採用
- 人事考課・目標管理
- キャリア開発
創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績
企業を救い、元気にする。皆様に提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。
強い組織を実現する最適な人づくりを。
企業において最も大切な人的資源。どのように育て、どのように活性化させていくべきなのか。
企業の特色や風土、文化に合わせ、組織における人材育成、人材活躍に関わる課題をトータルで解決します。
タナベコンサルティング HRコンサルティング事業部(タナベコンサルティング コンサルティングジギョウブ) コンサルタント
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