“人への投資”が生み出す、持続可能でしなやかな組織
		技術系企業で長く人材育成をサポートしてきた中で、
最近強く感じることがあります。
それは、「女性活躍」という言葉が、
一時のブームで終わりかけているという現実です。
「当社は仕事上の男女差はないので、もう対応不要」
「制度整備は完了したので十分です」
と言われるたびに、私は心の中で問いかけたくなります。
“その後、現場の女性リーダーは増えましたか?”
“イノベーティブで強い組織になりましたでしょうか?”
女性活躍の目的は「数を増やすこと」ではなく、
組織をしなやかに、強く、進化させることです。
女性の昇進意欲が高まっても、
次のステップに進めない・・・
そんな“見えない壁”が、今なお現場にあるからこそ、
絶えず私のもとに相談が寄せられるのだと思います。
この壁を超えられるかどうかが、
これからの技術系企業の競争力を左右することは
間違いありません。
■【事例】女性リーダーが生んだ生産性3倍の成果
昨年度ご一緒したある製造系企業では、
女性リーダー育成研修を通じて、
生産性が約3倍に向上するという成果がありました。
受講者たちは、課題解決の考え方を学びながら、
多様な視点を持つメンバーと対話を重ね、
新しい発想で現場改善に挑戦しました。
その結果、チーム間の連携が飛躍的に高まり、
業務効率と品質の両面で大きな進化が見られたのです。
人事責任者のAさんはこう話してくださいました。
「女性リーダー育成は、
柔軟で強い組織をつくり、
長期的な会社の成長につながる投資です」
その言葉のとおり、
女性リーダーの育成を通じて現場は変わり、
成果を上げる力が着実に根づいていきました。
もし“人への投資”を惜しんでいたら、
この成長の循環は生まれなかったはずです。
育成を続けることこそが、
企業の持続的な競争力を支える――
そのことを改めて実感しています。
    ■データが示す「女性リーダー育成」の経営効果
厚生労働省「令和5年度 雇用均等基本調査」によると、
課長相当職以上に占める女性の割合は12.7%。
製造業に限ると、その比率は一桁台にとどまります。
国内の複数の調査から、
「女性リーダー比率の高さ」と
「企業の財務成果」には明確な関連があることが
示されています。
大和総研の報告(2024年10月)では、
女性役員比率が高い上場企業ほど、
ROE(自己資本利益率)やPBR(株価純資産倍率)が
高い傾向が確認されています。
(出典:大和総研「女性役員比率の現状と今後の課題」2024年10月)
また、内閣府男女共同参画局の分析でも、
女性役員比率が上位25%にある企業群は、
女性役員がいない企業に比べて
平均ROEで約1.5倍、EBITマージンで約1.6倍
高い結果となっています。
(出典:内閣府男女共同参画局「令和3年度 女性の役員への登用に関する課題と取組事例」)
こうしたデータは、
女性リーダー登用が社会的要請にとどまらず、
組織の生産性・革新性・収益性を
高める経営要素であることを裏づけています。
つまり、女性リーダー育成は
社会的な取り組みではなく、
“企業競争力を高める経営戦略”そのものなのです。
■現場から始める「語りと共感」の文化づくり
最初の一歩としておすすめしたいのは、
「現場の成功体験を共有する場」をつくることです。
例えば、当社の女性管理職育成プログラムでは、
成果発表会を通じて互いの挑戦を称え合い、
次への意欲を高める時間を大切にしています。
「やってみたら、意外とできた」
「仲間の支えが力になった」
そんな声が次の挑戦者を生み、
リーダーを育てる文化が芽生えていきます。
リーダーを育てる土壌とは、
制度や仕組みではなく、
「語り」と「共感」から始まるのだと感じます。
語り合い、共感しながら挑戦できる環境があれば、
おのずと組織全体の空気は変わっていきます。
ぜひ、語り合う場づくりから一歩を踏み出し、
しなやかで強い組織づくりを進めていただきたいと思います。
このコラムを書いたプロフェッショナル
			
			
				
			
				
					
						
							細木聡子						
						
						
							株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士						
					
					元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
				
			
			
			
						
							細木聡子						
						
						
							株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士						
					
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
| 得意分野 | 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、キャリア開発、リーダーシップ、マネジメント | 
|---|---|
| 対応エリア | 全国 | 
| 所在地 | 千代田区 | 
このプロフェッショナルの関連情報
					育成・研修 しなやかリーダー塾
経営視点と行動力を育む、実践型 女性管理職育成プログラム
					他、雇用管理・給与計算 自律型キャリア開発セミナー
●6時間で意識変革×行動設計×経験共有 ●NTT出身の元技術系女性部長の実体験に基づく、行動を促すキャリア研修
					組織開発 ダイバーシティ経営セミナー
技術系企業の管理職層に向けた、DE&I推進の土台を築く90分間の実践セミナー
- 参考になった0
 - 共感できる0
 - 実践したい0
 - 考えさせられる0
 - 理解しやすい0
 
無料会員登録
記事のオススメには『日本の人事部』への会員登録が必要です。