「経営視点」を理解して「女性の特性」を“強み”に活かす

私が研修・講演等を通して感じているのは、「女性活躍推進はこれからが本番」ということです。
その大きな理由の1つは、女性社員の経営視点の醸成にまだ課題があるということ。
もちろん経営視点を持ちながら自らの力を発揮して成果を出している女性社員の方もいらっしゃいますが、現場で働く女性たちから直接ヒアリングした悩みや、女性活躍推進2.0実態調査の結果を見ると、多くの女性たちが職場で思うように力を発揮しきれていないのが浮き彫りになっているのです。
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■管理職・役員になれる女性人材が見当たらない
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経営層において「正直、女性に活躍してもらう必要はないと思う」
という本音が見え隠れしている企業を見ると、
経営判断の場には男性しかいない、もしくは
女性がいたとしても全体の数パーセントであることがほとんどです。
企業の存続・成長を望むのであれば、日本の現状からも
女性視点を経営に取り入れることは経営課題であり、
「30% Club」が立ち上がった背景にあるとおり、企業の役員に占める女性比率を
30%以上に引き上げることが重要です。
とはいえ、女性であれば誰でもいいわけでは無論ありません。
私個人としては「役職が人を育てる」という考え方に
賛同する一方で、まず役職に値する経営視点を持った資質のある
人材であることは男女限らず必須条件であると思います。
ただ残念ながら、女性管理職30%未満の企業においては
そういったバランス感覚を持った女性社員は、まだ限定的
となっている現状があり、該当人材がいない、もしくは、
該当人材が育ち、機が熟す時を待ちわびている、
といった状況ではないかと感じています。
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■経営者が納得する提案力が身についていない
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多くの企業では、管理職・経営層といった上司に
仕事ぶりや成果を認めてもらうことでステップアップに
つながることと思います。
「なぜか仕事の成果を認めてもらえない」
と相談に来る女性社員の悩みを聞いていると、
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・経営者が納得する提案力が身についていない
・目の前のことにとらわれすぎて視野が狭くなってしまっている
⇒経営視点の欠落
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このような状況に陥っていることに気づいていないことが
ほとんどです。本人がやっていることは間違っておらず、
正論なのですが、上司には伝わらず、結局
「認めてもらえないなら、もう諦めよう」
「納得できないから、思っていることをぶつけてみよう」
となり、結果として、ますます認められづらい状況へと
突き進んでしまいがちです。
これは、とても勿体無いことだと私は思っています。
せっかく正しい意見を持っていたとしても
正しく受け取られず、届かないということが起こってしまうのは、
会社にとっても大きな損失に繋がりかねないことだからです。

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■男性は女性社員を「甘やかしている」?
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女性活躍推進の一つは、女性の意見を届けることだと言わんばかりに、
「強引に意見を通す」
と勘違いしているような女性たちが存在するという声も
ちらほら聞こえてくるのは皆さんもご存知ではないでしょうか。
男性上司がこのような女性社員から意見された時に
よくある脳内判断としては、
・とりあえず聞いておかないとさらに激化する可能性がある
・周囲へあることないこと吹聴されるかもしれない
・正直、どう対応すればいいか分からない
このような反応が起こり、一旦受け止めておく傾向にあります。
男性上司にとってその女性部下は「感情的で面倒な部下」という
印象がつくようになり、本来、部下教育したり、注意する機会で
あったとしても、思うように対応しない・できない、といった
状況を作ってしまい、結果として「女性社員を甘やかしている」
という構造につながってしまっているのかもしれません。
このように、女性は組織で働くために必要な考え方、振る舞い方を
教えてもらえる機会が男性よりも無いものなのです。
私がコンサルティングで関わっている企業の経営者(男性)の方も、
「女性社員のことは(分からないので)お任せします。
男性社員には、遠慮なくガツンと指導してください!」
と良く言われていますし、私自身もNTT時代上司が何でも遠慮なく
私に対して意見し指導してもらえるよう、自ら働きかけることを
意識していたものです。
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■女性活躍推進は、まず女性から
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私自身も女性である以上、周囲からどのように見られているのか、
自分の発言はどのように受け止められやすいのかを
徹底的に分析して、会社の利益に貢献し、出した結果を
上司が受け取りやすいように伝える工夫は惜しみませんでした。
そういった工夫を経て、管理職となって、
部下育成をしながらチーム成果を出し、
部長職という役割をいただくまで信頼を得られ、
中小企業の人事役員としてヘッドハンティングされる機会に
恵まれたのだと考えています。
そういった大きな意味での「経営視点」を醸成しづらい
環境にある企業において、真の女性活躍推進
(=男性視点と女性視点を融合して、これまで以上の成果を出す)
を達成するためには、私はやはり女性から始めることが
必要であると感じているのです。
●「経営視点」を理解して、「女性の特性」を“強み”に活かす
この具体的なやり方を伝え続けることが、企業成長につながることを確信して、
今後も活動を続けていきたいと思います。
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■自戒を込めて・・・
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先日、弊社の税理士(男性)と話をした時のこと。
「細木さん、なんだか焦って見えますが、
将来的にどのように経営したいと思っていますか?」
と言われて、ハッとしました。
私もうっかりすると視野が狭くなっていることに
気づかず、大局を見て判断できなくなってしまうのです。
税理士の先生に気づきを促してもらって感謝するとともに、
「感情に振り回されることが少なくて、安定感があることは大事だな」
と改めて男性のバランス感覚に感心しました。
そんな私は、今日のコラムは自分への自戒の意味も込めて書かせていただきました・・。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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