女性という性別を、強みの1つとして捉えていく

法人研修で出会った女性受講生のAさんが、研修終了後に私の元へ話をしに来てくれました。
私がお伝えしたい、受け取ってもらいたいと思っていたことを、しっかりとAさんが
受け取ってくださったことが、彼女の一言一言からしっかりと伝わってきました。
■男性と同等になるため全てを犠牲にしてきた
Aさんは、私と同じ世代だと思われます。
周囲の男性と同じように働くために、
プライベートを諦めたと書いてありました。
Aさんが参加した研修は、女性社員のみの集合研修です。
女性活躍推進をテーマにした1日研修で
対象職位の全女性社員が受講するものだったので、
Aさんにとっては今更感が満載だったはず。
「女性活躍推進と言われるずっとずっと前から、男性と同じように働いてきたのに!」
そんな思考で、強制的に受けさせられた研修に
当初は嫌々参加していたかもしれません。
しかし、研修が進むにつれ、少しずつ
私がお伝えする内容を受け取ってくださり、研修終了後に
「私も後進の若い女性社員のためにできることがあるかもしれないと思いました」
とおっしゃる姿を見て、私は、何としなやかで、バランスのとれた、
女性リーダーにふさわしい方だろうと感激した次第です。
■自分が女性であることを良い形で受け入れる
この出来事を通して、女性活躍推進の成功の秘訣は、
働く女性たち自身が「女性」という1つの個性を
良い形で受け入れるということが出来るか否か、
そこにかかっているのではないかと思い始めました。
私は自身の実体験から「女性活躍推進2.0」を
一貫して提唱し続けていますが、その真髄は
「女性だけが活躍してほしい」ということではありません。
そんな私も、女性だからと言われて嫌な気分になっていた
時期もありました。
男性と同じように残業したり時に徹夜をすることで
「私も同等に頑張って働いているのだから、男女に区別をつけないで!平等に見て!」
と息巻いていた頃が懐かしく思えます・・。
つまり、当時の私は、仕事をする上で
女性であることはマイナスである
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と思っていたのです。
マイナス部分をなんとかして埋めようと、
男性と同じようにガツガツ頑張っても
周囲から疎まれたり、ナメられないようにと
気を張り意識するほど、周囲との調和が崩れ、
マネジメントも儘ならず、
精神的にも追い詰められていきました。
しかし、女性という特性を良い意味で捉え直して
受け入れたことをきっかけに、肩の力がスッと抜けて、
女性特有の柔らかな印象、若く見られる傾向などが
強みとして活かせるようになったのです。
これは決して「女を使え」という意味ではありません。
私は男性的な部分が多いから、女性と言われてもね、
という方であっても、やっぱり女性という括りで
周囲から見られていることを認識し、女性であることを
活かした行動を選択することで、色々な突破口が
開ける可能性が出てくるのではないかと考えています。
しなやかでバランスのとれた女性だと周囲が認めれば
仕事は圧倒的に楽しく、無理なく自分の持つ様々な
特性を発揮して、成果に結びつきやすくなると思うのです。

■女性だけの集合研修を実施する理由
女性活躍推進2.0は、女性だけ活躍することではない、
とお伝えしましたが、女性活躍推進2.0実態調査や
企業研修・コンサルティングで現場の状況を見れば
「女性」という性別を、男性も女性も「弱み」だと
思っていることは明白です。
特に、男性社員比率が高い企業においては、
---------------------------
女性:弱者(下)
男性:強者(上)
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こういった構図が当たり前のようにあって、例えば、
「男性は営業」「女性は事務」といった役割分担に対しても
誰も異を唱えないといったアンコンシャスバイアスが存在します。
アンコンシャスバイアスと言えば、男性は女性に対して
強く叱って指導することがなかなかできないという側面も
あるかと思います。
男性上司・男性部下の関係であれば
あまり意識せずにビシッと指導できるけれど、
これが男性上司・女性部下となると、言いたいことの1割も
言えない・・・これは実際に私がコンサルティングで
関わっている男性経営者がおっしゃっていた言葉です。
仕事において女性は男性よりも怒られづらいということは、
女性にとっては非常に大きなマイナスです。指摘されず、
損をしていることに気づかない女性を見た男性は、
ますます女性を下に下にと見てしまうかもしれないのです。
会社のヒエラルキー構造も女性はピンとこない、
という方も実は多く、自分の上司を飛び越えて、
上役に直接意見する、直談判するような女性が
まだまだ存在するのは、そういった理由もあるでしょう。
では、この状態のまま、男女一緒に女性活躍推進や
ダイバーシティ推進の取り組みをしたらどうなるでしょうか・・?
最低でも、女性が周囲からどのように見られているのか、
女性たちが気づきづらい仕事に対する視点や意識、
会社のヒエラルキーへの理解や、周囲と調和した意見の伝え方など、
「ダイバーシティ」の視点に女性たちが追いついた状態から
スタートしなければ、男女一緒の研修をしたところで、
男女の意識の乖離がより目立ってしまうといった結果を
招きかねないと思います。
■女性という性別を、強みの1つとして捉えていく
私が伝えている女性リーダーのベースとなる知識やノウハウは
男性であれば、普通にキャッチできる情報や仕事の作法を、
女性であるがゆえにその機会を失っている女性たちに向けた内容にしている理由も、
まだまだ女性ならではの教育が必要だと痛感しているためです。
一人一人が持っている個性や強みを活かし合うように
女性という性別も、強みの1つとして捉えていくことができれば、
女性活躍推進はきっとうまく進んで、会社成長に繋がっていくと
確信しています。
人材育成に関わる方には、こういった観点の
女性活躍推進についての取り組みや発信を
していただけたらと心から願っています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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