会社のビジョンや目標が社員に浸透しない理由

中小企業で実施させていただいた研修を通して、
会社のビジョンを浸透させるためには
経営者の「あり方」「関わり方」が重要だと思いました。
これは、企業の管理職や人事担当者にも
同じことが言えると考えています。
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■会社の行動指針が社員に浸透しない!
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どんなに素晴らしい会社のビジョンや行動指針を作っても
社員ひとりひとりがそれを理解して、自ら行動しようと
しなければ、せっかく打ち立てたビジョン・行動指針も
ただ夢を描いて終わってしまったも同然ではないでしょうか。
先日伺った中小企業(社員30名程度)においても、
社員全員で話し合った内容を元に練り上げた
会社のビジョンを、いよいよ社長が全社員の前で
発表したものの、社員の反応はゼロ。
「どうすれば、会社のビジョン・行動指針が
社員に浸透するのでしょうか?」
と経営者の方から相談を受けました。
私はその企業の社員お一人お一人と
個別面談をしていたので、根本的な原因が
どこにあるか、ほぼ見当がついていました。
それは、
「経営者と社員の間に信頼関係が構築しきれていない」
ということです。
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■信頼関係を構築する第一歩
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私が関わらせていただいている企業様で、
社員の行動指針や会社ビジョン、会社の目標など
全てにおいて社員の認識が揃っていて、
今目覚ましい成果を出している中小企業があります。
規模は奇しくも社員30名規模の企業様なのですが、
上手くいっている企業と、そうでない企業の差の1つが、
●経営トップのメッセージが社員に浸透しているか
ということだと分析しています。
組織の規模が小さいほど、
社員にとって経営者の影響力は計り知れません。
その経営者が何を考えているか分かりづらく、
更にメッセージの発信力が乏しいとなると、社員から
「社長は現場を知らない」
「社長は私たちの話に耳を傾けようとしない」
といった誤解が生まれやすい状況に陥りやすくなります。
経営者の考え方、あり方は、日々の行動から
社員に伝わるものであり、社員はこちらが思う以上に
細かくその行動を観察しているものです。
だからこそ、中小企業の経営者は
現場へ足を運び、社員一人ひとりと何気ない会話でも
言葉を交わし、会社を盛り立てるための行動を
社員と一緒に実践するという姿勢や関わり方が
重要になると考えています。
実際、上手くいっている中小企業の経営者の方は、
日々、現場社員との声かけを欠かさず、
時に自ら営業現場に立ち会って、社員と共に
成果を出すことを実践しています。
こういった日々の積み重ねが、経営者と社員との間に
「信頼関係」を構築していくと私は確信しています。

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■中小企業の経営者には、管理職の役割が必要
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私は、大企業に26年間所属し、部長という立場で
チームをまとめ、また500名の人材育成担当としては
女性社員・若手社員の育成に関わってきました。
その後、ベンチャー企業では経営幹部として
経営と人事施策に携わり、現在は会社を立ち上げて
経営者として尽力しています。
様々な立場で、様々な人たちと関わらせて
いただきましたが、
「管理職だろうが、経営者だろうが、
人と関わる時の基本は全て同じだ」
と考えています。
大企業の人材育成担当の時は、約200名の
女性社員・若手社員全員と面談を実施して、
それぞれの個性を理解し、強みをさらに引き出して
会社成長につなげる人材となるにはどうすればいいかと
真摯に向き合う毎日でした。
私がその部署から異動する際に、面談した方々から
「細木さんは、私たちひとりひとりを
しっかり見てくれようとしてくれましたよね」
と声をかけてくれたことを思い出すと、
自分のあり方を行動で示しながら関わり続けることで
築き上げられる信頼関係が、会社や部下の成長には
欠かせない、と改めて思うのです。
もちろん、経営的な部分について考えることは、
管理職の立場と経営者では違いがあるかもしれません。
とはいえ、私の経験則上では、大企業の
人事担当者・管理職であっても、中小企業の社長であっても、
大部分での「関わり方」「あり方」の重要性は変わらないと
考えています。
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■時間をかけて、社員との信頼関係を醸成する
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今回ご紹介した「うまくいっている中小企業」においても、
社長の思いは社員に浸透していつつも、現場の社員が
「どう行動していいかわからない」
という課題感があったのが7ヶ月前でした。
私がこの中小企業へご提案したのが、
「業務改革プロジェクト×女性社員育成」
であり、4ヶ月目あたりから一気に成果のスピード感が
出てきたのも、ベースに社長のビジョンが全員に浸透して
いたからだなあと改めて感じているところです。
これから社員を巻き込む会社様も、
少し時間はかかりますが、きっとうまくいくと信じて、
私もしっかりとサポートを続けたいと思います。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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