女性活躍推進〜経営層のコミットメントを引き出すために
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■経営層のコミットメントの有無
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私は定期的に開催しているセミナーや、
研修導入される企業様に必ずお伝えしているのが
【女性活躍推進の3本柱】
です。これは簡単にお伝えすると、
・経営層のコミットメント
・女性リーダーの育成
・人事制度
以上の3点を並行に同時進行させることの重要性
についてご説明しているのですが、女性活躍推進が
うまくいっていない企業様にありがちなのが
まず手始めに「人事制度の改革」からアプローチ
している企業様が多く、得てしてその導入した人事制度は
形骸化しがちです。その状態で、
「女性活躍推進がうまくいかない」
「人事制度の改革が進まない」
とご相談に来られる企業の人事担当者様が
ほぼ9割以上といった状況です。
理想は、女性活躍推進の3本柱を同時進行することではありますが、
比較的スムーズに改革が進むのは
・経営層のコミットメント
この有無にかかっている、と
これまで関わらせていただいた企業様を通して
私が実感しているところです。
しかしながら、日本の多くの企業は
経営層のコミットメントに至っていないのが現状であると
感じています。
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■結局数合わせで終わっていないか
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経営層のコミットメントが思うように進まないのは、
経営層が女性活躍推進の意義を見出せていないため
だと私は考えています。
私の考える意義というのは、女性活躍推進2.0として
お伝えしている真の目的、
「女性視点を会社経営に活かし、今まで以上の成果と利益を生み出す」
というレベル感での理解となるのですが、
現状として
・女性管理職の数を増やそう
・女性の社外取締役を採用しよう
といった“数合わせ”の印象が拭えない経営層の
判断現状を、現場で悩みながら働いている
女性リーダーの皆さんの話から伺う度に
「こと日本の企業において、経営層のコミットメントが一番遅れている」
と思わざるを得ない状況です。
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■なかなか変わらない日本の企業体質
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DeNA創業者の南場智子さんの講演にて、
「最近、企業から社外取締役になって欲しいという依頼が多い」
というお話を伺ったのはかれこれ5年前。
今、女性活躍推進プロジェクトで様々な規模・業種業態の
企業様のサポートをさせていただく中で、今なおその状態が
変わらずにいることが感じられます。
女性活躍推進法によって、社内の女性管理職は
一応揃ったが、取締役となると社内の女性社員は厳しいので
社外から呼びましょう、ということが今だに多いのが現状です。
果たして、この数合わせの女性活躍推進に
どういう意味があるのでしょうか。
社内は下駄を履かせた女性管理職のみなさんが
悩み苦しみ、その周囲の社員の皆さんも苦労が絶えず、
そんな社内の現状を知らない社外取締役がいるという状況に
気づかないまま上層部にいる経営層や幹部・・・
なんとも嘆かわしい状況であり、そんな日本企業が
まだまだ多くある日本の状況に危機感を覚えるのです。
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■経営層が認める実績を出す
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弊社セミナーにお越しになる女性管理職の方々は、
とてもパワフルで、こういった危機的状況を打破しようと
試行錯誤している皆さんで、私にとっても心強い存在です。
しかし、経営層が女性活躍推進にコミットメントしていない以上、
いくら「わかってください」「必要なんです」と訴えても
理解してもらえないでしょう。
そこで大切なことは、経営層が認める成功事例を出す、ということです。
女性活躍推進の取り組みが会社の業績につながっていること、
女性たちのアイディアによって立ち上がったプロジェクトにより
利益向上につながった、そういった結果を出すことが必要だと思います。
結果を出せば、会社は必ず理解してくれます。
成果につながれば、女性活躍推進のプロジェクトを認め
社内における発言権も増すことは間違いありません。
大変な思いをするかもしれませんが、
まだ日本の社会において女性活躍推進の真の意義を
達成するための活動は、まず会社に対して目に見える成果を
見せることが必要な企業が大部分なのです。
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■ダイバーシティの考え方を浸透させる
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女性活躍推進の活動が利益アップにつながると数値で
理解できれば、会社側の理解は早いものです。
逆に言えば、数値でしか見ていないのが現状なので、
現場にいる女性社員の皆さんが、自分ごととして
会社を良い方向へ向かわせるために活動していくことが
必要不可欠だと私は考えています。
男性社員の中にも、女性活躍推進2.0に近い形で
理解している方も存在します。これまで弊社セミナーで
出会った男性人事担当者の皆さんは100%そうでした。
そういった真の意義を理解する周囲の方々と力を合わせて
ボトムアップしていくこと、そこから結果を出していくことが
女性活躍推進、ひいてはダイバーシティ経営を浸透させる
打開策となると確信しています。
まとめると、冒頭でお伝えした「人事制度の改革から始める」
という選択が思うように進まないのは、人事制度を変えることで
会社の事業成長にどんな成果をもたらす施策なのかが
経営層がピンと来ていないから、ということになります。
経営層が理解しやすいよう、まずは業務改善や残業時間の
削減といったもので成果を見せて、そこから本当に導入したい
人事制度の改革へつなげるという活動によって、
会社で働く社員が本当に必要な施策が打てて、それによって
真の意味の会社成長がもたらされるのではないかと思います。
ぜひ、人事担当者の方には、現場の女性社員が始めやすい
小さな一歩を踏み出すサポートを考えていただければと
考えております。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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