やりたくない仕事は“絶対”しない部下を育成するには

弊社の運営する女性管理職育成する塾の卒業生が、
仕事で悩んだり困った時に、いつでも安心して相談できる場所を
ずっと作りたいと思っていました。
どんな形がいいのか、この半年間試行錯誤しながら、
トライアルでコミュニティ運営をしてきましたが、
いよいよ「これで行こう!」と腹が決まりました。
昨夜、卒業生のみなさんへ改めてコミュニティの
目的や主旨、私の思いを伝えたところです。
元々9月から本格スタートを予定していたので
ギリギリまで時間がかかりましたが、
卒業生の声を取り入れなら熟考し、たどり着いた結論
なので、今は充実感でいっぱいです!
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■今以上の仕事はしないと宣言する部下
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前述のコミュニティにおいて開催している
オンライン公開相談会で、こんな相談がありました。
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仕事以外の時間は、仕事に絡むようなことは
一切したくない、という部下がいます。
もちろん、それはそれで正しいのですが、
結局「今の仕事以上のことはできません」という
ことになるので、業務分担できず、結果として
仕事ができる人にしわ寄せがいってしまうんです。
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これは、よくあることで、
私も管理職として仕事をする中で
同じような思いを抱えて悩んだことがありました。
(仕事以外の時間は、自分の趣味に没頭して、
スキルアップのための勉強や自己啓発系のことは
一切無関心という部下・・。)
よくあることではありますが、私の経験上でお伝えすると
【本人が仕事をやる意義を理解しているかどうか】
この一言に尽きると考えています。
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■意義を見出すきっかけを作るのはリーダーの役目
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最終的にはその人次第ではありますが、
仕事時間に限らず、仕事に対して意義を感じていれば
全てクリアされるものだと思っています。
「意義は自分で見出すものじゃないか?」
と思われるかたもいらっしゃるでしょう。
もちろんその通りで、最終的にはその人次第ではありますが、
意義を見出すきっかけづくりは、リーダーや管理職の仕事であると
私は考え、部下育成に取り組んできました。
それは適材適所の考え方と同じです。
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部下の強みを分析し、
部下のやりたいことをに耳を傾け、
マッチングする仕事を探す
(なければ、仕事そのものを作り出す)
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部下が希望する仕事を実現するために骨を折り、
仕事へのモチベーションや意義が醸成されやすい
環境を整えた上で、成果が出るまで見守ります。
その間、部下が“やりたくない仕事”も
様子を見ながら少しずつ任せることから生まれる
「チーム貢献の意義」の醸成を期待します。
このように、チーム内の適切な業務分担を実現しながら
部下本人が更に仕事への意義を感じる場面を増やす
調整を繰り返すのです。

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■現実と理想のギャップを丁寧に説明
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「やりたくない仕事に取り組まず、
そのまま放置する部下がいます」
という相談もありますが、ではそんな時に私は
どのように対応したかというと、
まず何よりも大切にしたのは「相手の気持ち」でした。
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「あなた(部下)が言ってること、
取り組んでいること、考えていること、
仕事への嫌な思い、理不尽さ・・・
それらを全て理解していますよ」
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という姿勢を見せた上で、私も力になるから、
一緒に取り組みませんか?と伝えたのです。
その上で、ルーティンワークはつまらない、
新しいチャレンジがしたいといった部下であれば、
「チームとして成果を上げていれば、もっとチャレンジできる
機会を会社も与えてくれると思います。
成果を上げていなければ、チャレンジしている場合じゃないと
言われますよね・・」
「チームが存続するためには、今はやりたくない仕事に
取り組んで、次のステップで新しいことをやるための
足がかかりにしませんか?」
と現状と理想のギャップを明示し、打開策を一緒に
探っていくというプロセスを通して、部下の自立性を
発揮させるための関わりを様々な方向からアプローチしました。
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■返報性の法則
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自分の話をしっかり聞いてくれて、
できる限り力になってくれた相手に対しては
大抵の場合は「何かお返しをしなければ」
という気持ちが生まれやすくなります。
いわゆる「返報性の法則」を活かした形で、
まずは相手に与えることによって、
自分が困っている時には部下自ら
「部長、大丈夫ですか、手伝いましょうか」
と声をかけてくれるようになりました。
ありがたく仕事を手伝ってもらい、
徐々にその仕事を部下に任せていました。
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■“ちゃんと見てますよ”のサインを欠かさずに!
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ここまで、お伝えした
「仕事への意義づけ+返報性の法則」
といった関わりから、部下の生産性やチームへの貢献度が向上し、
もう大丈夫・・・と安心して任せきりにしないようにと、
私は管理職研修等で繰り返しお伝えしています。
「ちゃんと分かっていますよ」
「いつも見ていますよ」
「いつでもフォローしますね」
という姿勢を見せることをおろそかにしてしまうと、
あっという間に部下のモチベーションは下がってしまうものです。
想像以上に、管理職やリーダーの影響力は偉大かもしれない、
ということを念頭に置いて、部下を日々労い、
部下の仕事ぶりを認め、フィードバックし続けることで、
さらに部下の仕事への意義を高めることにつながると考えています。
人事コンサルティングをやっていると、
「細木さんから承認してもらえて、社員達が嬉しそうで何より」
などと経営者の方がおっしゃるのですが、私はすかさず、
「もちろん外部の人間である私が伝えるメリットもありますが、
社員からすれば、社内の上司などから伝えるメリットや
影響力は相当です。外の力に任せきりにせず、内外両面から
社員のみなさんをフォローし続けましょう」
とお伝えしています。
ちょっとした声掛けだけでも構いません。
上司からの「ちゃんと見てるよ」というサインが、
部下のパフォーマンスを上げるために大切なことなのです。
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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