仕事を抱えがちな女性管理職の対応方法

中小企業の経営者が、優秀な女性社員を管理職に抜擢したものの、
こんな悩みを抱えているという話をよく耳にします・・・
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うちの女性管理職、優秀ゆえに仕事を抱え込みがちで、いつもイライラしているんだよ。。。
周りに当たり散らしては、チームメンバーを疲弊させていて、一体どうしたものか。
彼女の下についている社員たちからの苦情が相次いだのもあって、この間、ついに言ったんだよ。
「もっと周りの人に仕事を任せたら?」って。
そしたら彼女は「私はこんなに一生懸命やってるのに、何で分かってくれないんですか!!!」
と逆ギレされしまって、どうしたら良いか分からないんだ。
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「あるある!」と思わず言ってしまった読者の方も多いのではないでしょうか。
このようなことは、巷でよくある話かもしれませんが、特に中小企業では陥りがちな状況なのです。
■原因は、ひとりひとりの裁量範囲が大きいから
中小企業は、社員一人ひとりの裁量範囲が大きくなる傾向にあります。
また、それに比例して、仕事量も多くなりがちです。
それに追い討ちをかけるのが、女性の特性である「責任感の強さ」です。
私が26年間NTTで働き、管理職、人材育成担当として述べ
1,000人以上の育成に関わった経験から、女性は傾向として、
責任感が強い人が多いように思います。
責任感の強さは、良い方向に発揮されるとリーダーとしてもとても素晴らしいのですが、
悪い方向に向かってしまうと、自分で仕事を抱え込んで、他の人が信頼できず、任せられない、という状況に陥ってしまいます。
■チーム成果を出せない“駆け出し”管理職時代
実際、私自身も管理職になりたての頃は、仕事を抱え込みがちで、
部下に仕事を任せることが出来ない、超プレイングマネージャーでした。
当然、チームとしての成果は上がるわけではなく、
私がいないと、全く仕事が進まない(!)という、
管理職としての仕事ができていない状況だったのです。
当時を振り返ると、リーダーの仕事というものを全く理解していなかったように思います。
そんな私がどうして、リーダーの仕事というものを理解し、
最終的にはチームのパフォーマンスを最大限引き出せる管理職になれたのか?
それは、今でも尊敬するその当時の上司から言われた言葉がきっかけでした。

■上司からの一言で気づいた「リーダーの仕事」
「リーダーの仕事は、チームメンバーのパフォーマンスを引き出し、
チーム成果を最大化することだ。
リーダーだけが仕事をしているチームは正しい姿ではないんだよ。
なぜだかわかるか?
それはチームの人数分の成果が出せないから。
もっとメンバーを信頼して、仕事を任せていかないと、チームとしての成果は出ないよ。
あなたの仕事の仕方は、メンバーの仕事の仕方であり、
リーダーとしての仕事の仕方ではないことに気づいているかな?」
この言葉を聞いて、初めて、リーダーである自分自身に求められていることが明確になり、
それからは、自分の仕事の仕方を変えていくことができました。
■大企業はどうしているのか?
大企業では、通常、管理職に昇格すると、全く経験のない部署に異動することが多いです。
これは何故かというと、自分の経験豊富な部署でそのまま管理職になってしまうと、
自分がチームの中では一番実務が出来る人になってしまうので、
ついつい目先の成果を優先させてしまい、部下に任せるより、自分でやった方が早い、
というような「超プレイングマネージャー」を生み出すリスクを避けるためです。
全く経験のない業務の管理職だったら、実務をやりたくてもやれないので、
自然とマネジメントに注力できる、ということです。
■中小企業の経営者が行うべき対策とは
しかしながら、中小企業では、そうは行きません。
管理職昇格のタイミングでその人に全く経験のない業務だけを任せてしまったら、
そもそも会社の仕事が回らなくなってしまいますし、
そもそも経験のない業務などない可能性もあります。
私は大企業で管理職になりましたが、たまたま当時は組織編成等で、
経験のある業務を行っている部署の管理職になりました。
まさに、自分で実務ができてしまう状態・・・そうです、中小企業の管理職と全く同じ状況だったのです。
もし、
- 部下に仕事を任せられない
- 自分で仕事を抱えていることに気づかない
- タスクが溢れると周囲に当たる
- 自分の頑張りを誰も理解してくれないことを嘆く
このような傾向にある女性管理職に悩む中小企業の経営者は、是非、
かつての私の尊敬する上司のような声かけをして、管理職に求められていること、
そこから考える管理職の仕事とは、について理解を促すことを試して欲しいと思います。
きっと、「リーダーの仕事への誤解」が全てに起因していたことに気づくきっかけとなるに違いありません。
- 経営戦略・経営管理
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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