仕事に活かすのは「女性の特性」、仕事のスタンスは「男性視線」

先日、私は士業(コーチ・講師・コンサルタントなど)の先生方へノウハウを教える講師としての活動を新たにスタートさせたのですが、そこで、かなり自分を追い込んでしまい、少々バランスを崩してしまいました。
バランスが崩れたと気づいたきっかけが、まるっきり同じ立場・環境に立たされているとある男性からのこんな話からでした・・・。
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■仕事を完璧にやろうとする女性たち
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一足先に同じ講座の講師活動をスタートした男性から、
「プレゼン内容、ところどころ抜かしたよ」
「時間がなくて、最後は駆け足の説明になってね。『今日は仕方ない、また次回がんばろう』って 開き直ったよ」
と話をしてくれたのです。私はハッとしました。
というのも、女性の特性の1つに、「真面目にやる」「完璧にやる」「一生懸命やる」と、
とことん突き詰めてパーフェクトを目指そうとしがちな側面があります。
もし、これが組織の仕事という場面であれば、私は力の抜きどころを理解しているので、
自分を追い込むほど完璧を目指すことはしません。
例えば、部下の持ってきた資料の出来栄えが6割だとしてもOKを出すことができます。
しかし、今回は新たな挑戦という側面もあって、女性としての特性が良くない方
(自分で自分の首を絞めるような形)に出てしまったのです。
私の例からもわかるように、女性は普段から仕事において
「ちょっと力を抜く」、言葉を選ばずに言ってしまうと「うまくサボる」ということは
しづらい特性があります。
ですので、力まず仕事をしようと、あえてバランスが取れるようになるためには、
普段からそのバランスを意識して取り組まないと身につきづらいと考えています。
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■ビジネスで女性の特性を活かすのはOK、モロ出しはNG!
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もし、一生懸命やるという女性の特性を
「サービスを提供をする」「信頼感を得る」
などと良いところだけ活用するなら大いに生かしてほしいと思います。
しかしながら、仕事全般に生かそうとすると、自分を自分で追い詰めるだけでなく、
人に当たって周囲に悪影響を及ぼす可能性も出てきてしまいます。
「なんで私がここまでやらなくちゃいけないの?」
「私ができるのに、あなたは同じことできないってどういうこと?」
「結局、あなたはサボりたいだけなんだわ!」
「私のこと分かってくれない」
「誰も私のことなんてフォローしてくれないのよ!」
懸命に取り組むあまり、このように感じてしまいがちなのが女性なのです。
残念ですが、女性はビジネスマインドを男性のように理解しづらいものなのです。
なぜなら、女性は「共感」の生き物なので
「私の気持ちを、完璧に、あなたにも伝えたい・理解してほしい」
という欲求があるためです。
しかし、ビジネス上では、女性の欲求をそのまま仕事に持ち込むのは避けなければならないし、
自分の思いは一旦横において、という、わきまえた言動を心がけるべきではないかと私は思っています。
もちろん、対価をもらう以上、仕事はきちんと対応しなければなりません。
一方で、仕事というものは、やろうと思ったら際限なくタスクが生まれてきます。
あれもこれもと手をだしていたら大変ですし、それを自分と同じように他人にやれというのは無理な話です。
そういうこ女性は、男性の目線からみた「ビジネス」という意識をしっかりと持ち、
自分自身で気持ちをコントロールし、バランスをとりながら仕事を進めていかねばならないと思うのです。
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■誰かに頼りたい、という気持ちは仕事では隠しておくこと
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男性と女性では、同じ状況・同じ立場であっても物事の捉え方がだいぶ違います。以下に例を挙げてみました。
***
とある事業部には、男性上司(部長)の下に、課長クラスの男性・女性部下が1人ずついます。
残念なことに、上司は部長の器には見合わないようで、普段から言っていることが分からない、
辻褄合わない、という状況です。
●女性課長の心境:
「部長は一体何なの?いい給与もらっているくせに、なにもできない。
上司なのに何のフォローもしてくれないし、もう辞めたい・・」
●男性課長の心境:
「意図は伝わらないけれど、どうやら自分に信頼を寄せてくれているらしい。
結構自由にやらせてくれるし、超ラッキー。」
***
このように、女性は離職の危機に陥っている一方で、男性はイキイキ仕事に励んでいる状態です。
この捉え方が男性と女性の違いであり、女性のキャパシティの狭さとアンバランスさが
仕事に対する限界値を自分寄りにしてしまっていることを少しでも感じていただけるかと思います。
さらに、この捉え方の違いには根底となる意識の違いがあるのです。それは、
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誰かに頼りたい、守ってほしい
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という気持ちは男性にはあまり見られませんが、女性には「やってくれない」「ちゃんとしてほしい」などといった
他人依存心が垣間見えるのです。
「困っているので、協力していただけませんか?」とビジネスとして依頼することとは別物で、
素で自分をフォローしてくれないと困る、というスタンスが女性の根底には流れている傾向があります。
そんな女性をしなやか女性リーダー養成講座ではどうやって育成しているか?というと、飴と鞭の発想で、
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負担をかける→フォロー→負担をかける→フォロー
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この繰り返しで少しずつ指導していきます。
負担とは、例えば現在の力量よりもちょっとレベルが上の仕事を振ってみるということ。
フォローとは、承認、褒めるといった声かけのことです。
無意識に頼ってしまいがちな女性たちなので、フォローしすぎると依存体質になってしまいますし、
負担が過ぎるとメンタルダウンを招いてしまいますので、ここは受講者の上司の方と一緒に綿密な計画を立てながら、
絶妙なバランスをとって対応しています。
また、女性管理職となるべき人は、自立してもらわないと困るので、自分の足で立つことを、
仕事を通して理解してもらうことを重要視しています。この指導を経て、女性である自分には基本的に
「誰かに頼りたい」という思いはあるものの、職場では我慢しよう、隠すようにしよう、
とわきまえられるようになるのです。
男性上司の方は、女性部下に負担をかけることはやりづらい、できればやりたくないと思うかもしれませんが、
上司は部下を突き放すことも時には必要かもしれません。
でもそのまま放置してしまうとメンタルダウンを導く可能性があるので、絶妙なタイミングで
褒めて認めるようにするのです。能力について認めているよ、期待しているよ、と伝えるようにします。
こういった厳しさと承認のバランスをとりながら、基本は信頼の気持ちを持って育成して行けば
女性部下はどんどんん成長していくでしょう。
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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