女性が抱えるジレンマ「マミートラックの罠」

マミートラックという言葉を知っていますか?

マミートラックとは、子育て中の女性が働く時に、

「残業できない」「転勤できない」
といった制約のために責任ある仕事を任されなかったり、
昇進・昇格が不利になるキャリアコースのことです。

今や、出産・育児のために仕事を辞めた、
という声を聞くことは、かなり少なくなっていますが、
子育て中の女性の実態は、このマミートラックを
走っている人が多いのではないかと思います。

 


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■マミートラックに甘んじていないか?
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このマミートラック、実際に子育て中の女性の意識としては、

 

①自ら進んでマミートラックに入った人
②一時的にマミートラックに入った人
③最初からマミートラックに入るつもりはない人

 

この3つのタイプがあるようです。

この女性たちの意識の違いは、ご自身の家庭環境や
職場環境にも関係しているとは思いますが、
このマミートラックがあること自体が、
今の日本の女性活躍推進の大きな課題だと思うのです。

 

女性の採用数を増やし、育児休職や時間短縮、
在宅勤務等の育児中の女性でも働き続けられる
環境整備をして、女性活躍推進を行っている
企業は多いでしょう。

 

しかしながら、
・長時間残業
・責任ある仕事を任せない

といった職場環境の改革を行わないままでは、
今後もマミートラックを走る女性がどんどん増えて
しまうことになってしまいます。


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■マミートラックの弊害
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一旦マミートラックを走ってしまうと、
そこから抜け出すのがなかなか難しい現状もあります。

例え、育児が一段落して、残業が可能となったとしても
他の男性社員に比べて経験がない分、
能力に差が開いてしまい、やはり責任ある仕事を任されず、
昇格の選抜もされないという状態になってしまうからです。

 

■育児休職3年間は、全く迷惑な施策(3年も休んだら、復活できない)
■時間短縮勤務は夕方の打合せに出席できなくて、仕事についていけない
■在宅勤務だと周囲からまるで休みのように扱われ、疎外感が・・・

 

これは、制度を利用した女性社員の本音です。

このようなジレンマを抱え、それなら無理しなくていいか、
と自ら進んでマミートラックに入ってしまう
女性社員も多いのではないでしょうか。

だからと言って、今、働き方改革だけを進めるというのは、
得策ではないです。

女性社員の意識改革も行わないことには、
いくら環境を整えたとしても、当の本人の
女性社員の気持ちがついていかず、結果にはつながりません。

 

私の友人に家庭環境や職場環境から
マミートラックに入らざるを得なくなった方がいました。

「割り切っているからいいの」

という彼女の顔がどこか寂しげで、私も彼女の高い能力が
活かせないことを、勿体無い!と感じていました。

そんな彼女のようなジレンマを抱える人たちがいなくなる
世の中にしていくために活動しようと思いました。

本コラムをご覧いただいている人事担当の皆様にも、
女性の本音を把握することからまず始め、
女性社員の意識改革を行うことで、真の女性活躍推進、
真の働き方改革を実現していただくことを切に願います。

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • リーダーシップ
  • マネジメント

◆技術の現場に“変革の起点”を。
3年で“生え抜き女性役員”を持続的に生み出す仕組みを創る

元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。

細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

細木聡子
対応エリア 全国
所在地 千代田区

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