三井住友トラストグループのウェルビーイング施策
日本生産性本部は2024年1月24日、第96期「人事部長クラブ」の1月例会を都内で開催(オンライン併用)した。
当日は、三井住友トラスト・ホールディングス人事部長兼三井住友信託銀行人事部長の米沢奈津彦氏が「社員のWell―beingを起点とした人的資本強化の具体的取り組み」をテーマに講演した。
三井住友トラスト・グループでは、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」というパーパスを定め、「社員とお客さまや社会の『幸せ』を創造する好循環」を、グループが目指すウェルビーイングとしている。
米沢氏は、社員のウェルビーイングについては、「1.心身ともに健康で、2.会社のパーパス(存在意義)に共感しながら、3.多様性を認め合う良好な人間関係のもと、4.自分の価値や強みを活かして、働く幸せを実感し追求していける状態」と定義・明確化したうえで、人的資本強化のため、社員のウェルビーイングの4要素(1.健康経営、2.エンゲージメントの強化、3.組織力の強化、4.人材力の強化)を高め、「自律的なキャリア型人材」の育成を図っていると述べた。具体的には、1.では、労働時間の適正化に向けて、管理監督者を含む全社員を対象に、それまで9時間だった勤務間インターバルを2022年に11時間に拡大したほか、メンタルヘルス対策では、臨床心理士がカウンセリングを行うカウンセリングルームを設置し、社員が気軽に相談できる受け皿をつくったことなどを説明した。
2.では、「社長キャラバン」などの経営と社員との対話の機会を増やしたことや、全社員に、金額一律の譲渡制限付株式を配付することなどによって、パーパスの「自分ごと化」(企業成長と個人成長の両立)を図っていることなどに触れた。
3.では、2021年度から、女性社員を対象に、全専務・常務執行役員が1年間、女性社員のキャリア形成を直接支援する「サポーター役員制度」を導入し、3年間で160人の女性社員が参加していることや、デザイナー、弁護士、理学・工学の博士号取得者などのキャリア採用を積極的に行っていることなどを述べた。
4.では、DX人材育成のための正社員の学び直しに3年で30億円を投資していることや、社内大学を設置して、自らのキャリア志向に応じて選択し、学ぶ機会を提供していることなどについて説明した。 米沢氏は、「社員意識調査の22年度のスコアは『活性度(エンゲージメント)』も『満足度』も過去最高だった。人的資本強化の各施策が、満足度だけではなくエンゲージメント向上にも寄与している。人的資本強化の取り組みは最終的には企業価値の向上につながっていく」と強調した。
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日本生産性本部(ニホンセイサンセイホンブ) コンサルティング部
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