奨学金返還の減額制度と返還額の変更方法について詳しく解説
奨学金返還の現状と課題
奨学金は、多くの学生が高等教育を受けるために必要な資金を提供しています。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用する学生は年々増加しており、令和4年度の時点で約113万人、4年制大学に通う学生の約55%が利用しています。しかし、卒業後の返還が負担となり、返還に苦しむケースも少なくありません。特に、経済的理由や予期せぬ事情で収入が減少した場合には、返還が困難になることがあります。
奨学金の返還額を把握する方法
奨学金の返還額を把握することは、返還計画を立てる上で重要です。日本学生支援機構(JASSO)のウェブサイトでは、奨学金の返還シミュレーションが提供されており、自分の返還額や返還期間を確認することができます。まずは、自分の奨学金の総額や利率を確認し、毎月の返還額を計算してみましょう。また、返還が始まる前に返還額を確認することで、予算を立てやすくなります。
減額返還制度とは?
減額返還制度は、経済的理由や傷病、災害などで返還が困難になった場合に利用できる制度です。この制度を利用すると、当初の返還月額を減額し、返還期間を延長することができます。減額の割合は、当初の返還月額の2分の1、3分の1、4分の1、または3分の2から選ぶことができ、適用期間の上限は通算15年(180か月)です。
適用条件
- 災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であること。
- 願出および審査の時点で延滞していないこと。
- 口座振替(リレー口座)加入者であること。
- 月賦返還であること。
奨学金の返還額を減額する手続き
減額返還制度を利用するためには、所定の手続きを行う必要があります。減額返還の申請書を日本学生支援機構(JASSO)のウェブサイトからダウンロードし、必要事項を記入して郵送で提出します。また、令和5年7月からは奨学金を貸与・給付・返還中の方が利用する情報システムであるスカラネット・パーソナルからの電子申請が可能になりました。なお、申請は1年ごとに願い出る必要があるため注意しましょう。
郵送による願出
- 減額返還願をダウンロードし、記入する。
- 経済的理由を証明する書類(住民税非課税証明書、所得証明書など)を準備する。
- 提出書類を確認し、指定された提出先に送付する。
スカラネット・パーソナルによる願出
- スカラネット・パーソナルにログインする
- 「各種手続」タブを選択
- ワンタイムパスワードを取得
- 「各種手続」にログインし、「6.減額返還願」の「次へ」を押す
- 「奨学金減額返還願 誓約」で奨学生番号と氏名を確認して「送信」を押す
- 「奨学金減額返還願 同意確認」で同意事項を確認の上、すべてチェックして「送信」を押す
- 「インターネット提出可否判定」で奨学生番号毎にインターネット提出の可否が表示されるので、「インターネット提出」を選択する。「願出事由」を選択して「次へ」を押す
- 「奨学金減額返還願 内容入力」で減額返還方法・減額返還期間・願出事由を確認して「送信」を押す
- 「受付完了画面」が表示
減額返還が適用された場合、返還期間が延長されますが、返還予定総額は減額されません。また、第二種奨学金の利子の総支払額は変更ありませんので注意が必要です。
奨学金の返還額を変更する方法
奨学金の返還額を変更する方法はいくつかあります。まず、月々の返還額を変更する場合は、減額返還制度を利用することが一般的です。また、経済的に余裕がある場合には、返還額を増額して繰り上げ返還することも可能です。
月々の返還額を変更する手続き
- 減額返還制度の申請手続きを行う。
- 繰上返還の申請手続きを行う。
奨学金の一括返還について
繰上返還では、返還額の全額を繰り上げることで奨学金を一括で返還することが可能です。奨学金の一括返還には、メリットとデメリットがあります。一括返還のメリットとしては、利息の支払いが減少することや、返還期間が短縮されることが挙げられます。また、一括返還を行うことで、精神的な負担が軽減されることもあります。しかし、一括返還を行うためには、一度に多額の資金を用意する必要があるため、経済的な準備が必要です。
一括返還のメリットとデメリット
- 利息の支払いが減少する。
- 返還期間が短縮される。
- 精神的な負担が軽減される。
- 一度に多額の資金が必要となる。
まとめ
奨学金の返還は、多くの卒業生にとって避けて通れない課題です。しかし、減額返還制度や返還額の変更、一括返還などの方法を理解し、活用することで、返還負担を軽減することができます。
また、返還が難しくなった場合に利用できる制度は、市場環境の変化によって見直されるため、必ず最新の情報を確認するようにしましょう。例えば、令和6年4月には減額返還制度が拡充され、月々の減額返還割合が2分の1または3分の1のどちらかであったのが、4分の1または3分の2を選択できるようになりました。さらに、減額返還制度を利用可能な年収上限が325万円以下から400万円以下に引き上げられ、扶養している子供の人数によってさらに引き上げられるなど、経済状況に応じて柔軟に利用しやすくなっています。
奨学金の返還計画を立てる際には、本記事で紹介した手続きや方法を参考に、現在の経済状況や将来の見通しを考慮し、自分に最適な方法を選択してください。
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