目標管理の目的とは
日頃、経営者や人事のご担当者の方とお話しする中で、頂戴するお悩みの中には共通するものがあります。
そのうちの一つに、「目標管理(management by objectives)が上手く機能しない」というものがあります。詳細にお聞きすると、「期初に立てた目標が、事業変化によって、期中には目標としての妥当性が低くなってしまう」等の評価ツールとしての柔軟性を欠くことで、機能不全に陥ってしまう課題や、「目標に注視するあまり、期初に設定した目標に設定されない業務の優先順位が下がり、新しい取り組み、部署を越えて支援するような活動が損なわれてしまう」、「期初に全社の方針や部門目標が明示されないため、個人目標を設定する際に連動性が担保されない」等、各社各様です。
このように運用難度が高く、多くの企業が運用面で苦労されているにも関わらず、目標管理は評価体系の一つとして現在7割以上の企業が採用しています。
果たして、目標管理は現代ビジネスにおけるマネジメント手法として万能なのでしょうか。目標管理とは本来どのような目的に適した手法なのでしょうか。
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目標管理の目的は2つあると考えます。1つめは、"自己管理(=セルフマネジメント)ができる人材の育成"です。目標管理は、「本人の自主性に委ねることで、主体性が発揮され、結果として大きな成果が得られる」という組織観/人間観に基づいて、ピータードラッカーが1950年代に提唱しました。また、『目標管理の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできることである。自己管理は強い動機付けをもたらす。自己管理による目標管理こそマネジメントの哲学たるべきものである』とあるように、自己管理ができる人材であれば、自己を統制する能力、決断力などマネジメントに必要な能力が育成されます。
目的の2つ目は、自己責任において自主的に業務管理ができる人材が育成された暁に、"組織が活性化すること"です。現代においてマネジメント能力は決して経営者のみに必要な能力ではなく、営業、納品、R&D、人事総務など、企業活動の多くの職種において、迅速な意思決定能力が要求されています。変化が激しい経営環境や多様な顧客ニーズに敏速に対応し、PDCAサイクルを稼働し続けることで、組織のパフォーマンスを向上し続けることが可能になります。つまり、目標管理の導入/運用により、自己管理できる人材が育った結果、組織が期待する成果を創出することができるという順序が正しいと考えます。
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冒頭で申し上げた「目標管理(management by objectives)が上手く機能しない」事象は各社各様ですが、多くの場合、根本的な原因は、社内における目標管理に対する理解不足にあります。
目標管理の運用においては、組織の必達目標からブレイクダウンした個人目標の設定と必要となるリソース、及びプロセスを出来る限り明確にし、リソース調達の現実性からプロセスの妥当性の検証までを求められます。目標管理を導入し、組織にとって意味のある目標を設定でき、かつ妥当性の高いプロセスを描くことができ、自走できる人材が育つまでには3~5年はかかると言われています。
企業の中には、目標管理を全ての階層に適用するのではなく、まだまだ自己管理が困難な階層に対しては、目標管理以外の手法を組み合わせている場合もあります。
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改めて、自社にとって目標管理を導入する目的は何でしょうか。もし、目標設定に関する課題が非常に大きい場合、目標管理を前提として運用面を工夫するだけではなく、自社の目的とその目的に合致した新たなマネジメント手法を検討してみることも有効だと考えます。既成概念に囚われることなく、組織の成長にふさわしい仕組みであるかを検証することで、より自社に合ったマネジメント手法が見つかるのではないかと考えます。
組織開発コンサルティング事業部
吉田侑矢
- 経営戦略・経営管理
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株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
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大野順也(オオノジュンヤ) 株式会社アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
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