2024年を振り返る
1 2024年の主要なニュース
2024年の新聞などの特定のリソースから人事関連のニュースを集計した。ニュース数はかなりの数になった。この多くのニュースにさまざまな分析をした。
その中でもっともわかりやすいと思われるのは、ニュース全ての情報をChatGPTで要約したものだ。
この要約によると2024年の主要なニュースは4つの項目に集約された。
まず“賃金雇用環境の改善と働き方改革”、“リスキリングと人材育成の重要性”、“多様性の推進とジェンダー平等”、“外国人材の活用と人手不足への対応”である。
賃金雇用、働き方に関してという潮流の中で特に賃金の上昇は近年になく大きかったといえる。
次にリスキリングと人材育成の重要性であるが、特に情報システム分野でのリスキリングが目立った。
多様性、ジェンダーに関しては、女性活躍推進が注目を浴びた。しかし女性活躍推進も充分な実績は上がっておらず、ジェンダー指数に関しては国際的に非常に低い順位だ。最後の外国人材の活用、人手不足については極めて深刻なニュースであった。
コロナ以降の業績の復活とともに労働者の奪い合いが発生した。また日本だけでなく外国からの人材を獲得することも積極的に行われた。こうしてみると実際に大きな動きがあったのは、賃金と人手不足だろう。
他のニュースは重要性を論じ、取り組みが始まったというものが多く、十分に実績が上がったとは言えない。
2 改革のスピード
日本企業の人事は大きな変革期に来ている。日本全体の傾向として生産性を高め、付加価値を増やし、賃金を大幅に上げ、中高年者の活用を推進しなければならない。
このような状況の中で2024年は大きな進歩があったと言えるだろうか。2024年の改革スピードの延長線上では、前述の日本全体の人事の問題課題を解決達成するには時間がかかりすぎる。改革のスピードを大幅にあげなければ5年程度で大きな成果を得られないだろう。
確かにマイナスのニュースよりもプラスのニュースのほうが多いという印象がある。
これは新しいことに対して取り組み始めたことであるとかジェンダーや女性が注目されている、新しい働き方を推進し始めているといったものであり、実績を伴っていない。
ただし、給与の増額については今までのトレンドと違い全体として5%以上の賃上げが実現されているのは評価できる。
しかしこれも他国に比べて給与があまりにも少なく、それを回復するために5%でよいかが議論だ。全体として改革のスピードを上げる努力を国も企業も個人もしなければならない。
3 本当に人手不足か
大きく取り上げられたニュースの中で人手不足に関するものが多かった。
現在失業率は3%切り、また有効求人倍率も驚くほど高くなっている。この数字だけ見れば人手不足だということもうなずける。人手不足であり採用に力を入れる会社は多い。
果ては外国人活用がこの問題の解決だと考えられている。
まず忘れてはいけないのは日本の生産性が低いということだ。OECDの生産性ランキングでも下から数えた方が早いほど下位にいる。
生産性改善に関してはさまざまな取り組みがされていると報じられているが、特定の領域のニュースが多い。
例えば生産性を向上させるために労働装備率やソフトウェア装備率が特段に上がったというとそうでもない。さらに人材育成に関してはこれも世界で見ると下位にいる。
日本人は優秀だと思っている人も多いかもしれないが、実際にはたいした労働装備がされていないなかで長い時間勤勉に働いているといっても過言ではない。
もし仮に大半の企業が設備投資、ソフトウェア投資、人材育成、余剰人員の削減を本気で取り組めば生産性は10%以上上がるのではないか。
もし付加価値が同額で労働生産性が10%上がったとしたら、600万人以上もの人材が市場に放出されることになる。まずは外国人ではなく労働生産性を上げることが先決だ。
2024年のニュースの中で最も注意をすべきは見かけ上の人手不足である。
これから本格的に訪れる高齢化社会を乗り切るためには、国も企業の経営者も生産性改善に全力を投下しなければ日本の将来は悲惨なものになると再度認識すべきだ。
YouTube番組 Dig Deep人事「2024年総括」を参考に執筆
このコラムを書いたプロフェッショナル
林明文(ハヤシアキブミ)
合同会社HRMテクノロジー 代表
様々なメディアで経営、人事に関する最新の情報や重要データなどを提供します。また有識者と意見交換をするなど、経営者や人事部門の最新の人事管理の理解促進に努めます。

林明文(ハヤシアキブミ)
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得意分野 | 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、労務・賃金、人事考課・目標管理、キャリア開発 |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 練馬区 |
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