男性育休取得の鍵はイクボスにあり
男性の育児休業取得率を公表義務が、現行の従業員数「千人超」の企業から「300人超」の企業に広げる方針が示されました。現在、日本の男性の育休取得率は1割強であり、女性の8割超に比べて低い状況にあります。厚生労働省はこの状況を打破するために公表企業の範囲を広げ、育休の取得や休みやすい職場環境づくりを促進しようとしています。
そのくらい、男性の育児休暇が重要視されているのです。
「とるだけ育休」の実態
「とるだけ育休」とは、父親が育児休業を取得したにも関わらず、ほとんど育児をしないことです。
厚生労働省が発表した「令和3年度雇用均等基本調査」の結果では、男性の育児休業取得率は13.97%と、令和2年度の12.65%から増加しています。
しかし、育休取得期間で見ると1か月未満の取得者の割合が約6割を占めており、その中で1週間未満が28.0%を占めています。
このことから取得率が上がっても取得期間はだいぶ短いことが分かります。
育児は1か月で終わるわけではありませんので、これでは育児に参加しているとは言い切れないのではないでしょうか。
男性育休は「産後うつ」への対策になる
産後うつは出産した女性の10人に1人が発症すると言われています。それほど身近な問題なのです。特に産後2週間をピークに発症することが多いため、せめてこの期間は男性が身体的・精神的にも支えることが重要です。
だからこそ、育児休暇を1か月以上取得し、男性の「とるだけ育休」を改善していかなくてはいけません。
育休を取らないのではなく、取れないのが現状
どれだけ男性育休を話題に取り上げても男性育休の取得率が大幅に上昇しないのにはいくつかの理由があります。
その理由の一つとして【職場の理解がない、取りづらい雰囲気】が挙げられます。
育児休業を希望する男性に対する積極的な働きかけや適切なサポートが欠けており、そのために取得が難しいのが現状です。「日常的に多くの業務を抱えているから…」と、周囲に迷惑をかけることを心配して結局申請を諦めてしまう人がたくさんいるのです。
特に頻繁に残業があり人手が不足している部署で働いている男性や、自分が唯一の担当者となっている業務がある男性は、周囲への配慮や実際の職場の人員配置上の理由から、育児休業を取得しにくい状況に直面しています。
男性育休は企業としてもメリット大
上記では母親・父親目線での男性育休を取得すべき理由を述べましたが、企業にとっても男性社員が育休を取得することに大きなメリットがあります。
●企業イメージの向上
男性育休制度の利用率が高い企業は、柔軟な働き方が可能な職場としてのイメージが持たれます。特に、若手の男性労働者の間で、育休を取得する意欲が増しているとされています。さまざまなライフステージに合わせた働きやすさを提供することは、若手の優秀な人材を確保する際にも積極的にアピールできる要素となります。
●優秀な人材の確保
近年の就職活動では企業選択項目の一つとして男性育休の取得率も見られています。上記で述べたように就活生は企業イメージを見て判断することもあるため、柔軟な働き方ができる企業に注目が集まるのです。
●業務の属人化の改善
育休を取るためにはその人が担当していた業務を他の人に回さなくてはいけません。
つまり、育休を取れるような体制を日ごろから整えておく必要があります。
そのためには特定の人しかできない業務や曖昧にしていた部分を見直す必要があります。
つまり、育休を取得できるようにすることは、属人的な働き方の改善のきっかけになるのです。
男性育休を浸透させるには【イクボス】を目指すべき
なぜ男性育休を取得すべきなのかがご理解いただけたかと思います。
実際に男性育休を実現させるには組織全体に制度や考え方を浸透させなくてはいけません。
そのためにはまず、管理職の方には【イクボス】になっていただく必要があります。
イクボスとは、育児とボスを組み合わせた造語で、社員のワークライフバランスの向上、個々のキャリア支援を行う上司のことです。厚生労働省でも取り上げられており、大手企業や自治体などが「イクボス宣言」に賛同しています。
<イクボス10カ条>
イクボス宣言では、イクボスであるための10か条が掲げられています。
イクボスだと認められるには半数以上を満たしている必要があります。
①理解
「ワーク」一辺倒ではなく、「ライフ」にも時間を割くことに、きちんと理解を示していること。
②ダイバーシティ
ライフに時間を割いている部下を、差別(冷遇)せず、ダイバーシティな経営をしていること。
③知識
ライフのための社内制度(育休や介護休暇の制度など)や法律(労働基本法など)について、知っていること
④組織浸透
管轄している組織(部長であれば部内)全体に、ライフを軽視せず積極的に時間を割くことを推奨し、広めていること
⑤配慮
家族を伴う転勤や単身赴任など、部下のライフに「大きく」影響をおよぼす人事については、最大限の配慮をしていること
⑥情報共有
育休取得者などが出ても、組織内の業務が滞りなく進むようにするために、組織内の情報共有の仕組みを作り、チームワークの醸成、モバイルやクラウド化、テレワークなど、可能な手段を講じていること
⑦時間捻出
部下がライフの時間を取りやすいように、会議の削減、書類の削減、意思決定の迅速化、裁量型体制などを進めていること
⑧提言
ボスから見た上司(大ボス)や人事部などに対し、部下のライフを重視した経営をする重要性について積極的に提言していること
⑨有言実行
イクボスのいる組織や企業は業績も向上するということを実証し、社会に広める努力をするということ
⑩隗より始めよ
ボス自ら、ワークライフバランスを重視し、人生を楽しんでいること
まとめ
男性育休の取得率は徐々に増加しているものの、取得期間を見るとまだまだ改善をしていかなくてはいけません。
男性育休の取得は各家庭・企業の双方に大きなメリットがあります。
育休を取得しやすくするためにも職場環境の改善を行う必要があるでしょう。そのためにも管理職や多くの部下を持っている方は【イクボス】を目指し、ワークライフバランスの向上に努めていきましょう。
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