ダイバーシティの「不易流行」
今、急速に広まりつつある「DEIB」とは
2020年9月に経済産業省が「人材版伊藤レポート」を公表してから、人的資本の情報開示に注目が集まり、課題を認識して対策を打つ企業が増加しました。
2023年3月期より、上場企業などを対象に人的資本の情報開示が義務化されることで、今まさに同業他社の動向や先進企業の取り組みについて、情報収集を行っている人事ご担当者の方も多いのではないでしょうか。
開示項目の中でも注目度が高く、競争優位性の出やすい項目なのが「ダイバーシティ」です。ダイバーシティの推進は会社として重要課題に位置付けられ、ご担当者様は日々情報収集に努められているかと存じます。
そのような中で、最近注目されているワード「DEIB」をご存じでしょうか。
これはそれぞれの単語の頭文字をとった言葉です。
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D:Diversity(ダイバーシティ)…多様性
E:Equity(エクイティ)…公平性
I:Inclusion(インクルージョン)…包摂性
B:Belonging(ビロンギング)…会社への帰属意識
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今、DEIB、末方の単語であるBelonging(ビロンギング)の概念が急速に広まりつつあります。この言葉は「所属」という意味の「belong」から派生していますが、ニュアンスとしては、チームに対する一体感や帰属意識といった、いわゆるエンゲージメントが近いでしょうか。
D:多様性が尊重され、E:機会や意思決定への公平性が担保され、I:各自の強みがチームに包摂される、そしてその先にあって重要なのが「Belonging」だと言われています。
つまり、自分がここにいても大丈夫なのだという“安心感”、自分らしさを発揮して貢献しているという“やりがい”が、社員のエンゲージメントを高めるのです。
実際に、そのようなビロンギングを強く持った社員は、あまり持たない社員と比較をすると6倍以上エンゲージメントが高いという調査結果があります。(※1)
「Belonging」の重要性は自明のことではないでしょうか。
ダイバーシティ推進の歴史
日本でダイバーシティという考え方が認識され始めたのは1980年代頃からと言われています。男女の雇用差別などの問題を是正するための法律として「男女雇用機会均等法」が1985年に制定されています。そして1999年に「男女共同参画社会基本法」が制定されました。この法律は男女が対等な社会の構成員として、各分野への参画機会が確保され、政治的、経済的、社会的、文化的な利益と責任を、男女が均等に共に担う社会を目指すことを規定したものです。
このような法整備のもと、企業における男女の人権の尊重や、待遇の平等化が義務化されることで、日本でも徐々にダイバーシティに対する問題意識が醸成されるようになってきました。
2000年代から現代にかけて、ダイバーシティの推進に拍車をかけたのが、今も解決すべき大きな社会問題となっている「少子高齢化」です。労働人口の減少により、これまで活用されてこなかった層の社会進出を促さないことには、近未来において労働力を確保することが難しいということが日本全体で共通認識となりました。
労働力確保の第一歩として進められたのが、ダイバーシティ・多様性の尊重でした。そのたため、多くの企業においてダイバーシティ=女性活躍推進となっていたのではないでしょうか。これは活用されてこなかった層を、個人の属性を活かしたリソースとして新たに活用する「足し算」のダイバーシティといえるでしょう。
そして近年、多様性の尊重がある程度進んだ段階で求められているのが、「エクイティ」と「インクルージョン」という概念です。
「足し算」、つまり個人の総和には「労働者の数」という、そもそもの限界値が存在します。「エクイティ」と「インクルージョン」は、多様性を持った集団から新たな価値、イノベーションを生み出すことで、ダイバーシティを「掛け算」の取り組みにし、無限の成果を生み出そうというものです。特に多様性を強みにつなげる「インクルーシブ・リーダーシップ」はこれからの新しい時代におけるリーダー像として期待されています。
ここ最近のホットワードは冒頭に申し上げた「ビロンギング」です。ビロンギングは社員の自組織に対する貢献意欲を高めることで、チームの生産性を向上させようとする概念です。エンゲージメントとよく似ていますが、その違いは、そこに「自分らしさが発揮できている」というダイバーシティの観点が加わっている点のようです。
まとめ
「女性活躍推進」⇒「D&I」⇒「DE&I」⇒「DEIB」と表現は時代とともに移り変わってきました。ダイバーシティ推進において、新しい概念を取り入れることはもちろん重要なことですが、同時に変わらない部分もあります。経営サイドが納得をする投資対効果という視点です。数値目標の達成に捉われて「手段が目的化」することなく、真のダイバーシティ推進を図ることがダイバーシティの「不易流行」なのではないでしょうか。
※1参考にした情報
Why Belonging Is Important at Work: Employee Engagement and Diversity – Glint (glintinc.com)
- リーダーシップ
- マネジメント
- コミュニケーション
- ロジカルシンキング・課題解決
- ビジネスマナー・基礎
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