人材の定着を促す組織づくり~社員と組織の状態を可視化する~
人事や経営者の方々とお話していると、早期離職と合わせて、「入社後3年~10年前後の、不満なく働いていると思っていた人材が退職してしまう」という相談を、よくお聞きするようになってきました。転職市場の回復の影響からか、「既存社員の離職」に関しての問題意識も高まっているようです。
この問題がやっかいなのは、人事や経営者のところに話が来たタイミングでは、退職することが、本人と上司との話の中で決定していることです。「退職することが確定する前に、相談が来てくれれば・・・」、「本人が苦しんでいることに気づいていれば・・・」など、この事実にもどかしさを感じている人事や経営者が多いです。
社員の様子がいつもと違う、表情が暗いなど、分かっていれば事前にできることはあるのでしょう。しかし、様々な業務を抱える中で、ましてや、リモートワークや拠点が異なるなど、物理的距離があるなかでは、社員一人ひとりに気を配り、表情を観察し、声をかけることは難しいのが現実です。
こうした環境下で、社員一人ひとりの状態を把握するための現実的な施策のひとつは、定期的なアンケートによって、その状態を把握していくことです。明らかにしておくべき点は、『社員一人ひとりの状態』と『組織の状態』との2つ。社員は『新入社員/既存社員』の視点で、組織は『全社/事業部/部門/課』と細分化し、把握していくことが重要です。
社員一人ひとりの状態を可視化することは、新入社員にも既存社員にも必要なアプローチです。何かしらの問題を抱えている社員や退職リスクがある社員を特定につながります。社員の状態が可視化されれば、必要に応じて人事が面談を実施する、上司へ働きかけを行うなど、ケアすることができます。また、実際に面談を通して定性的な社員の声を収集することにより、社員のコンディションを悪化させる要因を突き止め改善することもできるようになります。
次に、組織レベルでの状態を可視化することは、問題が発生しているチームを特定することにつながります。チームの状態に問題があることが把握できると、例えば、「一人ひとりの仕事量が多すぎるので早急に採用をしないといけない」や「このチームの場合は、人間関係のスコアが悪化しているので、新たな人材を採用する前に、取り組むべきことがある」などと判断することができます。また、問題解決に向けては、チームの責任者と「今、チームで何が起こっているのか?」、「解消に向けて何ができそうか?」、「人事としてどんな協力をしていくべきか?」など、チーム責任者と人事が一丸となってそのチームの問題解決に向けて動くことができます。その結果、組織の状態が良い状態になれば、個人レベルでも状態の悪い社員は、少なくなっていくと思います。
人と組織の状態把握、まだ取り組んだことがない場合には、ぜひ実施を検討してみましょう。
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武田 雄(タケダ ユウ) パーソルキャリア株式会社 HRアナリスト部サービス企画グループ兼サービスシード部HR Spannerグループ
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