若手社員のチャレンジを"メンタルタフネス”に繋げる
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「 若手社員のチャレンジを<メンタル不調>ではなく<メンタルタフネス>につなげる 」
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若手社員に“成長のためのいいチャンス”だと思い、
それまでより責任の重い仕事を任せたらその社員がメンタル不調になってしまった、
または『仕事を辞めたい』と言い出してしまった、という経験はないでしょうか。
経営層や経験豊富な上司からすると“いいチャンス”だったはずなのに、
受け取り手の社員には結果的に“プレッシャー”としかならなかったのには、
その社員が幼い頃からの経験によって培ってきた考え方のクセが影響しているかもしれません。
特に「何かの出来事に対して、頭にぱっと浮かぶ考えやイメージ」を【自動思考】と言いますが、
この自動思考がその人の心身や行動に及ぼす影響は大きいと考えられています。
例えば、<あるプロジェクトのリーダーを任せられた>という出来事に対して、
「よし、キャリアアップのチャンスだ!頑張ろう!」という自動思考であれば、
気持ちはワクワクするでしょうし、先輩に経験談を聞くなど、積極的な行動につながるでしょう。
一方で、「完璧にしなければ。失敗は絶対に許されないぞ。」という自動思考の場合、
一生懸命頑張るとは思いますが、気持ちの面では失敗を恐れてビクビクしてしまったり、
身体面では胃がキリキリしてきたりして、プロジェクトが終わるまで心身がもたないということも考えられます。
同じプロジェクトに参画しているメンバーに対し、必要以上にきつく当たってしまい、
関係が悪化するようなこともあるかもしれません。
このように、メンタルや身体、行動にも影響を及ぼす【自動思考】ですが、ほとんど無自覚に発生するため、
本人も周囲もなかなか気づくことが出来ず、だんだんと「自分はメンタルが弱い」と自己評価が下がったり、
上司などの周囲も
「〇〇さんに負荷をかけると、本人やメンバーが潰れてしまうから、チャレンジングな仕事はさせられないな」と
考えたりすることとなり、結果的に育成が難しい社員になってしまいます。
しかしながら、この【自動思考】に気づき、
「他の考え方はないだろうか」と考え直すチャンスがあれば、結果はまた違ったものになるのではないでしょうか。
自動思考に気づくには、セルフモニタリングが重要です。
上司から仕事を任せられるとつい“完璧にしなければ!”と考える自動思考に対し
「また完璧主義な考え方が出てきているな~。いつもそうやって考えすぎて、結局自分を苦しめているな~」と
客観的に見ることが出来ればしめたものです。できれば、それを紙に書くなどして外在化すると良いでしょう。
この時点で “任された仕事” に対するストレス度合いは随分下がっていると思います。
そして、「自分をむやみに苦しめないけれども、きちんと結果を出すための考え方」、
例えば「期待してくれているから頑張ろう」「結果をしっかり出すために、周囲の力も借りていい」など、
別の考え方に置き換えることで、気持ちが楽になるでしょうし、胃がキリキリすることもなくなるでしょう。
このように、自動思考をセルフモニタリングし、代わりに機能的な思考を生み出すトレーニングは、
メンタルタフネスにもつながると考えます。
自動思考は無自覚に発生するものなので、一人では気づきにくいこともあり、専門家を活用するのも一案かと思います。
新しいチャレンジを、メンタル不調ではなくメンタルタフネスにつなげるために、
自動思考のセルフモニタリングに取り組んでみてはいかがでしょうか。
(コラボレーター 笠作 鮎美 )
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/産業カウンセラー
【専門領域】人事支援、復職支援、働く人のメンタルヘルス
総合病院とEAP企業にて働く人のメンタルヘルス問題に従事したのち、現在は企業人事を支援する立場から、社員のメンタルヘルス不調や問題行動に対して、コンサルテーションや支援を行っている。
笠作 鮎美(カササク アユミ) コラボレーター
対応エリア | 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県) |
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所在地 | 渋谷区 |