自律性を向上してもらうには
▼求められる自律
数年前から、最近の若手社員は指示されたことしかしない、注意されるとふて腐れる、自分のやり方にこだわる、飲み会に来ないなどという評判を耳にする機会が増えました。「もっと深く考えて仕事をしてくれ!」と願っている上司も多いと聞きました。人事部からは、若手社員にもっと自律的になってほしい、上司には若手社員が自律的になるようなコミュニケーションをとってほしいなど、「自律性」に関わる研修相談を頂きます。
ただ、「自律性」に注目が集まっている背景はもっと大きなことです。それは、会社を取りまくビジネス環境は、AIが発達して社会が大きく変わり、労働力が不足し、育児や介護に時間を割き、労働時間の制限などの働き方改革が行われるなど、大きな変革時期に来ています。そんな変革に対応するには、一人ひとりの自律した思考力が必要なのです。ダーウィンは「強いものが生き残るのではなく、適応したものが生き残る」と言いました。環境適応は、一人ひとりがしっかりと思考して行動することから生まれます。そのため、今後のビジネス環境を考えると、どうしても一人一人の自律性が必要になって来たのです。
▼自律性が乏しくなった理由
なぜ自律性の乏しい社員が増えたのか。研修などで受講生の主観で挙手してもらったところ、昔は8:2で自律していた人が多く、今は3:7で自律していない人が多いという意見を聞きます。もちろん正確でなく、会社や考え方によって違いますが、当たらずも遠からずと思っています。一般的には、ゆとり教育だから苦労せず、甘やかされ、叱られる経験がなく、そのため耐性がついていないと言われています。
しかし、本当にそうでしょか? 学生時代、学力が伸びなかったり、部活でレギュラーを取れなかったり、異性にフラれたり、誰かとケンカをしたりして、思い通りにならなかったことも多かったと思います。叱られる経験は少なくても、苦しみ、悩み、苦悶しながら、考え、行動する機会も多かったと思います。
理由は、ゆとり教育ではなく、発達心理学でいう「心の安全基地」がないからと考えています。一般的には幼いころに構築するもので、傷ついても安心して戻れる「心の拠り所」のことです。これが未発達のため、自分の基地(コンフォートゾーン)の外に出て、思考と行動を行うことが怖くてできません。そのため、指示(許可されていること)以外のことをせず、注意され自分を否定されることに不安を感じ、他人と深く交わるような基地の外側に出る機会をできるだけ避けようとします。自分を守るために基地の内側で生活をしているのです。基地が未発達の人は、基地の外側に冒険をして、当たって砕けることができないのです。
▼解決策
それでは、自分の基地の外側にでるにはどうすればよいのでしょうか。それは、ヒトの本能としてある「他者からの承認、他者への貢献の欲求」を満たすことから考えます。
本人であれば、嫌なことは嫌だが、そのような中でも他者に貢献できることはなにかと考えて下さい。
上司であれば、部下が自分の意に沿わない意見や行動をとった場合、その意見を拾い上げ理由を聞き、敬意を表して下さい。部下が意見をしてくれたことは重要です、しっかり受け取りました、とアピールして下さい。もし、あなたが自律性を出したい、相手に出させたいと思っているのでした、こんなアプローチ方法を取ってみて下さい。
「北風と太陽」の童話のように、良い悪いではなく、今までとは違うアプローチで取り組んでみて下さい。ちょっと自分を変えることで、違う結果が少しずつ出ると思います
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現場での活用をイメージしてもらいながら講義をします!
コミュニケーションが苦手だった私だからこそ、コミュニケーションの学習をしました。交流分析、行動科学、コーチング、モチベーションなどの観点からコミュニケーションを紹介します。
飯森 祐(イイモリ ユウ) 株式会社グローステップ 代表取締役
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