【PM理論×SL理論】時代の変化に強いリーダーの育成方法
「思うようにリーダーが育ってくれない」
「PM理論って聞いたことがあるけど、活用の仕方がわからない」
育成がうまくいかず、頭を抱えている人事担当者の方は多いでしょう。
今回はリーダーシップ理論として代表的なPM理論とSL理論を用いてリーダーを育成する方法を、図解も交えて解説します。
最後までお読みいただくと、状況の変化にも柔軟に対応できる理想的なリーダー育成の方法を知ることができます。
PM理論とはリーダーシップ理論のひとつ
PM理論とは、リーダーを育成するために用いられるリーダーシップ理論の1つです。
目標達成機能(Performance function)と集団維持機能(Maintenance function)の頭文字をとってPM理論と名づけられました。
このPM理論によってリーダーの行動が目標達成と集団維持のどちらを重視するものか分析し、4つのタイプに分類します。
リーダーがどのタイプに分類されるかで補うべきものがわかるので、能力のバランス調整も可能になります。
P機能:目標達成機能(Performance function)
P機能とは目標達成機能(Performance function)のことで、成果を上げるために発揮されるリーダーシップです。
具体的には
- 目標を設定し的確に指示する
- こまめに進捗確認をする
- ルールを守らせて統制する
といったことが挙げられます。
いかにして目標を達成させられるか、成果を上げられるかを考えた行動です。
M機能:集団維持機能(Maintenance function)
M機能とは集団維持機能(Maintenance function)のことで、チームが円滑に機能するために発揮されるリーダーシップです。
具体的には以下が挙げられます。
- 社員とコミュニケーションを密にとる
- 定期的に面談の機会を設ける
- 社員同士の人間関係がうまくいくよう気を配る
1人1人のメンタル状態や社員同士のコミュニケーションなどに配慮し、心理的安全性を確保してチームがうまく機能するようにはからう行動です。
PM理論における4タイプのリーダー像
P機能とM機能については上述しましたが、P機能とM機能の強弱でリーダーのタイプを4つに分類できます。
リーダーの強みと弱みが可視化されるので、伸ばすべき能力や調整すべき部分が明確になるでしょう。
タイプ1. 【PM型】目標達成・チームワークどちらも長けている
PM型は目標達成とチームワークの両面で効果的なリーダーシップを発揮できるリーダーです。
目標達成のために各メンバーへ適切な指示を出すことができ、良好な人間関係を維持させる能力にも長けています。
リーダーとしてもっとも理想的なタイプでしょう。
タイプ2. 【Pm型】目標達成に偏っている
Pm型は目標達成のためのリーダーシップに長けているリーダーです。
しかし成果を追い求めるあまりメンバーの感情や人間関係の変化に疎く、メンバーがついていけなくなってしまう可能性もあるため注意が必要です。
仕事にストイックに取り組むタイプですが独りよがりになりやすく、他人に頼ることを苦手とする場合が多いタイプです。
タイプ3. 【pM型】チームワークに偏っている
pM型はPm型とは逆に、目標達成よりチームワークを重視した行動をとるタイプのリーダーです。
人間関係を良好に保つことができ、離職率の低下や心理的安全性の確保に貢献してくれるでしょう。
その反面、成果を上げるためにストイックになることや厳しく指導することが苦手なタイプでもあります。
タイプ4. 【pm型】目標達成・チームワークどちらも劣っている
pm型は目標達成とチームワークのどちらにおいてもリーダーシップをとることが苦手なタイプです。
P機能とM機能それぞれで伸ばすべき部分を洗い出して向上させる必要があります。
リーダーはP機能とM機能を兼ね備えるべき
理想的なリーダーになるには、P機能とM機能それぞれの能力を伸ばす必要があります。
P機能とM機能、どちらかが欠けているとチームはうまく機能しない可能性があるのです。
例えば、リーダーがPm型の場合は
- リーダーの態度を高圧的に感じ、萎縮したメンバーはよいパフォーマンスが発揮できなくなってしまう
- 成果を求めるあまり、残業が続いたメンバーの1人が体調を崩してしまう
責任感の強さから必死に結果を出そうとして1人で突っ走り、周りが見えなくなってしまうことがあります。
逆に、リーダーがpM型の場合は
- プランニングや効果的な目標設定がうまくできず、思うように成果が出ない
- チームがなれ合いの関係になってしまい、統制がとれなくなってしまう
チームワークが良好に保てても、成果を上げられなければ企業の発展はのぞめません。
つまりP機能とM機能の能力をバランスよく備えたリーダーこそ、まさに理想というわけです。
P機能とM機能を向上させるポイント
では、どうしたらP機能とM機能の能力を高められるのでしょうか。
ここでは機能向上のためのポイントを解説します。
P機能を向上させるポイント
P機能を向上させるには、成果を出すために必要な以下の行動を意識しましょう。
- 成果を出すためにプランニングする
- 細かく期限を決めて具体的に目標設定する
- 正確に伝達し、的確に指導する
まずは明確なゴールと期限を設定し、期限内にゴールへたどり着くために必要なタスクを細かく洗い出すことが重要でしょう。
全て洗い出せたら、誰に任せるかの役割分担です。
誰に何を任せれば効率的に仕事が進められるかを見極め、業務の進捗は定期的に確認してフィードバックをしましょう。
また、最悪の事態を予想しておくことも重要なポイントです。
あらゆるトラブルを想定してB案・C案を用意しておき、期限までの達成に支障が出ないように備えるとよいでしょう。
M機能を向上させるポイント
M機能を向上させるには、チームワークを維持させるために必要な
- メンバーとの信頼関係を築く
- 考え方に柔軟性を持ち、メンバーの意見に耳を傾ける
- メンバーを観察しメンタルケアに気を配る
以上のことを意識しましょう。
M機能はリーダー自身の意識よりもリーダーとメンバー間の関係性が大きく影響するものなので、P機能よりも向上させるのに多くの時間を必要とします。
メンバーと信頼関係を築くことは一朝一夕にはいかないからです。
信頼関係がうまく築けても崩れるのは一瞬なので、こまめにメンバーとコミュニケーションをはかったりメンバー同士の関係性に気を配ったりすることが必要でしょう。
SL理論もリーダーシップ理論のひとつ
PM理論と同じリーダーシップ理論で、SL理論というものがあります。
PM理論と組み合わせて取り入れると、より理想的なリーダー育成を目指すことができますのでご紹介しましょう。
SL理論のSLは(Situational Leadership)の略で、Situation(状況・場面)に合わせたリーダーシップという意味を持ちます。
提唱者は行動科学者のポール・ハーシーと組織心理学者のケン・ブランチャードで、下記のようなことが提唱されています。
- 全ての社員に一貫したリーダーシップ行動をとっていても、それが合わない社員もいる
- どんな状況においても最適だといえるリーダーシップの型は存在しない
- 社員の能力や意欲の高さの状況を把握し、それに合わせてリーダーシップのスタイルを変えて対応していく必要がある
SL理論で必要になる社員の育成レベルを4つに分類
SL理論では、まず社員1人1人の状況を把握することが必要になります。
社員の育成レベルを以下の4つに分類しましょう。
- 育成レベル1. 新入社員や未経験者(右も左もわからないような状態)
- 育成レベル2. ある程度の業務は自身でおこなえる状態(すべきことはわからないが成長意欲がある)
- 育成レベル3. 能力が高くなってきて指示が最低限で済む状態(すべきことは理解しているが自信がもてない部分もある)
- 育成レベル4. かなり熟練されていて安心して業務を任せられる状態(何をすべきかよく理解しており余裕を持って業務に取り組める)
以上の4つの状況に合わせて、業務への指示をおこなう「指示的行動」とサポートやコミュニケーションをはかる「援助的行動」を組み合わせたリーダーシップが求められます。
そのリーダーシップの型については、次の項目で詳しく解説していきます。
社員の育成レベルに合わせたリーダーシップの型4つ
育成レベル1→教示型リーダーシップ
育成レベル1の社員には教示型のリーダーシップが向いています。
教示的リーダーシップはリーダーによる具体的な指示のもと、業務の進捗管理を細かく確認していくスタイルです。
今後の成長やモチベーションを上げるためにも、業務のゴールとゴールまでの道筋を具体的に示してゴールにたどり着けるように指示をしながらサポートする必要があります。
育成レベル2→コーチ型リーダーシップ
コーチ型のリーダーシップは最低限の業務をこなせるようになってきた社員に向いています。
自分なりにやり方を考えてチームに貢献しようと努力できる段階なので、よく社員を観察してフィードバックで成長を促すことが重要です。
社員の疑問に対して丁寧に答えたり業務の目的や意義を伝えたりすることも、責任感を持って業務に取り組んでもらうために必要なことでしょう。
育成レベル3→参加型リーダーシップ
参加型のリーダーシップは、スキルが高くなっていてもなかなか自信を持てずにいる社員に向いています。
意思決定の部分は社員に任せて、コミュニケーションを密にとりながら目標達成をサポートしましょう。
自立を促すために社員の意見を取り入れつつも、チームの進むべき道から逸れてしまわないように導く力が求められます。
育成レベル4→委任型リーダーシップ
育成レベル4の社員は能力がとても高く意思決定も自分でできますので、ほとんどの権限を移譲できる状態でしょう。
あまり指示したりサポートしたりといった行動は必要がなくなってきます。
しかし任せっきりにしたりコミュニケーションをとらなかったりと、放置されていると感じられてしまうような行動は避けましょう。
社員の自由度を尊重しながら、問題が起きた時のフォローや良好な関係を維持するためのコミュニケーションをはかれるとよいですね。
目標やビジョンを共有して同じ方向へ進むようにすることで、より成果を上げやすくなります。
SL理論におけるリーダーの役割
SL理論におけるリーダーの役割としては、次の3つが挙げられます。
- 社員の感情や人間関係の変化を察知すること
- 社員との信頼関係を築き、よい方向へ導くこと
- チームワークと成果のどちらも重視してバランスをとること
状況の変化に対応しながらロールモデルとしてもお手本を見せ、人間関係にも気をつけながら成果を上げられるよう業務を遂行する必要があります。
つまり、「観察力」「影響力」「調整力」のようなスキルを磨くことが重要だといえるでしょう。
PM理論×SL理論の活用術
リーダーごとの特徴を深掘りして改善点を明確にするPM理論と、社員の状況に合わせてリーダーシップのスタイルを変えていくSL理論。
この2つを組み合わせて活用すれば、現在の社員の状況とリーダー自身の能力によってどのような行動をとるべきかがより理解しやすくなります。
伸ばすべきスキルを磨きながら、臨機応変な対応ができるようなリーダーを効率的に育成できるでしょう。
また、PM理論を用いれば組織全体でのリーダー育成状況を把握できます。
SL理論では各社員の育成状況も可視化できるので、リーダーとメンバーの相性を考えたチーム編成にも役立てられるでしょう。
PM理論やSL理論でリーダーを育成する方法
メンター制度を導入する
メンター制度はメンターと呼ばれる指導者の役割を担う者に、業務に関する悩みを相談して支援してもらう制度のことです。
リーダーとして成長するためにどうすればよいかわからなくても、うまく周りに相談できないリーダーもいます。
そんな時にメンターがいると大きな支えになってくれるでしょう。
社員研修をおこなう
社員研修をおこなうことも効果的です。
PM理論やSL理論を学びリーダーシップについての知識を身につけられれば、リーダーの育成におおいに役立つでしょう。
外部から講師を招くと、社員の緊張感や集中力を高められるのでおすすめです。
まとめ
この記事では、リーダーシップ理論として代表的なPM理論とSL理論について詳しく解説しました。
PM理論を活用すればリーダーの特徴を4つに分類して、改善点や伸ばすべきスキルを洗い出すことができます。
SL理論を活用すると社員の育成状況やモチベーションなどに合わせた、より効果的なリーダーシップをとることができます。
そしてこの2つの理論を組み合わせることで、変化の激しい現代でも力を発揮できる理想的なリーダーを効率的に育成できるでしょう。
メンター制度や社員研修をおこなうと社員の知識も深まって意識の向上にもつながりますので、育成に課題を感じている方は導入を検討してはいかがでしょうか。
アールナインでは人材育成に特化した研修サービスもございますので、是非お問い合わせください。
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