【障がい者雇用】精神障がい者の採用にあたっての留意点⑤
昨年4月1日より「障害者差別解消法」および「改正障害者雇用促進法」が施行されました。
民間企業においても、障がい者に対して「不当な差別的取扱い」は禁止され、
過度な負担のない範囲で「必要かつ合理的な配慮」を行うことが求められます。
このコラムでは、障がい者雇用において、企業の皆様が抱える現状の課題を検討し、
具体的解決策に向けた手がかりについてお伝えしていきたいと思います。
今年1月号のコラムから精神障がい者の「採用」に焦点を当て、
採用時に確認すべきポイントについてシリーズで投稿しています。
今回はその4つ目のポイントとなる
「業務遂行力:採用後に想定している業務に適応できるかどうか」
という点について考えていきたいと思います。
採用面談で業務に適応できるのかを判断していくためには、
あらかじめどんな仕事をしてもらいたいのかについて業務の切り出しをしておく必要があります。
ある程度業務内容を想定できている場合は、採用面談時に具体的な業務内容を伝えて、
「今までに同じような仕事をした経験はあるか?」
「実際に仕事をするにあたって不安材料があるか?」
「得意と感じるか、苦手と感じるか」
「どんなサポートがあれば、安心して仕事ができるか」
といった点を聞いていくとよいでしょう。
また、精神障がい者の中には、コミュニケーションを苦手としている方もいるので、
客先の電話対応など高度なソーシャルスキルを求められる業務も想定している場合は、
丁寧に確認していくことが大切です。
もし実際に業務がどれくらいできるのかを見る場合、
面談とは別に実際の業務を試験として実施してみるという方法も一つになります。
ただし、どんな業務も最初から自信を持ってできる応募者はなかなかいないのも現状です。
仕事には得意不得意、向き不向きといった「適性」と、
指導や訓練等により習得可能な「スキル」の両面があります。
専門性の高い仕事は適性のウエイトも多くなりますが、
多くの仕事はスキルを身につけることで習熟していきます。
障がいがある人の場合、
そうでない人に比べて習得のスピードが遅いケースが多く見られますがという特性もありますが
(逆に分野によって習得が早いケースもあります)、
スキルについては育成の環境があれば習熟できる可能性を十分持っていることからも、
いかに指導や訓練などの育成の環境づくりをしていくかを検討していくことが、
企業側の努力として今後求められてくるものと思います。
こうした企業努力が結果的に持続的雇用と離職要因の軽減につながり、
結果的によい人材の応募が高まるという循環につながっていくものと考えます。
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/精神保健福祉士/社会福祉士/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
2009年度日本うつ病学会奨励賞受賞
精神科クリニック、障害者職業総合センター等で集団精神療法、デイケア、就労支援の他、スクールカウンセラー、千葉県医療技術大学校非常勤講師、千葉県庁健康管理室相談員を歴任。その後、EAP事業会社にて復職支援を中心にメンタルヘルス対策支援に従事。
中田 貴晃(ナカダ ヨシアキ) エグゼクティブコラボレータ―
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所在地 | 渋谷区 |