【障がい者雇用】精神障がい者の採用にあたっての留意点②
昨年4月1日より「障害者差別解消法」および「改正障害者雇用促進法」が施行されました。
民間企業においても、障がい者に対して「不当な差別的取扱い」は禁止され、
過度な負担のない範囲で「必要かつ合理的な配慮」を行うことが求められます。
このコラムでは、障がい者雇用において、企業の皆様が抱える現状の課題を検討し、
具体的解決策に向けた手がかりについてお伝えしていきたいと思います。
前回のコラムから精神障がい者の「採用」に焦点を当て、
採用時に確認すべき5つのポイントについて述べていきました。
今回はその一つ目のポイントとなる
「障がいの状況:どんな障がいがあり、業務上どんな支障が発生するか」
という点で考えていきたいと思います。
「障がい者でも特に精神障がい者の障がいの病状は、
デリケートな内容なのでどこまで聞いてよいか躊躇してしまう」
という相談を受けることがよくあります。
もちろん、目的もなくいたずらに根掘り葉掘り聞くことは差し控えるべきではありますが、
本人を会社に迎え入れ労務提供ができる状態にあるか、
また、必要とされる合理的配慮について検討する上で、
本人の障がいの状況については面談時にきちんと確認しておく必要があります。
また、面談の冒頭時では、このようなヒアリングの目的を伝え、
「色々と細かい点など伺うこともありますが、
もし答えにくい場合は遠慮なくおっしゃってください」
と伝える配慮があるとよいでしょう。
障がいの状況については、診断名および現在の症状、
過去に調子を大きく崩した時の状況、ストレスに感じる場面、
調子を崩すときの前兆、飲酒状況、薬の服用状況(飲み忘れはないか)や副作用、
現在の医療機関の通院状況などを中心に確認していきます。
その中で、例えば薬の副作用で眠気が発生する場合は、
実際の業務遂行上どの程度の支障があるかについて確認していくことが大切です。
医療機関については、今の医療機関にいつからどのくらいの頻度で通院しているか、
主治医の就労にあたってのアドバイスの内容、
職場として主治医に相談したいことがあれば連携が可能かという点
についても確認していきたいところです。
中には「就労はまだ早い」と主治医に反対され、
別の医療機関にかかったばかりというケースもあり、
本人の疾病管理の点からも主治医との信頼関係ができているかはとても大切になります。
また、障害者手帳についても、
「実は手帳は申請中だった」「3級と聞いていたが、2級に更新されていた」という話を、
稀ではありますが、採用担当者から聞くことがあります。
障害者手帳については、お互いの認識の齟齬がないよう、
履歴書などの提出書類と合わせてコピーを提出してもらうとよいでしょう。
以上、障がいの状況について確認すべきポイントについて大まかに述べましたが、
以上の内容を機械的に尋ねるのではなく、
本人がこれまで経験してきた苦労をねぎらいながら、
自然な話の流れで質問することにより、
本人の緊張も和らぎ率直な話を引き出せるものと思います。
次回は採用面談時の確認のポイント②
「就労準備性の状況:安定して就労できる状況にあるか」について考えていきたいと思います。
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/精神保健福祉士/社会福祉士/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
2009年度日本うつ病学会奨励賞受賞
精神科クリニック、障害者職業総合センター等で集団精神療法、デイケア、就労支援の他、スクールカウンセラー、千葉県医療技術大学校非常勤講師、千葉県庁健康管理室相談員を歴任。その後、EAP事業会社にて復職支援を中心にメンタルヘルス対策支援に従事。
中田 貴晃(ナカダ ヨシアキ) エグゼクティブコラボレータ―
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