「チェキ」って今どうなっているのか、知ってます?
「チェキ」って、みなさんはご存知ですか?
富士フイルムが20年以上前に発売した「インスタントカメラ」(正式名称:instax インスタックス)で、最近もテレビCMが放映されていますよね。まだまだ現役で売れ続けている、さらに当時より販売が伸びているって知ってました?
面白いのは、デジタル全盛期にも関わらず、アナログである「写真」がまだ売れているということ。マーケティング的な観点からも面白いので、シンスターでは研修時の事例や教材でもよく取り上げています。
まず、チェキが発売したのは1998年。2000年前後にブームに火が付きます。若い人は「??」でしょうけど(笑)、ちょうど、TVドラマの「やまとなでしこ」が流行っていたころです。30代後半から40代の人には、実際に持っていた人もいるのではないですかね?
当時の日本は、「プリクラブーム」でした。女子高生から火がついて、大学生から社会人へとセグメントが広がり、2002年(冬のソナタがヒットしたころです。もういいって?)に年間出荷台数が100万台を越えます。開発当初は、年間30万台と見込んでいたので、想定を超える大ヒットであったと言えます。40代前後の皆さんも、周囲の知人が持っていたり、或いは結婚式の2次会でチェキを撮られて「新郎新婦にひとことメッセージを!」とか頼まれたり、そんな記憶があったりするのではないですかね?
とはいえ、「そういや、最近はあまり見てないなぁ」・・・って感じ、ありませんか?
でも今、年間1000万台も販売しているのです。当時のブームの10倍ですよ!
これ、いったいどこで、だれに売れているのでしょうね?このデジタル全盛期に!?
実はいま、「海外」で売れています。チェキの海外売上比率は、今や8割~9割。確かに日本では当時ほど見かけなくなっているので、海外と聞くと、なるほど納得ですよね。その経緯は、2000年代前半の日本でのブームが終わった後、しばらくしてアジアで火がつきました。元来、アジアは、写真で残すことが大好きな文化なのですよね(インドなんか有名)。そんな文化的バックグラウンドの上に、ある韓国の人気ドラマにふと取り上げられたり、中国の芸能人がSNS発信したり、偶発的な追い風もあって、アジアに一気に広がっていきます。そこから、今度は欧州に広がっていきます。日本のカルチャー、「Kawaii!」ってやつですね(笑)。
当時は、ガラケーでも「写メ」が当たり前の時代。写真は画像データに置き換わり、複写転送・加工が自由自在、とても手軽で便利になりました。一方、チェキで撮ったモノは、その瞬間を収めた「唯一無二」のモノになる。利便性よりも、そのユニーク性が、逆にデジタルしか知らない若い世代には、新鮮で面白く映ったようです。
また、この時の販売戦略で面白いのが、販路(マーケティング的に言うと「Place」、チャネル戦略)も、カメラ店や電気店でなく、「雑貨店」を開拓している。かつ、低価格機を出して、値段も抑えて、Product ・Priceも工夫している。ただ単にブームや追い風に乗っただけでなく、しっかりビジネスとして成立するように、仕組みを作っている点が、今の「世界で売れ続けるチェキ」を作ったのでしょうね。
今も昔も、マーケットを読むのは難しい。練りに練った戦略を立てても、想定通りには行かないこともあります、特にアフターコロナ・VUCA時代の今なんて、まさにそうですよね。
ただ、やってみると反応は必ずある。もちろん想定内も想定外も。その反応を捉え、タイムリーに変化させていく、こういったことが重要なのでしょうね。
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『理屈だけでは現場は動かない』大企業とベンチャーでの豊富なビジネス経験をネタにした現場感あふれるセッションが好評
「巻き込み力研修のシンスター」にて、若手から管理職までのスキル研修・営業力強化研修の講師を担当。事業会社での実務経験を活かし、理論と組織力学を押さえたリアリティのある講義・ファシリテーションに定評がある。
曽我 充貴(ソガ ミツタカ) 株式会社シンスター シニア・マネジャー
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