抵抗器をはじめさまざまな電子部品を製造するKOA株式会社。長野県の上伊那郡に本社を置き、「伊那谷に太陽を」という創業ビジョンのもと、地域密着型の経営を真摯に貫き続けています。そんな同社が統合HCMソリューション「POSITIVE」を導入したのは2014年。バラバラに動いていた人事システムを統合し、より効率よく人事情報を活用するため、システム刷新という一大プロジェクトに取り組みました。このプロジェクトにおいてもっとも特徴的だったのは「コーチング型」の導入手法を取った点です。システムの仕組みや構築方法のレクチャーを受けたプロジェクトメンバーが、ISIDのサポートを受けつつ自ら手を動かし構築、二人三脚でPOSITIVEによる新しい人事システムをつくり上げていきました。
「苦労も多かったがとても楽しく、なによりシステムに対する理解が深まった」「コスト面でのメリットも大きく非常に助かった」こう振り返る、同社プロジェクトメンバーの碓井智範氏、北原徹氏、唐澤淳一氏。導入から8年経つ今も、スムーズに運用できていると言います。
また当時のプロジェクトリーダーであり、現ゼネラルマネージャーである南部高幸氏は「この8年間で社会環境が大きく変化したが、そこに適応できたのはPOSITIVEという柔軟な基盤があったおかげ。長く使っているからこそ、その良さを実感している」と話します。今後もタレントマネジメントなどPOSITIVEの活用の幅を広げ、進化させていく構えです。
記事制作:株式会社電通国際情報サービス
バラバラに動いていた人事システムをPOSITIVEで統合
当時、人事・給与、就業管理、評価、さらにワークフローまで備えたソリューションはPOSITIVEだけでした。何としても導入したいと考え、コーチング型の導入にたどり着いたのです。
人事教育センター
プロフィットマネージャー
碓井智範氏
2014年7月にPOSITIVEを導入した同社。導入前は、人事・給与、就業管理、評価と、それぞれバラバラのシステムで管理運用している状態で、メンテナンスに多大な負荷がかかっていました。こうした課題を解決するため、人事教育センターの碓井氏はPOSITIVEに注目したと言います。
「以前は、システムのバージョンアップや法改正などのたびに、システムそれぞれに対応をしなければならず、手間がかかりすぎて困り果てていました。そんなとき、たまたま展示会で『統合HCMソリューション』というものがあると知ったのです。当時はまだ統合パッケージというものが出始めの頃で、私が知る限りでは、人事・給与、就業管理、評価、さらにワークフローまで備えたソリューションはPOSITIVEだけでした。それで、POSITIVEがいいんじゃないかということになったんです」
ところが、検討を進める中で、想定よりコストがかかることがわかり、導入に待ったがかかった状態に……。それでも、どうしてもPOSITIVEが必要だと考えた碓井氏は、ISIDに「なにか方法はないか」と相談を持ち掛けることにしたと言います。
「するとISIDから『コーチング型で導入するというのはどうでしょう』という提案を受けました。“コーチング型”とは、ベンダーに丸投げでシステムの構築や導入をしてもらうのではなく、ベンダーからのレクチャーやサポートを受けながら、自社でシステムの構築や導入を行う手法のこと。私たちにとって初めての試みでしたが、それでコスト面の課題がクリアになるならぜひやってみたいと進めることになりました」
ISIDの手厚いサポートを受けつつ自分たちでシステムを構築する、コーチング型の導入
POSITIVEの構築は、大きな船をつくるような感覚。必要な機能を整理し、よりよいデザインを考え、どんな荷物や車を積むかまで検討して、納得いく船ができました。
人事教育センター
北原徹氏
ISIDの担当者は、技術力が高く、知識が豊富。インフラ周りの調整やアドオン開発の際も、わかりやすいマニュアル、適切なアドバイスで、どんなときも私たちを支えてくれました。
情報システムセンター
DX推進グループ
プロフィットマネージャー
唐澤淳一氏
コーチング型の導入作業は、ISIDの担当者が同社に訪問しPOSITIVEの概要や人事・給与・就業・従業員向けWebサービスモジュールの基本機能を説明するところから始まりました。その後、運用業務を整理し、業務要件をPOSITIVEの設定に落とし込んでいくためのディスカッションを行います。それを受け、同社は業務要件の整理とパラメーターの設定作業を行います。その中で発生した課題について両社それぞれが持ち帰り、次回訪問でまたディスカッションする……というサイクルを複数回繰り返す形で進行しました。
「最初の頃は、当社の運用業務を整理する作業がメインで、ここはスムーズに進んだと記憶しています。大変だったのが、実際の設定に落とし込む部分です。『ここはPOSITIVEの機能に合わせて運用を見直そう』『こっちは運用に合わせてPOSITIVEの機能を調整しよう』と切り分けながら作業しなければならず、かなり頭を悩ませました。ただその都度、ISIDの担当者が適切なアドバイスをしてくれ、苦労しつつも乗り越えることができました」
碓井氏は、こう当時を振り返ります。結果、人事の運用フローのうち約半分は変更せずPOSITIVEの機能を活用する形で調整し、残りの半分はPOSITIVEに合わせて見直すこととなりました。
「他社ソリューションの場合は、『システムや機能に寄せて大幅に人事の運用を変えなければならない』というイメージがありました。一方POSITIVEの場合は、標準機能でかなり柔軟に対応できた印象です。システムをメンテナンスしていく負荷を考えると、なるべく標準機能で対応したいと考えていましたが、当社独特の交替制勤務や手当なども、標準機能の中できちんとカバーできました」
運用の約半分をPOSITIVEに合わせて変更したことについて、人事教育センターの北原氏は、「結果的に変えられてよかったと思っている」と話します。「本来やらねばならなかったところを是正できたという面もあったと思っています。慣習的に続けていた運用を変えることで、効率化にもつながりました」
自社で構築したからこその自信作。グループ会社にも展開し、進化を続ける
実際にコーチング型の導入を行ってみての感想について、北原氏は「とにかく勉強になった」と話します。
「ISIDとともにPOSITIVEの構築を行うことで、仕組みや機能についての理解がしっかりできたところがよかったですね。社員からの質問にもすぐに答えられますし、調整が必要になったときもどこをどうすればいいのか見当がつくようになりました。なにより、『自分たちで納得しながらつくったシステムだ』と自信を持って社員に提供できるところがいいなと思っています。あと、ISIDはPOSITIVEだけでなく、データベースや表計算ソフトなど、さまざまなツールに精通していて、作業が早いです。一緒に作業をすることで、確実に私たちの知識や引き出しが増えました」
加えて碓井氏は、コーチング型だったからこそ関連会社への展開も効率的にできたと話します。
「私たちがPOSITIVEの理解を深めていたから、『KOAと同様の規程を持つ会社は、KOAの設定をコピーして、それをベースに微修正すれば導入できる』と判断でき、構築作業はとてもスムーズに進められました。今ではKOAグループ4社、合計約2,000名が毎日POSITIVEを使っています。また、毎日使うものだからこそきちんと開発しなければいけないと考えて本気でISIDと議論しました」
また情報システムセンターの唐澤氏は、8年間の運用を通して、アドオン改修やバージョンアップ対応にも、ISIDのサポートで問題なく対応できたと言います。
「8年の間には、緊急の法改正対応や、システムへの影響が大きいバージョンアップ対応もありましたが、ISIDから提供されるマニュアル通りに作業することで問題なく対応できました。自分たちで作業できることで、コスト削減にもつながっています」
さらに、導入の意思決定やプロジェクトの責任者を務めた南部氏は「こういうしっかりした基盤を早い段階で導入できたことがよかった」と話します。「人事情報は、まさに『宝の山』です。経営の要となる情報を、8年も前から、POSITIVEというしっかりした土台で統合して蓄積してこられたのはとてもよかったと思っています。今後はこれをさらに有効活用して、価値あるものに高めていきたいと思っています」
- 社名
- KOA株式会社
- 本社所在地
- 〒399-4697 長野県上伊那郡箕輪町大字中箕輪14016 KOAパインパーク内
- 設立
- 1940年3月10日
- 資本金
- 60億3,300万円
- 売上高
- 単独54,152百万円、連結64,955百万円( 2021年度実績)
- 従業員数
- 単独1,553名、連結4,144名(2022年3月31日現在)
- 事業内容
- 抵抗器をはじめとする電子部品の開発、製造、販売
ISIDは、「HUMANOLOGY for the future ~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」をビジョンに、社会や企業のデジタルトランスフォーメーションを、確かな技術力と創造力で支援しています。金融、製造、ビジネスソリューション、コミュニケーションITの4領域で培ったソリューションの提供に加え、テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与するソリューションを生み出し続けます。
8年間で大きく社会環境が変化したが、そこに適応できたのはPOSITIVEという柔軟な基盤のおかげ。早い段階で導入したことで、多様な人事対応の土台ができました。
人事教育センター
ゼネラルマネージャー
南部高幸氏