いま考えたい、50代ミドルシニアのリアルな働き方(1)
本コラムは2024年8月29日にHRオンライン(ダイアモンドオンライン)にて掲載されたインタビュー記事の一部となります。
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企業とミドルシニアのこれからの在り方とは
65歳までの雇用確保措置(*1)が企業に義務化されているいま(2024年8月現在)、再雇用か勤務延長(定年退職せずに雇用される勤務)で、少なくとも65歳まで働き続ける人が増えています。そうしたなか、50代半ばで役職定年を迎え、仕事のモチベーションの低下とともに「失われていく10年(55~65歳)」に思い悩む人が多いようです。雇用する側の企業にとっては、定年退職を控えたミドルシニア世代にどう向き合っていくかが喫緊の課題となっています。 役職定年、定年退職後の雇用形態の変更など、50代後半にさしかかるミドルシニアの働き方を考えます。
一人ひとりの強みにフォーカスし、可視化すること
企業が“人的資本経営”の意義を再確認するべき
「人的資本経営」の本質は、企業が従業員一人ひとりの能力を活かすことです。しかし、多かれ少なかれ「人的資本経営」には、義務的に“仕方なく取り組んでいる”様子が見え隠れします。ご存じのとおり日本では、上場企業に対して、2023年3月から人的資本の開示が義務化され、7分野19項目における情報の開示が求められています。しかし、政府が出した指針を、企業側はその本質を深く理解せぬまま、開示のための開示に終始しているようにも感じます。人的資本に取り組むならば、まずは、ミドルシニアに限らず、自社の従業員一人ひとりの強みにフォーカスして、しっかり把握し、可視化することが大切です。“一人ひとりの強み”とは、従業員のキャリアと、それぞれが持つ「知識」「スキル」「コンピテンシー」です。私は、これらをまとめて、「経験知」と呼んでいます。経験知は、Business Wisdom(仕事の知恵)とも言われ、私が長年研究している「暗黙知」のひとつです。本来は、それらを集約したものが、人的資本として開示されるべきなのです。
*1 高年齢者雇用安定法第9条第1項に基づき、定年を65歳未満に定めている事業主が、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保する措置。
*2 田原祐子著『55歳からのリアルな働き方』(2024年3月、かんき出版刊)。
*本稿では50歳から60歳までを「ミドルシニア」とする。
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全能連マネジメントアワード「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を受賞!暗黙知を形式知化するナレッジマネジメントで計1500社の人材育成に貢献
ジョブ制・テレワーク導入が急速に進ぬ中、人材のノウハウ・ナレッジの見える化・企業や組織での共有化・蓄積は必須です。
仕事ができる人材の思考プロセスを見える化・形式知化し、人・チームの育成に活用即戦力化します。特許庁、経済産業省の業務も受託。
田原 祐子(タハラ ユウコ) 株式会社ベーシック代表取締役(社会構想大学院大学教授)上場企業社外取締役監査等委員
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